琵琶湖・竹生島〜波音を聞きながら、安らかな世であれと願う

 yuheipapaです。先日、悠平と一緒に琵琶湖の竹生島を訪ね、西国三三所の第三十番札所、宝厳寺(ほうごんじ)と都久夫須麻(つくぶすま)神社にお参りしてきました。3月中旬に室生寺薬師寺を訪ねて以来の、ほぼ1カ月ぶりの乗り鉄・巡礼です。
 私も悠平も竹生島訪問は2回目。琵琶湖汽船とオーミマリンの2社が定期船を運航しており、京都・大阪方面から琵琶湖東岸経由なら、彦根からオーミマリン、長浜からは琵琶湖汽船になります。実は前回は彦根城見学と合わせてオーミマリンを利用したので、今回は長浜経由にしたかったのですが、既に悠平には「琵琶湖で船と言えばオーミマリン」というこだわりができていたようです。「悠くん、琵琶湖に行って、船に乗ってお寺に行こうか」と言ったとたんに「ひこねえきから近江バスにのって、オーミマリンにのる!」。選択の余地はなく、前回と同じ彦根経由でオーミマリンの利用になりました。
 高槻から彦根まではJR新快速で1時間ほど。悠平は以前は新快速に頑として乗ろうとしませんでしたが、最近ではお出かけスケジュールに車両の写真とともに明記しておけば、さほど抵抗なく乗れるようになっています。この日は午前中に自宅を出て、彦根駅前で昼食。定期船の乗り場は駅から離れているのですが、無料のシャトルバスが出ています。このバスも悠平のお気に入り。定期船乗り場でシャトルバスの出発を見送る「出発進行ルール」も済ませて乗船。船は40分ほどで竹生島に着きました。


 ※竹生島宝厳寺 http://www.chikubushima.jp/
 竹生島は周囲2キロを切り立った崖に囲まれています。船を降りて数軒並んだ土産物店の前を通り、自販機で拝観券を購入すると、すぐに目の前に急な石段が現れます。悠平はまったく苦にすることなく、ずんずんと登っていきます。既に西国三三所を一巡し、二巡目も残すところ三つになっており、山寺への参拝で石段や山道も慣れっこです。ほどなく本堂である弁財天堂に着きました。


 お参りをし、脇の納経所でご朱印をいただいた後、さらに石段を上って三重塔へ。その後は急な石段を下って、観音堂にお参りです。入り口は国宝の唐門。豊臣秀吉をまつった京都の豊国廟から移築されたものとのことです。内部にほどこされた彫刻も見応えがあります。
 入ってすぐに鎮座しているのが「賓頭盧(びんづる)尊者」像。悠平お気に入りの通称「びんずるさん」です。古いお寺ではよく見かける像で、俗に「なで仏」とも呼ばれています。自分の病気の部位、悪い部位と、びんずるさんの同じ場所を交互になで、さするとご利益があるそうです。寺巡りを始めてまもなくのころに、びんずるさんと悠平の頭を交互になでながら「ぼくの頭が楽になりますように、とお願いするんだよ」と教えました。今ではすっかり気に入っているようで、どこのお寺でもびんずる尊者像を見つけると「びんずるさん!」と言いながら走っていきます。


 観音堂ではお線香をあげ、般若心経を朗読。悠平も関心がないわけではないらしく、最初の「ま〜か〜はんにゃ〜は〜ら〜」あたりは真似してみたりもするのですが、じきに飽きてしまい、おみくじやお守りの売り場に行ってしまいました。納経が終わると、朝鮮出兵の折の秀吉の御座船の材木でつくったという舟廊下を渡って、都久夫須麻神社の境内へ。神社にもお参りして、桟橋に戻りました。

 宝厳寺神亀元年(724年)、聖武天皇が僧行基を勅使として、堂塔を開基させたのが始まりと伝わる古刹です。小さな島に立体的に堂宇や塔が配置されているのが、ほかの寺にはない魅力です。この日はそこそこ波があり、島に打ち寄せる波音もひときわ大きく聞こえました。京の都に近い近江は戦国時代、覇権を争う諸将が幾多の争いを繰り広げた地でもあります。そうした中でも、幾多の巡礼者がこの島を訪れ、同じように波音を聞いていたのでしょうか。その歴史に思いを馳せつつ、この世が、そして悠平が生きていく世が安らかであれ、と願わずにはいられません。
【おまけの写真1】

 関西には桜の名所になっている神社仏閣も多く、花見を兼ねてあちこち訪問するのを楽しみにしていたのですが、一家そろってたちの悪い風邪にかかったりで断念しました。この日、シャトルバスから見た彦根城周辺の桜もほとんどは散っていましたが、定期船乗り場周辺にはまだまだ見応えがある桜並木がありました。
【おまけの写真2】

 悠平と一緒のお出かけで悩ましいのが食事です。偏食が激しい悠平はどこに行っても強硬に唐揚げを要求。親はなかなかその土地ならではの食事を楽しむことができません。その点、彦根駅前の商業ビル「アルプラザ」6階には、定食ものメニューが豊富なレストランがあり重宝します。この日、悠平には唐揚げ定食を注文し、わたしはご当地丼という「彦とろ丼」を頼みました。ご飯の上に乗っているのは、牛のスジ肉と近江特産の赤こんにゃく、タマネギを牛丼風に煮こんだもの。見た目よりつゆが多く、半熟玉子も崩してかき混ぜてみました。スジ肉がふわふわに柔らかく、最後の一口までおいしくいただきました。
【おまけの写真3】

 4月から悠平は小学生で、乗り物や寺院の拝観も子ども料金が必要になりました。自動販売機で電車の乗車券を買うのも、生活面のトレーニングになるかなと思ったのですが、より一層、今の社会に適応するならこっちの方がいいかもしれないと考え、JR西日本のICカードの子ども用、通称「こどもイコカ」を作りました。健康保険証など生年月日を確認できるものがあれば、みどりの窓口でその場で発行してもらえます。有効期間は満12歳の3月31日まで。券面に名前が入ります。さっそく彦根への往復に使いました。悠平は今まで、私のカードを要求しては「悠くんがやる」と言って改札機にかざしたりしていました。自分のカードでも慣れた手つきです。