まさかの登園拒否

 妻(yuheimama)です。悠平が幼稚園への登園を拒否しています。2月の下旬から一日おきに休むこと1週間。3月はついに1日も登園することなく終業式の日を迎えてしまいました。

 体調が悪いわけではなく、ある朝突然「幼稚園行かない!」と言って着替えに泣き叫んで抵抗し、パニックを起こしたのです。悠平は理由を言葉で説明することができません。そのまま何日かするうちに分かったのは、悠平が幼稚園を嫌がるようになったころ、年長の男の子との間でちょっとしたトラブルがあったことです。タイミングから考えて、それが登園拒否のきっかけとなった可能性が高いように思われるのですが、本当に原因なのかは分かりません。トラブルの内容は、子ども同士の世界ではままあるように思えるようなことですし、幼稚園も把握していてすでに解決しました。悠平に説明したものの、どこまで理解しているのか分かりません。もしかしたらそれは単なるきっかけで、具体的な原因があるのではなく、集団の中でうまく自己表現できないことや言葉の聞き取りが苦手なことからくるストレスが蓄積されてピークに達してしまったのかもしれません。

 休み始めたころは、なんとか登園させようと声掛けをしたのですが全く効果がありませんでした。悠平の中で幼稚園に対するマイナスイメージが大きいのでしょう、園での楽しい活動や好きな遊び、お友達の名前も投げかけましたが、「いや」と言うばかり。どうしたらよいのか途方に暮れて、私が通院している心療内科の主治医に相談したり、自閉症療育センターwillの担当者に相談してみました。心療内科では「子どもの中で何か怖かったり、嫌だったりした思いというのは、大人が思っているものとは全く違って、すごく大きいのだと思います。大人の理屈で追い詰めることなく、本人の気持ちを大切に見守ってあげましょう。家で一人で遊んでいるといずれ集団での遊びが恋しくなってくるだろうから、それまでゆっくり待って、少し幼稚園への興味が出てきたら、いきなり登園させるのではなく、園の近くまで行ってみるとか、少し段階を踏むようにしてみたらよいと思います」と、助言してくださいました。willの担当者は「幼稚園に好きな遊びや活動があれば、そうしたものに少しだけ参加するとか、少しずつ楽しいイメージを持てるようにできるといいですね」という趣旨のアドバイスをしてくださいました。主人とも、しばらくの間は朝に1回「幼稚園に行く?」と聞くだけにして、「行かない」と答えたら、その後は幼稚園の話題は振らないでリラックスさせてやろうと話し合いました。

 幼稚園にもそのように伝え、園長先生、教頭先生、担任の先生、保育補助の先生に相談しながら試行錯誤で対応していくことにしました。終業式間近でお忙しい中、先生方は家庭訪問をしてくださったり、イラスト入りのメッセージカードを作ってくださったりしています。プレッシャーにならないように考慮しながら園での楽しいことを思い出せるようにと、できる限りのことをしてくださっていると思います。クラスのお友達からは「ようちえんたのしいよ」「こわくないからようちえんにおいでよ」等々のお手紙をたくさんいただきました。また、ご心配くださったお母さん方からも励ましの電話やメールをいただいています。本当にありがたいです。

 こうして悠平をリラックスさせる一方で、次に打つ手を考え、発達障害を専門とする小児神経内科を受診することにしました。東京では世田谷区立総合福祉センターで定期的な診察があったのですが、大阪では発達障害の専門医の診断は初めてです。willの保護者間での情報交換で評判の良かったクリニックをインターネットで検索して、予約を入れました。運よく土曜日に予約が取れたので、家族3人で行きました。予約時の電話で東京で広汎性発達障害の診断を受けていること、幼稚園への登園拒否が続いていることなどを伝え、診察時には昨年willで受けた発達検査の結果も持参しました。診察時間は30分弱だったでしょうか、医師は私たち夫婦による悠平の成育歴や特性の説明を聞きながら悠平の様子を観察し、「広汎性というよりも自閉傾向が強いかな」「(発達指数からすると)数値上は中度だね」「こだわりがけっこう強いでしょう」「(反応が)マイルドだから薬物は必要ないね」等々、次々に見立てを語っていきました。幼稚園に関しては登園できたらごほうび(悠平の場合はトミカ)をあげると言って誘ってみるのも一案だし、このまま休ませて新年度から切り替えを図ってみるのも一案だと提案してくださいました。また、幼稚園では保育補助の加配があることに関して、悠平にはそのような個別対応で大人が近すぎず離れすぎずに関わっていくことが有効だろうということでした。その上で、幼稚園と相談して、可能なら悠平のためのリラックススペースを設けてもらうとよいだろうとの助言がありました。医師の見立てや提案は一つ一つが納得のいくものでした。

 3学期の最終週、ごほうびで登園を促してみましたが、「幼稚園行かない、幼稚園行かない」の繰り返しでした。思い起こせば、悠平が入園するまでにはいろいろなことがありました。東京では、3年保育の幼稚園を2つ不合格になり、年中からの入園先を探して問い合わせては断られてばかり。抽選でようやく公立への入園が内定したところで、大阪への転勤。振出しに戻って、ようやく巡り合った今の幼稚園は本当に悠平にぴったりだと思える幼稚園です。これまでのことを思えば、入園してから今までが順調すぎたのかもしれません。成長がゆっくりな悠平にとって欠席した日々は、親が焦るほどの長い時間ではないのかもしれません。これからも協力してくださる皆さんのお知恵を借りながら、悠平の歩調に合わせていこうと思います。


 yuheipapaです。休みの日は妻を休養させるために、なるべくわたしが悠平を連れ出すようにしています。悠平も電車に乗って出かけるのは相変わらず好きです。小さいころから神社仏閣に関心を示していたこともあり、またせっかくの関西暮らしでもあるので、古刹を訪ねることが多いです。「父子乗り鉄と巡礼の旅」と名付けています。
 先日は、奈良県高取町の壺阪寺(南法華寺)に行きました。西国三十三カ所の第六番の札所です。
 ※壺阪寺 http://www.tsubosaka1300.or.jp/
 インドとの関係が深いお寺とのことで、デカン高原花崗岩を使ったという高さ20メートルの観音様や、全長8メートルの涅槃像などもあります。写真は、涅槃像の足の裏に興味津々、手を伸ばす悠平です。
 電車好き、とは言っても、ここのところ気分にムラが出てきたようにも思えます。自宅から最寄りのJR高槻駅発着は普通電車に乗るのが大好きだったのが、時に抵抗を示すようになりました。特に帰宅の際に目立ちます。大阪駅新大阪駅で乗り換えるのに、もともと新快速や快速はだめでしたが、以前ならすんなりと喜んで乗っていた普通電車を何本も見送る羽目になったりします。悠平にしてみればちゃんとした理由があるのでしょう。それを言葉で説明できないために、親としてはもどかしさだけが募ります。何とか、コミュニケーションを深める手段を探っていきたいと思います。

 ちなみに、壺阪寺からの帰りは、奮発して橿原神宮前から京都まで近鉄の特急に乗りました。悠平は大喜び。写真は京都駅の近鉄線ホームで、乗ってきた電車の発車を見送る「しゅっぱつしんこー」ルールの最中の悠平です。この日は気が済んだのか、高槻に帰る普通電車にはすんなりと乗ってくれました。