「変身」にまつわる幾つかの出来事

  妻(yuheimama)です。6月は悠平の誕生月。悠平、12歳になりました。昨冬のクリスマスプレゼントでの仮面ライダー変身ベルトに続き、誕生日プレゼントに変身ベルトのオプションパーツをリクエストした悠平。「変身」ブームが止まりません(クリスマスプレゼントについては「年末は仮面ライダーとともに」を参照ください)。

  悠平の誕生日は6月下旬なのですが、「6月になったらプレゼント用意してあるかも」と思ったらしい悠平は、6月に入るや否やクローゼットの中を物色。すぐにプレゼントを見つけてしまいました。悠平は、「お母さん、プレゼントあった!」とうれしそう。「やられた…」と思いつつ、私は「お誕生日まで、待てる?」と尋ねました。悠平は当然のごとく「待てない」と返答。教育的指導としては「我慢させる」のが正解だったのかもしれませんが、お祝いの品を手にしてニコニコしている悠平の顔を見てしまい、母、少し甘くなってしまいました。「今日、(プレゼントを)開けちゃったら、お誕生日の日にはプレゼントないけど、いい?」と確認すると、「いいよ~」との返事。結局、3週間以上早く、プレゼントをわたすことになりました。悠平は「一足お先に、ハッピーバースデ~」と、自分で自分にお祝いしながら大はしゃぎ。その日一日、変身ベルトにプレゼントの「ハザードトリガー」を装着して変身しまくったのは、言うまでもありません。

 

仮面ライダービルド DXハザードトリガー

仮面ライダービルド DXハザードトリガー

 

 

  6月中旬、悠平が利用する福祉サービスのコーディネートをする相談支援員の家庭訪問がありました。今年から担当者が変わり、私も悠平も初顔合わせです。訪問時、玄関先であいさつをすると、悠平は自室に直行。その後、リビングで相談支援員と私が話をしていると、変身ベルトを装着した悠平が、ベルトグッズを持参してやってきました。「では、変身してみます」――周囲の状況をまったくわきまえず、変身デモンストレーションを始めてしまいました。私は少々焦りましたが、相談支援員は慣れたもの。自閉症積極奇異型の、空気を読まない一方的なかかわり方を見て取りながら、サービス精神旺盛な(?)悠平の性格も、笑顔で受け止めてくださいました。

  相談支援員とはこれから長いお付き合いになります。軽くない知的障害やコミュニケーションに困難がある自閉症がある場合、サービス利用にも親の意向が強く出てしまいがち。将来に向けて、少しでも悠平の意思・選択を尊重できるよう、支援員の方と悠平との直接のかかわりを大切にしていきたいと思いました。

 最後は親戚の結婚披露宴でのエピソード。新婦が親戚のお姉さん、初顔合わせの新郎は電車の運転士さんです。披露宴会場の入り口にはプラレールが走り、出席した子どもたちには新郎が運転する豪華特急列車のプラレールがプレゼントされました。悠平、肌身離さずプラレールを抱えていました。途中、着物姿の新郎新婦がお色直しのため退場。再び会場のドアが開き、ドレスとタキシードに着替えた新郎新婦にライトが当たると、悠平は一言「変身した!」。――笑顔で横切る新郎新婦の姿に「うわ~、きれい」「かわいい~」と盛り上がる会場をよそに、私は「結婚式で衣装を着替えるのは、お色直しって言うんだよ」と真面目に説明しながら、笑いを禁じえませんでした。

  毎週日曜日、『仮面ライダービルド』を観ています。いろいろなフォームに変身していく仮面ライダーを悠平と一緒に楽しみながら、「一番楽しみなのは、君がどんな大人に変身していくかだよ、悠平」と心の中でつぶやく母でありました。

