この1年の成長と発達

 悠平が昨年12月、広汎性発達障害の診断を受けてから1年がたちました。このブログも間もなく1年を迎えます。最初のころのエントリーを読み返してみると、この1年間で悠平は彼なりのペースで成長していると感じます。4歳半の悠平の「いま」を書きとどめておきます。

  • 身長113センチ、体重20キロ。身長は1年で8センチ伸びました。来春から幼稚園ですが、まず間違いなく学年で一番の大きさでしょう。体重は1年前とあまり変わりません。偏食が激しい割にはスリムな(?)体型を維持しています。メタボが気になる父から見れば、うらやましい限りです。靴(スニーカー)は19センチを履いています。
  • ブランコに一人で乗れるようになった。スリムな理由の一つには、筋肉の発達が未熟なこともあるようで、運動を増やすのが課題です。わたしが午後から出勤の日などには、近くの公園に連れて行ってYバイクに乗せたりしています。以前はあまり関心を示さなかったブランコも、最近は一人で乗れるようになってきました。さらに鍛えてジャングルジムにも登れるぐらいになれば、全身のバランスをとることが楽になり、動きの不器用さも改善されていくと思います。
  • 偏食は相変わらず。進んで食べるものは鶏のから揚げ、メンチカツ、ハンバーグ、肉団子、カレーライス、すき焼き(ただし肉だけ、卵はだめ)、ポテトフライぐらい。果物とトマトは好き嫌いなく食べますが、野菜で手を伸ばすのはカボチャの煮物、なめこ汁とナスのみそ汁ぐらいで、特に葉っぱものはまったくダメです。カレーライスのニンジンも残すようになりましたので、最近は鬼おろしでおろしたものを煮込んでいます。魚介類はイクラと海苔だけ。イクラの軍艦巻きは、きれいにイクラを食べた後、海苔をはがして食べます。酢飯は苦手のようです。揚げ物の衣のカリカリ感が大好きなのは相変わらずで、最近はエビフライは衣のほかに尻尾も食べるようになりました。白いご飯に、きなこをかけるのが大好き。パンは口に合わないと一口かじって終わり。食事はいつも無言で、もくもくと食べます。「おいしい」のひと言がなかなか出ないのがさびしいところです。
  • 二語ことばが増えてきて意志疎通も進んできた。遅れているなりに、オウム返し以外にも自発的な二語ことばを時折、口にするようになりました。わたしや妻が言うことも、大半は理解できているようです。ただし、わたしたちの指示に従うかどうかは、集中できているかどうかで大きく異なります。数は1から始めて順に70〜80ぐらいまでは数えることができるようになりましたし、数字もそれぞれに識別するようになりました。ひらがなも50音を言えますし、識別もおおむねできていますが、単語として読めるまでには至っていません。人に会ったら「こんにちは」など、あいさつもできるようになってきました。ただし、「こんにちは!こんにちは!こんにちは!」と、大きな声で連呼したりするので、話しかけられた人が驚いてしまいます。また、わたしが早めに帰宅した日などは玄関に駆けてきて出迎えてくれるのですが、開口一番「ただいま!」だったり。
  • テレビ番組が切り替わるとパニック。パニックの質が明らかに変わってきています。自宅で好きなテレビ番組を見ていて、その中でもお気に入りのコーナーから突然、別のコーナーに切り替わると、激しく泣き叫ぶようになりました。期待が裏切られたり、予期していない変化がダメなようです。外出時の道順などは、あらかじめどこにどの順番で行くかを言い聞かせておけば、近所なら写真カードを見せなくてもパニックを起こさずに済むようになってきました。「1(いち)駅、2(に)電車、3(さん)デニーズでごはん、4(よん)西友でお買い物」といった具合です。問題は「次は○○に行ける」と悠平が強く期待を持った予定が急きょ変更になった場合です。電車の中で「次はタクシーに乗ります」と言い聞かせておいて、駅で降りて改札を出たものの、タクシー乗り場が離れた場所にあってもう一度駅に入らなければならなくなったことがありました。てっきり次は大好きなタクシーだと思っていた悠平は、わんわん泣きながら全身をばたつかせ激しいパニック。そのまま抱え上げていくわたしを見て、周囲の人は「誘拐だ」と思ったかもしれません。そうした視線にも今では慣れていますが、あまりにパニックが激しいと110番でもされるのでは、とちょっと心配です。
