「おいしい!」に感激

 妻(yuheimama)です。遅くなりましたが、前回のエントリーで触れた悠平の「食」について書きます。
 悠平は生後5カ月の時に離乳食を始めました。完了期に至るまでに、納豆など幾つかの苦手な食品を除いて、肉、魚、卵、豆腐、乳製品に、根菜、葉物野菜、きのこ類、果物などの食品を比較的バランスよく食べるようになっていました。何人かのお母さんから「離乳食、食べないのよ」などという話を聞くこともあったので、「悠平は好き嫌いが少なくてよかった〜」と安堵したことを覚えています。
 それが一転、それまで食べていたものを手で押しのけたり、嫌そうな顔をして日に日に食べる種類が減り始めたのが、1歳8カ月の時でした。風邪で発熱した際に食欲が落ち、体調が戻ってからも食が進まないように思われたので、かかりつけの小児科医に相談したところ、「たくさん食べる時期もあれば、少し食欲が落ちる時期もあるから」と言われました。食欲に関していえば、確かにしばらくして食べる量は元に戻ったのですが、種類に関しては、それまで食べていた魚や卵料理、野菜をどんどん食べなくなり、ついには毎日必ず飲んでいた牛乳さえも受け付けなくなりました。「2〜3歳になると好き嫌いが出てくるから」と、先輩お母さんたちに言われ、少しホッとはしたものの、「ハンバーグやカレーのほかは、かぼちゃとトマト、果物ばかりで栄養のバランスは大丈夫なのかしら」と不安はぬぐいきれませんでした。
 「広汎性発達障害」の診断を受け、悠平の食のあり方が「好き嫌い」ではなく「偏食」である可能性を知りました。4歳という年齢からいって「好き嫌い」の影響もまだまだあるのかもしれませんが、悠平の場合は、味と見た目とにおいに反応しているようなので、味覚、視覚、嗅覚の過敏性からくる「偏食」が中心にあるようです。
 今のところは限られた種類や調理法の食品しか食べられませんが、偏食だから仕方がないと諦めては、未知なる悠平の食の世界を見つけることができません。そこで休日、夫と協力して食事の準備と悠平の相手ができるときに、あれやこれやと試しています。普段家で遊んでいるときはケタケタ笑う悠平ですが、食事の時には無表情でもくもくと食べるばかりで「おいしい」の一言が出ません。あれこれ作っても、手を伸ばしてくれるものは限られています。親としては少し切ないところです。そんな日々の中で、下田での新しい食との出合い――牛肉の甘辛煮――に「おいしい」と言葉を発してくれたときには、思わず涙が溢れ出ました。「あぁ、一つ開拓できた!」。以来、我が家では、悠平が牛肉のおいしさを忘れないようにと(それを口実に?)、頻繁に甘辛煮やすき焼き、肉豆腐などの牛肉料理が食卓に上るようになりました。悠平の食世界の開拓はまだ始まったばかり。これからも続けていきたいと思っています。

※写真はある日の悠平の夕食のおかずです。から揚げにとり天(鶏肉のてんぶら)、トマトにカボチャの煮つけ。悠平が食べる野菜は、これ以外はフライドポテト(ほかのジャガイモ料理は食べません)、ナスのみそ汁、なめこのみそ汁ぐらいでしょうか(yuheipapa)。