ラーメン開眼

 yuheipapaです。
 悠平は食べ物については保守的で、以前は味や舌触りが分かっている食べ慣れたものしか口にしようとしませんでした。それが最近は、わたしが「チャレンジしよう」と言いながら勧めたら、とりあえず一口かじってみる、ということが増えてきました。そうやって食べられるようになってきたものの一つはラーメンです。
 以前の記事で紹介しましたが、今年春に千葉県君津市に九州ラーメンを食べに行った際には、当初は悠平もラーメンにチャレンジしてみるつもりでいたのですが、結局は食べ慣れたチャーハンになりました。

yuheipapa.hatenablog.com

 ラーメンへのチャレンジはそれから間もなくでした。西武池袋線沿線のお寺を訪ねに出掛けたある日曜日、昼食を練馬区の江古田駅前で取ることとしました。実は江古田にはわたしが大学生のころに気に入っていたラーメン屋さんがありました。何十年ぶりかで訪ねてみたのですが、駅前の一角にお店は健在。味も舌の記憶と寸分の違いもありませんでした。この店のラーメンはスープは薄口の醤油味ですが、大量のイリコから出る魚介風味が最大の特徴です。これが和の風味が大好きな悠平には良かったのでしょうか。悠平には別に半チャーハンもあったのですが、お椀に麺とスープ、一切れだけ入っていたチャーシューもつけて取り分けてやると、黙々と食べました。「おいしい?」と聞くと、返ってきた言葉は「おいしい」と一言だけでしたが、箸を止めずに一気に食べたところを見ると、気に入ったようです。
 その後も外出中の食事では時折、中華系のお店に入り、わたしがラーメンを頼んで悠平に取り分けるようになりました。いずれも悠平は「おいしい」と言って食べていますが、最初に食べた魚介風味の一杯は特に気に入ったようです。江古田のこのお店の支店と言えばいいのか、同じ店名でメニュー構成やラーメンの特徴が全く同じ店がJR中央線の高円寺駅近くにあるのをネットで見つけました。ちょうど、高円寺で昼食を取る外出計画を立てているときでした。悠平に「この間のラーメン屋さんと同じラーメンがあるよ」と言うと、「ここがいい」と二つ返事。ほかにも悠平が好きなカレー屋などもあったのですが、迷うことはありませんでした。初回と同じように、ラーメン一杯を2人で取り分けで食べ、悠平はほかに半チャーハンも。悠平はやはり無言で箸を動かし、満足した様子でした。
 実は、わたしは体重など健康面の理由から、ここ数年はラーメンは控えるようにしていました。悠平に分けてやることで、わたしの食べる量を減らすことができます。父子で一杯のラーメンを分け合って、ともに満足ですが、いずれ悠平もちゃんと1人前を食べるようになるでしょう。その時にわたしはどうするか。ちょっとした悩みになっています。

 以下は、これまでに悠平が食べたラーメンの一部です。

【江古田のラーメン】
 記念すべき一杯です

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【高円寺のラーメン】
 江古田のラーメンとまったく同じです 

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【自宅近くの中華屋さんのラーメン】
 鶏ガラスープの東京ラーメン。麺がおいしい 

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 悠平に取り分けです。チャーシューは食べますがナルトはいつも「いらない」

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 タンメンも「おいしい」と言って食べました

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花を楽しむ悠平~アジサイ 2018

 yuheipapaです。
 悠平との「父子乗り鉄と巡礼」で最近、外出中の悠平にいちだんと成長を感じるようになってきました。
 以前は悠平の関心の第一は電車でした。どこに出掛けるかはわたしが提案し、悠平は乗りたい電車に乗れるようならOKを出す、というやり方で決めていました。帰路、「きょうは何が一番楽しかった?」と聞くと、ほぼ必ず「○○線の○○電車に乗ったこと」と答えていました。それが最近は、違う答えが増えています。
 ここのところ、わたしの運動不足解消を兼ねて、悠平と外出するとなるべく歩く距離を増やすように心掛けています。鎌倉なら、JRの電車を北鎌倉駅で降りて、いくつか寺や神社にお参りしながら鎌倉駅まではたいてい歩きます。先日は鎌倉の大仏を参拝した後、江ノ電が混んでいるようだったので、そのまま江ノ島まで歩きました。その日、悠平に「何が一番楽しかった?」と聞いて、帰ってきた答えは「歩いたこと」でした。
 また、5月の下旬からは、例年よりも開花が早いアジサイを見に、あちこちへ出かけています。そんな日の「何が一番楽しかったか」の答えは「アジサイを見たこと」でした。しばらく前から、言葉遣いと言うか、言語での表現が豊かになってきたとは思っていましたが、感性や感受性も増してきているのでしょうか。アジサイを美しいと感じるようになってきたのだとしたら、とてもうれしいのですが。もしかしたら、単に好きな電車に乗れなかった、乗った電車の中にお気に入りがなかっただけかもしれません。
 悠平が「アジサイを見て楽しかった」と話すのを聞いて、思い出すことがあります。
 悠平が小学校に入学する年、今から5年前の3月、わたしと悠平とで奈良県宇陀市の室生寺にお参りに行きました。大阪に住んでいたころです。室生寺は、真言密教の中で高野山が女人禁制だったのに対して、早くから女性の参拝を認めていたので「女人高野」の呼び名で知られます。
 ※室生寺公式ホームページ http://www.murouji.or.jp/
 ちょうど春の特別拝観で、金堂に国宝や重文の見事な諸仏像が立ち並ぶ光景を間近で、息を呑みながら眺めました。その後、ご朱印をいただきながら、お寺の女性の方と少し話をする機会がありました。女性の方が悠平に「大きいね。何年生?」と声を掛けてくれたのですが、悠平は返事ができず、照れたようにニコニコするばかりだったのがきっかけでした。
 わたしが悠平の自閉症のことを話しました。参拝に来られる方の中には、車いすの方もいらっしゃるとのこと。「体が動くということは、ありがたいことですね。美しいものをたくさん見せてあげてください」と言われました。以来、悠平には努めて美しいもの、そして本物を見せてやるようにしてきました。親としてできることの一つだろうと思うからです。だから、悠平に「何が楽しかった?」と聞いて「アジサイを見たこと」と答えるのを聞いたときには、「悠平も『美しい』とか『きれい』と感じるようになったのか」と思いました。本当にそうだとしたら、親としてこれほどうれしいことはありません。これからも美しいもの、本物を悠平と一緒に見ていこうと思います。

