変わりゆく「こだわり」

 妻(yuheimama)です。最近、悠平と一緒に歩いていて、思わず笑ってしまうことがあります。悠平はこれまでも何度も触れてきたように、乗り物好きです。道行く車やバイクにしばしば目を奪われます。すると過ぎ去った乗り物を目で追って、自然に斜め後ろを見ながら前進することになります。しかも、口では「てくてく あるくよ」と言いながら、足はスキップ。その結果、電柱にゴ〜ンとぶつかったり、平らな道で突然転びます。私は彼がなぜ転ぶのか分かっているので「またやった〜」と笑いながらあきれてしまうのですが、たまたま近くにいた方々は、いきなりゴ〜ンやらドテッという音を聞かされるわけですから、驚かれます。「いたい〜、いたい、いたい、いたい」と言う悠平を尻目に、目が点になっている居合わせた方々に「大丈夫ですから」と苦笑いしながらフォローする私。いつになったら進行方向に向かって、まっすぐ歩けるようになるのでしょうか…。

 前置きが長くなりましたが、そんな悠平と歩いていて気が付いたことが一つ。1年前だったら、行き交う乗り物に目を奪われるだけでなく、停車している乗り物が「出発進行」するまで意地でも動こうとしませんでしたが、最近それが減ってきています。以前は無理に連れて行こうとすると、急に脱力して座り込んだり、パニックに陥ったり。駐車場の前で座り込んでしまった時などは、そこから自宅までほんの1〜2分の距離なのに、40分もかかったことがありました。しかも最後は引きずって(泣)。それが最近、「しゅっぱつしんこう」と言って立ち止まっても、なかなか出発しないと自分から「なかなか しゅっぱつしないね〜」と言って歩き出したり、私が「出発進行は1回だけね」と言うと、1台見たら、後ろ髪を引かれつつも、それ以降はこらえられるようになってきたのです。

 その代わりなのかどうか分かりませんが、最近は電車に乗る際、「のる、のらない、のる、のらない」と繰り返す、謎のこだわりが頻発しています。すんなり乗ることもあるのですが、乗った場合でも尾を引いて途中下車しようとしたり、結局乗らないこともあります。

 「こだわりは変わっていくけど、なくならない」と以前、ママ友から聞いたことがありましたが、まさにそれが悠平にも起こっているようです。こだわりが強いのは自閉症の特性の一つなので、なくそうとしてなくなるものではないのでしょうが、そのこだわりゆえに人に迷惑を掛けたり、本人が危険な目に遭わないように対応していかなければと思います。先日、主治医から「パニックを起こしているとき、本人がそこから何かを学ぶこともある」と教えられました。とはいえ、今や体重が30kg目前の悠平です。公共の場でこだわりを発揮してパニックを起こしたら、抱きかかえて連れ去ることも引きずることさえも難しくなってきました。せいぜい苦笑して流せるこだわりならよいのですが、これからもその時々で対応していくしかないのかと思うと、なかなか頭が痛いです。



 yuheipapaです。先日、悠平と一緒に西国二十三番の札所、大阪府箕面市にある勝尾(かつおう)寺を訪ねました。大阪を代表する紅葉の名所の一つです。
 ※勝尾寺 http://www.katsuo-ji-temple.or.jp/index.html
 名前に由来するのか、勝ち運の寺としても有名で、たくさんの小さな“勝ちダルマ”が境内のあちこちに並んでいます。実はこのダルマ、1個500円で、中にはおみくじが入っています。わたしと悠平と、ダルマを1個ずつ選んだ結果は、わたしは小吉、悠平は何と凶でした。このダルマのおみくじは凶の割合が高いのかもしれません。ほかにも凶を引き当てた参拝客がそばにいましたし、昨年、初めて来た際にはわたしが凶を引きました。
 悠平はまだ、おみくじの結果を理解していないようですが、わたしがやや早口でおみくじの内容を読み上げると、そのリズムが楽しいのか、うれしそうに笑いました。