自閉症児と定型発達児との交流を考える――『自閉症児のためのTEACCHハンドブック』を読んで

 妻(yuheimama)です。療育園での日々が残りわずかになり、4月から悠平は特別支援学校に入学します。入学後の放課後の過ごし方については以前にも考え中であることに触れました(「就学準備がスタート」を参照ください)。選択肢の一つである学童保育については、幼稚園の退園を経験し(「決断――本日、幼稚園を退園しました」を参照ください)、自分から同世代の子どもたちと積極的に遊ぶことがない悠平を、初めてのお子さんがたくさんいる中に入れることに不安が強く、結局見送りました。そうすると気掛かりになってくるのが、定型発達児(健常児)との関わりをどのように持つかということです。

 幼稚園でできたお友達とは、今も会えばうれしそうにしている悠平ですが、特別支援学校に入学すると、地域の小学校とは生活時間帯が違うので会う機会が減るでしょう。このまま機会をつくらずによいものか、つくるとしたらどういった形が望ましいのか、これといった解決策を見つけられずにいました。そんなとき、佐々木正美『自閉症児のためのTEACCHハンドブック』(学研)を読んで、「これだ!」と開眼しました(TEACCHについては以前のエントリー「最近始めた生活支援」を参照ください)。米国ノースカロライナ州のTEACCHプログラムの学校で行われている「逆統合(reversed mainstreaming)」という教育法です。

自閉症児のためのTEACCHハンドブック (ヒューマンケアブックス)

自閉症児のためのTEACCHハンドブック (ヒューマンケアブックス)

 逆統合では自閉症児が定型発達児の中にいきなり入るのではなく、まず、通常学級(regular class)の子どもが自閉症児のための特別学級(special classe)へやって来て、先生と協調して学習に協力や支援します。次に両者の関係が習慣的に安定して、自閉症の子どもの機能が向上してから通常学級に招待し、交流教育が行われます。この教育法の背景には、自閉症児は定型発達児と情報処理の仕方が違うので、単純にノーマライゼーションやインテグレーション(総合教育)を実行することには慎重で、まずは障害の特性を理解して、適応機能の向上を図るアプローチをとるというTEACCHの基本理念があります。

 これは授業のやり方なので、そのまま学童保育と比較して考えるのは少々乱暴かもしれませんが、自閉症児の人間関係の形成過程として一つのモデルになると思います。もちろん学童保育に入って楽しめる自閉症のお子さんもいらっしゃると思いますが、悠平の場合はこちらの方法の方がスムーズに適応していけそうです。焦らずにそうした流れをつくる支援を考えていきたいと思いました。また、この方法は、大人になってから余暇活動や社会活動を拡大させていく場合にも応用できるといいます。まずは自閉症者が1人で楽しめる活動を見つけ、そこに定型発達者がコミットし、その後集団に参加して周囲と一緒に楽しめるようになっていくという「逆統合から一般統合へ」の流れです。

 悠平は大人との信頼関係をつくった上で同世代のお子さんたちと関わっていくタイプ。まず、親や教育者といった大人と一緒に好きな音楽や外遊びで余暇活動の充実を図ってから、活動を共有できる仲間を見つけていけたら理想的だと思うようになりました。