 ※参考過去記事

yuheipapa.hatenablog.com

 以下は悠平と一緒に見に行った今年のアジサイです。

 ▼明月院:鎌倉を代表するアジサイの名所の一つです。JR横須賀線北鎌倉駅から徒歩10分。濃いブルーのアジサイで知られます。見ごろの時期は混雑します。本堂後庭園のハナショウブもきれいでした。

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 ▼浄慶寺:川崎市麻生区にあるあじさい寺。ネットでたまたま知りました。小田急線柿生駅から徒歩10分ほどです。丘陵地の斜面に植えられたアジサイもきれいですが、境内にはユニークな羅漢さんの石像がいくつもあり、見飽きません。酒を飲んで踊ったり、パソコンを操作中の羅漢さんまで。悠平も楽しそうでした。

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 ▼正覚寺:横浜市都筑区にある“穴場”のあじさい寺。横浜市営地下鉄ブルーラインのセンター南駅から港北ニュータウンの住宅街を5分ほど歩いていくと、重厚な山門に着きます。開発前は一帯はきっとこんな感じだったのだろうと思わせるように、緑が豊かな境内です。アジサイのほかハナショウブやスイレンがきれいでした。訪問した日は雨模様で、悠平と一緒に傘をさしてのお参りでしたが、やはりアジサイは雨に映えます。

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悠平の心配事

 妻(yuheimama)です。私、先日、風邪を引いてしまいました。微熱ながら発熱が数日続きました。悠平は、私が咳をしたり、検温をするたびに、「大丈夫?」と声を掛けてくれました。「母を心配してくれているのね。なんて優しい!」と、感動してしまいました。が、しかし…ある一言で、悠平が最も心配していた事柄が、私の体調ではない事実が判明したのです!

 そのとき悠平は、「大丈夫? 明日、行ける?」と聞いてきました。「明日、行ける?」というのは、朝のスクールバス乗り場への付き添いのことです。悠平は、生活習慣へのこだわりがことのほか強く、スクールバス乗り場と自宅間の送迎は私でなくては対応できません。これまで何度かyuheipapaの送迎を働きかけてみましたが、頑なに拒否してきました。そんなことが何度かあって、悠平は担任の先生との間で「今度、お母さんの具合が悪い時は、お父さんとバス乗り場まで行きます」と約束を交わしていたのです。悠平が最も心配していたのは、「朝、お父さんと行かなくてはならないかも」ということだったのです。

 それが分かって以来、「大丈夫?」と聞かれると、私はわざと「明日の朝にならないと分からない。熱があったら、お父さんと行ってね」と声を掛けるようになりました。悠平は思いっきり顔をしかめて、「いや~」と低い声で答えていました。

