3歳児健診から東邦大病院へ

 現在の悠平は身長105センチ、体重19キロ。3歳児としては並外れた大きさです。生まれたときは前置胎盤、つまり逆子のため帝王切開でした。予定日より2週間早かったのですが、身長49センチ、体重3154グラムとほぼ標準。それからぐんぐんと大きくなり、10カ月健診のときには身長81・5センチ、体重は10・1キロありました。

 悠平がほかの子と違うようだと先に気付いたのは妻でした。1歳のころ、キッズスペースで遊ばせていても、おもちゃの遊び方が変わっていました。またがって遊ぶ室内用の車も、悠平はひっくり返して手で車輪を回して喜んでいました。
 2歳を過ぎ、言葉が出てもいい時期をとっくに過ぎてもなかなか出てこないことで、わたしもおかしいと思うようになりました。体格がいいだけに言葉の遅れが際立ちます。決定的だったのは昨年10月の世田谷区の3歳児健診でした。わたしも仕事を休み、妻と一緒に悠平を連れて行きました。悠平の発育状況が気になっていたことのほかに、歯科健診で悠平が暴れたら一人で押さえるのは無理、との妻の要望もありました。
 ほかの子と一緒にいる中では、悠平は言葉が出ないだけでなく、親の言うことを聞いているかいないかの差まで歴然としていました。体は大きいのに、オムツも取れていない悠平は、仕草の一つひとつが幼く見えました。
 小児科医の問診は若い女性の医師でした。二言三言、悠平に話しかけますが、悠平はそ知らぬ顔です。医師から「専門医に診てもらったほうがいい」と奨められ、池尻大橋にある東邦大医療センター大橋病院への紹介状をその場で書いてもらいました。

 11月の日曜日、私立幼稚園の入園試験を2カ所受けましたが、いずれも不合格でした。ここでも、ほかの子に交じっている中での悠平のマイペースぶりは際立っていました。
 先生が弾くピアノに合わせて、子どもたちがもう一人の先生と同じ動きをするテストがありました。悠平は妻の目の前で直立不動のまま。ピアノの演奏が終わると、にこにこしながらパチパチと手をたたいたそうです。
 「専門医に診てもらえば、おそらく何らかの症状名が出るのだろうな」と、このころにはそんな覚悟が出来つつありました。