発達検査の結果から―視覚支援とひらがな学習

 妻(yuheimama)です。今月下旬から新しい療育施設でのトレーニングが始まりました。この施設での療育に先立ち、悠平は3月末に発達検査を受けました。検査は母子分離で行われたため、具体的な内容は分かりませんが、検査結果は「認知・前言語/表出言語/理解言語/微細運動/粗大運動/視覚―運動の模倣」という6つのカテゴリーによって示されました。それによると悠平には、「認知・前言語/微細運動」の領域は比較的強く、「理解言語」の領域は弱いというアンバランスさが見られ、感情表出、対人的相互関係、運動面、言語面で、中度から重度の問題が見られたとのことでした。専門的な療育・支援は今後、個別支援計画を立て行っていくことになります。

 家ではケタケタ笑って表情豊かに甘えてくる悠平に、感情表出や対人関係に中度から重度の問題が見られるというのは少し意外な印象を受けましたが、家の内と外での違いは親が思っている以上に大きいのかもしれません。以前なら「重度」などと言われたら激しく落ち込んでいたかもしれませんが、今回は悠平のありのままを受け入れようという心構えができたからか、単に状況に慣れたのか(!?)、「それなら今後どうしていけばいいのだろう」と一歩先を考えられるようになっていました。発達障害児が少しずつ発達するように、親も発達していきます(笑)。

 今回の検査結果ではうれしい発見がありました。悠平はひらがなを読めるようになっていたのです。以前からひらがなに親しめるよう、ひらがなを扱った絵本を読み聞かせしていたので50音順に言うことはできたのですが、ばらばらに出された場合に読めるかどうかを試したことはありませんでした。今回の検査では順不同のひらがなを読むことができ、単語になると読めないということが分かりました。

 そこで単語カードの要領で「ひらがなかーど」を作ってみました。表にひらがなで悠平が好きな絵本のキャラクターや乗り物の名前を書き、裏にその絵や写真のコピーをはります。悠平には表面の文字を一文字ずつ読ませて、それがつながると大好きなモノの名前になり、裏返すと視覚で確認できるという仕組みです。例えば「は」→「はら」→「はらぺ」→「はらぺこ」…「はらぺこあおむし」といった具合です。悠平の食いつきもよく、我ながらうまくできたとほくそ笑んだのもつかの間、悠平は裏の絵を見てから表のひらがなを確認するようになってしまいました。

 当初の目論見は外しましたが、興味・関心に偏りのある悠平には、市販のドリルなどよりも好きなものを糸口にして学習するよう仕向けることが効果的であるように思えました。また、ひらがながつながると意味のある言葉になるということが理解できたのか、その直後、おもちゃに書いてあった自分の名前を「ゆうへい」と読めるようになりました。幼稚園でも担任の先生から伺った話では、何冊も並べられた連絡帳の中から自分の名前の書かれたノートを一人で見つけることができるようになったということです。

 また、今回の検査結果から言葉の理解を補うために写真や文字を用いた視覚支援が提案されました。以前には近所の写真を撮ってカードにし、外出の際、道順や行先をカードで知らせたことはあったのですが、悠平が単語を話し出したあたりから言葉を増やしたいと考え、最近ではほとんど視覚支援をしていませんでした。少しずつ理解できる言葉は増えていますが、未体験のことをしなくてはならないときなどには、悠平が理解できる範囲の言葉だけでは情報が不十分で見通しが立たないからか、パニックを起こすことがあります。例えば幼稚園へは制服登園が基本なのですが、その日の活動内容によって体操服で登園する日があります。はじめて体操服で登園する朝に、いつもの制服ではなかったからか、悠平はちょっとしたパニックを起こしました。そこで試しに、簡単なイラストを使ったスケジュール表を作成しました。材料は100円ショップで購入した小さなホワイトボードとマグネット、それに家にある紙とペン、色鉛筆です。制服や体操服、行き返りの幼稚園バスなどをイラストにしてマグネットに貼りつけ、ホワイトボードに並べて見せるようにしました。読む練習もかねて、イラストの横にはひらがなの説明も付けます。このような視覚支援によって、以降はパニックを起こさずに服装や一日の流れを理解できるようになったようです。悠平自身、このスケジュールボードは自分から見るようになりました。これからは適宜、視覚支援を考えていきたいと思っています。


 療育のある時間帯は幼稚園の時間と重なっているため、幼稚園を欠席して通うことになります。幼稚園大好きの悠平が、混乱せず、嫌がらずに療育に通えるか、このスケジュールボードを使って試してみたいと思っています。