 最も体調が悪かった朝には、相変わらず「いや!」と言う悠平に、yuheipapaが「お母さんがかわいそうだと思わないの?」と尋ねたところ、「思わない!」と言う始末。――えっ、そうなの? なんてかわいそうな私…。最後には、次回こそお父さんと行く、行かなかった場合は週末のお楽しみであるお父さんとのお出掛け(=乗り鉄巡礼)には行かないというペナルティを受ける、という趣旨の念書にサインをさせ、鎮痛剤を飲んで私が送っていきました。

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 これまで、私が高熱を出して送迎できない日には、悠平は学校を欠席せざるをえませんでした。こちらが高熱でぐったりしていても、元気な悠平は「お母さん、お昼ごは~ん」「おやつ~」「夕ごは~ん」とマイペース。こちらは食欲がないのに、ゆっくり寝てもいられません。さらに、通知表の出欠欄には、「事故」として記録され、目が点です。まぁ、本人の病欠ではないし、確かにアクシデントなのかもしれませんが、ちょっとトホホな気分。悠平の適応力の向上が母のQOL(生活の質)をも向上させます! 悠平のため、私のため、念書を手に、これからも働きかけを続けていこうと思います。

雨上がりの出来事

 妻(yuheimama)です。ある日曜日、悠平はyuheipapaとお出掛け。降り出した雨が本降りとなり、予定より早めに帰宅しました。玄関でぐしょぐしょに濡れたスニーカーを脱ぐと、悠平は出迎えた私に「靴、洗っておいて!」と言いました。私は、かなり履きこまれたそのスニーカーを見て、「そろそろ引退でもいいかな」「先日買った、ワンサイズ上のスニーカーと替え時かな」と考えました。スニーカーを洗う前に、新しいスニーカーが大きくないか試し履きをさせて、最終的に決めることに。悠平はというと、スニーカー同様に濡れて足に密着した靴下を引っ張りながら脱いで洗濯カゴへ。試し履きは翌日に持ち越しとなりました。
 月曜日の夕方、帰宅した悠平は玄関に入るなり「靴、洗っておいてって言ったでしょ!」と、怒りモード。視線を落とすと、悠平が履いていたのは日曜日に濡れた、洗わないままのスニーカーでした。私が「湿ってた?」と尋ねると、「うん、湿ってた」と悠平はムスッと答えました。部屋に入ってから、新しいスニーカーの試し履きをさせ、翌日からスニーカーをチェンジ。濡れたスニーカーは引退させ、一件落着となりました。
 それにしても悠平の怒りモードのクレームには驚きました。かつてのパニックとは明らかに調子が違います。最近、行動切り替えのために声を掛けても、自分のペースを変えずにだらだらとしたり、こちらが「手伝おうか」と言葉を掛けても「いや、自分でやる」と言うことが多くなりました。さらに先日、自分の手の平と私の手の平を合わせて大きさを比べると、ほとんど同じ大きさであることを確認して「僕、大人っぽくなった」と一言。「大人っぽい」という言い方は微妙ながら、自分の成長を悠平自身、自覚しているようです。こうした言動は成長の証であり、反抗期の予兆なのかもしれません。
 私にとってはうれしくも、先々がちょっと不安な反抗期への移行。とはいえ、濡れたスニーカーを脱いで別のスニーカーを履こうとは思い至らなかったねと、時折見せる悠平のあどけなさに苦笑したのでありました。

「花まつりと甘茶巡り」の1日

 仏教で4月8日はお釈迦様の誕生日とされています。そのお祝いの行事を「灌仏会(かんぶつえ)」と呼んだり「降誕会(ごうたんえ)」「仏生会(ぶっしょうえ)」と呼んだりします。ごく平易には「花まつり」と呼ぶようで、一般にはこの呼び名がなじみやすいかもしれません。
 悠平と2人で休日の寺社巡りを本格的に始めたのは2011年のことでしたが、花まつりのことを知ったのは2年ほど前、最近のことです。ことしの4月8日は日曜日だったので、思い立って悠平と一緒に東京の花まつり巡りに出掛けました。
 東京都港区芝の増上寺でもらった説明の紙片によると、花まつりのいわれは、以下のようです。

 「はなまつり」とは、お釈迦さまの誕生をお祝いする行事です。
 今からおよそ2500年前の4月8日に、ルンビニーでお釈迦さまはお生まれになりました。お生まれになったお釈迦さまはその場で7歩お歩きになり、天と地を指さして「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」とおっしゃいました。「今、こうして受けたこの命はみなそれぞれ尊く、素晴らしいものだ」とお説きになられたのです。
 その時、降誕に感動した竜王が空から甘露の雨を降らせ、周りの草木が一斉に花開き、人や動物や全ての物がお釈迦さまの誕生をお祝いしたという伝説にならい、花で飾られたお堂におまつりされた、天と地を指差しているお釈迦様の像に甘露の雨を模した甘茶をおかけしてお祝いするのです。