  • 情報過多に弱い。デパートやスーパーでは、人の多さ、色とりどりの多種多様の商品、BGMが、悠平にとっては視覚や聴覚からどっと情報が流れ込み、処理しきれない状態になるようです。店内に入ると、最初は興奮状態であちこち走り回ろうとして押さえておくのが大変です。しかしやがて、全身の力を抜いてしゃがみこんだり、のけぞるようにしながら仰向けに床に寝転んだり。泣きわめくことはないのですが、これもパニックの一つなのかもしれません。こうなると力づくで担ぎ上げるしかありません。実はわたしはスーパーやデパートの食材売り場が大好きで、ブラブラとあれこれ見ながら衝動買いするのが休日の楽しみの一つだったのですが、今はなるべく事前に買うものをリストアップしておき手短に済ませるようにしています。
  • 好きなものは光って見える?と考えるしかないぐらい、目力(めぢから)を発揮することもあります。とくに鉄道系のおもちゃです。先日も何気なく駅の売店の前を通り過ぎようとしたところ、悠平が突然、力任せにわたしの手を引いてグイグイと売店へ。「これー!、これー!」と指差した先にはNゲージの電車のおもちゃの新製品がぶら下がっていました。情報過多であっても、好きなものは別のようです。こうした場合に、その場で買ってやるかどうかが難しいところです。買わなければ間違いなく激しいパニックです。かと言って、いつも言いなりに買っていれば「我慢」を覚えることができないままでしょう。特に困るのはファミリーレストランに置いてあるおもちゃです。食事の場所でおもちゃを売るなど、いったいだれが考え出したのでしょうか。入店の時と支払いの時、毎回必ず小パニックですが、ここでは断固として要求を拒否しています。悠平もその場では泣きますが、店を出て3分もすればケロリと忘れてしまいます。
  • 発車オーライ!悠平ルール。乗り物へのこだわりは強まっています。電車でもバス、タクシーでも頑固にこだわるのが「発車オーライ」の悠平ルール。要は、降りた後に自分が乗ってきた電車やバス、タクシーの発車をその場で見送る、ということです。困るのは電車が急行の通過待ちでしばらく停車する場合や、終着駅で折り返し運転の発車までに時間がある場合などです。妻とは、行動には時間的な余裕を持たせるようにしようと話しています。
  • 将来への期待につながるパソコン。この秋、わたしと妻用に新しいノートパソコンを購入しました。それまで使っていたデスクトップのパソコンは今ではすっかり悠平の占有。放っておくとカチャカチャと2時間でも3時間でも遊んでいます。もっぱら、おもちゃメーカーや放送局のサイトの中にあるアニメ・キャラのページやゲームのページが訪問先です。マウスクリックの操作とその結果としての画面の変化の因果関係が明確なパソコンは、不規則な変化に弱い発達障害児にはぴったりだと思います。将来の社会参加や就労にも役立つツールとして、パソコンやネットとの付き合い方はしっかり教えてやろうと思います。

 ほかにも、いまだに何でも口に入れかんでしまう(携帯電話の充電器やパソコン関係のケーブルもやられました)など、手を焼くことも多いのですが、全般的には悠平なりのペースで「発達」が進んでいると感じます。世田谷区の総合福祉センター(さくらポート)で週1回受けている「あさがおグループ」の療育プログラムの効果もあると思います。ここでご一緒しているほかの発達障害児とその親御さんとの出会いは、共通の悩みを何でも話し合える場ができたという意味で、親にとっても大きな出来事でした。そううした「つながり」や「ご縁」は、このブログを読んでくださっている皆さまとの間にも感じることがあります。これからもよろしくお願いいたします。

※写真は、悠平があさがおグループで作った紙粘土製のクリスマスリースです。さくらポートのクリスマスツリーに飾り付けた後、それぞれ持ち帰ったそうです。わが家にはツリーはないのですが、このリースでクリスマス気分です。