「乗り物パニック」軽減の秘訣を探り当てました

 妻(yuheimama)です。早いもので療育園に通い始めて、3週目になります。いまだに園バスに乗れないため、行きはタクシー、帰りは路線バスでの送迎をしています。ここ数カ月、乗り物に乗る際に、突然「のらない! のらない!」と騒ぎ出す「乗り物パニック」が頻発していたので、内心ヒヤヒヤしていたのですが、これまでのところ順調に乗ることができています。一つの仮説を立てた上での試みが功を奏しました。
 その仮説とは、タクシーに関して悠平の認知が進んで、どのタクシーに乗りたいのか自己主張がでてきたという考えです。これまではA社のタクシーもB社のタクシーも、タクシーはどれも同じものとして十束ひとからげに捉えていたのが、A社にはA社の、B社にはB社のそれぞれ異なったマークを付けたタクシーがあることを認識して、どのマークのタクシーに乗りたいのかという気持ちが出てきたのではないかと思ったのです。そこで、市内でよく見かける2社のタクシーのイラストをマーク入りで書いて選ばせたところ、大喜びで「これにのる!」と選択したのです。以来、律儀にも1日交替で2社のタクシーを乗り分けています。

 電車に関しても、以前はいざ乗り込む段になって「のらない、のらない」とパニックを起こすことがしばしばありました。これも「電車」と大雑把にしか把握していなかった乗り物に、快速や普通という種類があると認知が進み、好みの自己主張が起きてきたからこそのパニックだったのでしょう。今は「快速に乗る? 普通に乗る?」と尋ねると、行きは普通で帰りは快速というように自分で選んでスムーズに乗れるようになりました。

 実はこの「仮説を立て、次のステップへつながるスキルを教え、検証する」というアイデアは、以前のエントリー「発達障害啓発週間によせて〜ブックレビュー(4)」で紹介した、藤居学『自閉症の子どもと家族の幸せプロジェクト』にヒントを得ました(pp110−111)。要約すると「例えば、それまでおとなしく待てていたファミリーレストランで待てなくなり、パニックするようになったとする。それは何が出てきてもとりあえず満足という段階から、自分の食べたいものが決まってきて、違うものが出てきて怒っているのかもしれない。これは、認知スキルは上がったのに、表現力や社会に折り合いをつけるスキルがそれについてこないことによって、適応面での一時的な悪化(=パニック)を招いている可能性が高いと考えられる。その場合には、複数の選択肢から欲しいものを選ぶという『選択のスキル』を教えればいい」という内容でした。「食べたいもの」を「乗りたいもの」に置き換えると、悠平の「乗り物パニック」に当てはまるのです!
 親としてはパニックや拒否反応を問題行動としてとらえがちですが、それを認知レベルが上がったことによる何らかの自己主張として考えると、解決の糸口が見つかる場合があるようです。とはいえ、タクシーはA社かB社の二択だったので今のところ対応できていますが、これが車種などにこだわりだしたら手に負えません。まずは直近の問題が解決したことを喜びつつ、時には諦めたり、別の物・パターンを選ばざるをえない場合もあることをどうやって教えていくか…こだわりが強い子だけに悩みは尽きません。