言葉をはぐくむ―ついに出ました、3語文

 妻(yuheimama)です。先日、悠平が幼稚園に行っている間に美容院でカットをしてきました。園バスのお迎えに行くと、悠平がバスを降りるなり「お母さん、髪、切った」と言いました。私が「そうだよ、お母さん、髪を切ったんだよ」と言うと、何度も「お母さん、髪、切った」と繰り返し言いました。助詞は抜けていますが、初めての3語文です! 最近では語彙が増え、2語文が定着してきていたものの、なかなか3語文が出てこなかったので本当にうれしかったです。そこで今回は、悠平の言葉の発達について振り返ってみたいと思います。(余談ですが、夫は私が髪を切ったことに気付かず、このことを話すと「悠くん、目力(めぢから)強いな〜」と別のところで感心していました…)

 育児日記をひもとくと、悠平は1歳7カ月の目前に初めての単語を発していました。絵本『おさるのジョージ』シリーズが大好きだったためか「ジョージ」と言ったのです。当時は月齢的に見てもこれから話し出すのだろうと思ったのですが、その後なかなか言葉が出てきませんでした。ごくごくまれに「ジョージ」と言うほかは、「ガーガー」と声を出すばかり。かろうじて私のことをガーではなく「かー」と言ってみたり、たまに上京する祖母(生前の私の母)のことを「ばーば」と言う程度。しゃべっているような、いないような。こちらが話しかけると、「公園へ行こう」等のお楽しみには反応して、「お片づけしよう」などの面倒なことは無視しているように思えました。そのときには「知恵がついてきたな〜」と能天気な勘違いをしていましたが、今から思うと「公園」は遊び場としての絵柄が頭にすぐ浮かび、「お片づけ」に関してはイメージが湧いてこなかっただけなのかもしれません。言葉が遅いことは多少気がかりではありましたが、発達障害の知識は皆無でしたし、3歳過ぎに話し出したお子さんの例も周囲から聞いてので個人差の範疇かと思っていました。

 そして迎えた3歳児健診。そのころには「ジョージ」とすら言わなくなり、「ガーガー」と発するだけになっていました。健診会場へ行くと、体は人一倍大きいのにオムツが取れず、おしゃべりのできない悠平はとても目立つ存在に感じられました。家にいると親子ならではの以心伝心なのか、言葉がなくてもコミュニケーションはある程度取れているように思えていたのですが、健診時の悠平は医師の顔を見ることもなく、言葉を掛けられても全くの無反応。すぐに大学病院への紹介状を書いていただくことになりました。不安な気持ちで受診した大学病院では、初診時に「このまま一生話せないかもしれない」と言われ、衝撃を受けました。しかし幸運なことに、検査入院をする直前に、主人に「パパ」と呼びかけ、程なく私に「お母さん好き」と2語文で話しかけてくるようになりました。検査入院の結果は知的障害を伴う広汎性発達障害。言葉の発達については未知数だと告知されました。

 そこからは療育機関で相談したり、関連書籍を読んで、言葉の発達を促す可能性がある取り組みをしてきました(参考文献:中川信子『発達障害とことばの相談 子どもの育ちを支える言語聴覚士のアプローチ』)。

 語彙を増やすために、悠平が興味を持った物の名称を教える。その色や形を教える。例えば乗り物が好きなので「消防車は赤いね。タイヤは黒いね、丸いね」など。また関心を示した物事に関連した絵本を検索し、興味を失わないうちにAmazonで取り寄せては読み聞かせをしました。絵カードを見せながらその名称を次々と言っていくフラッシュカードを使っている方もいるかと思いますが、悠平の場合は興味がないと吸収しないというか集中できないので、フラッシュカードは購入したものの使いませんでした。

 2語文を発達させるためには日常の行為や周辺状況に言葉を当てはめるようにしました。悠平がバナナを食べたくて私に無言でバナナを差し出したときには、皮をむきながら「皮を/むく」、外出時に風が強ければ「風が/強いね。びゅんびゅん/ふくね」と実況中継。以来、この2年の間には、悠平が強風にあおられながら「風さ〜ん、もう一回!」とさらなる強風をリクエストするという珍エピソードも生まれました。また、自閉症療育センターwillでは、何かを要求する時に「○○+ください」と言う練習をしています。家庭でも悠平が「お茶」と言った時には「お茶、く?」と言って「お茶ください」と言いなおさせるようにしています。最近では「名詞+ください」だけではなく、「動詞+ください」に発展。トミカが見当たらないときなどに「トミカさがしてくださ〜い」と言えるようになってきました。

 幼稚園入園後は周囲の刺激もあってか、私が教えていない言葉も発するようになり、ついに3語文に発展しました。さっそく先日来、実況中継も「お母さんが/ドアを/あけます」など、3語文で始めました。言葉の発達はいまだ未知数と言わざるを得ない状況ですが、毎日の積み重ねを大切に、精いっぱいのことをやっていきたいと思います。