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【寛永寺 両大師堂】

  回ったのは池上本門寺(大田区)、芝の増上寺(港区)、御徒町の摩利支天徳大寺(台東区)、上野公園の寛永寺清水観音堂、寛永寺両大師堂(台東区)の5カ所です。花で飾られた小さなお堂を「花御堂(はなみどう)」と呼びます。中に置かれた天と地を指差しているお釈迦様は「誕生仏」と呼びます。周囲には甘茶が満たしてあり、小さなひしゃくですくって誕生仏にかけた後、手を合わせます。終わった後には、甘茶をいただきます。
 悠平もわたしも、甘茶がすっかり気に入りました。アマチャヅルとカンゾウという甘味料としても使われる植物が原料です。砂糖とは違ったほんのりとした甘みが口の中にじんわりと広がります。だいたいどこのお寺も、冷ましてから出していましたが、熱いうちにポットに移して出しているお寺も1カ所ありました。熱い方が甘みが強く感じられたような気がします。
 悠平は最初の池上本門寺で甘茶をいただき、一口ですぐに気に入ったようでした。お寺から次のお寺へ向かう間、「甘茶あるかなあ」「次のお寺でも甘茶を飲みます!」と、本当に楽しみな様子でした。手先が器用ではない悠平は、ひしゃくを持つ手はぎこちなく、甘茶もうまくお釈迦さまにかからないのですが、一生懸命に取り組みました。
 結局、花御堂を5カ所でお参りし、甘茶も品切れになった最後の両大師堂以外の4カ所でいただきました。“花まつりと甘茶巡り”の1日になりました。

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【池上本門寺の参道沿いにある鬼子母神堂】

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【誕生仏をクローズアップ】

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【増上寺】

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【摩利支天 徳大寺】

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【寛永寺 清水観音堂】

 上野公園にある寛永寺の清水観音堂には、びんずる(賓頭盧)尊者のストラップ式のお守りがありました。びんずる尊者はお釈迦様の高弟の羅漢の1人。「なで仏さま」「おびんずるさま」などと呼ばれる木像があちこちのお寺にあり、自分の体の悪いところと同じ部位をなでると効用がある、とされています。悠平は寺社巡りを始めた当初から、びんずる尊者が大のお気に入り。「悠くん、びんずるさんのお守りがあるよ」と声を掛けると、目にするなり即座に「買う!」。健康のお守りとして、身に着けています。

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【びんずる尊者】

筆算も視覚アプローチで

 妻(yuheimama)です。足し算の練習を続けている悠平。先日来、筆算に挑戦しています。筆算は、2ケタ以上の繰り上がりを学習するために必要なステップです。果たしてその結果は?

 

 その1)宿題プリント。なんと、筆算を無視して計算してしまいました。答えは合っていたんですけどね。 

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 その2)家庭学習プリント。左に書かれている横書きの式を、まず、筆算に書き直します。が、ここで問題が! 思いもよらなかったことに、数字を縦書きにしてしまいました。

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 一の位と十の位は理解していると思っていたのですが、「2つの関係」が苦手な悠平は、横書きの式と筆算が同じ意味であることが分からなかったのかもしれません。もしそうであれば、言葉で説明を尽くしても混乱するばかり…さて、どうしたものか。

自閉症児は視覚優位なので、目で見て分かる方法を考えました。それがこちら↓。横書きの式の数字をカードにして、筆算に移動させることにしました。目で見て、手で操作。

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 これには悠平、大喜び! すぐに正答して、「もっとやりたい!」とリクエストまで飛び出しました。カードづくりは少々面倒ですが、慣れるまでこれを繰り返し、横書きの式と筆算の関係をパターン認識させることで、「2つの関係」の理解を促していきたいと思います。

 

 悠平の場合、算数を教えるのには、ワンステップごとに工夫が必要。毎度、頭を悩ませますが、百の位、千の位の足し算ができるようになれば、実生活でお金の理解が深まるはず。生活力の向上を目指して、悠平と二人三脚、まだまだ頑張ります。