「読書週間」に出会った詩

妻(yuheimama)です。今回は「読書週間」にちなんで、最近読んで感動した詩を紹介したいと思います。掲載していたのは江口季好著『自閉症児とつづる詩・作文』(同成社)。悠平が時々うっとりするようなことを言うので( 「セリフにびっくり、センスにうっとり!?」を参照ください)、何とかうまく詩に仕立てられないだろうかと思っていたときに出会った本です。

自閉症児とつづる詩・作文

自閉症児とつづる詩・作文

自閉症の高校生が創作した詩を、少し長いのですが、以下に引用します(同書pp131-132より)。


8月6日(月)
今日
ぼくは、
8時15分から
浄西寺の鐘を打ちました。
原爆で亡くなった人たちに
黙とうをしてもらうために
広島のお寺が鐘を打つことになっています。
今年初めて
ぼくが打ちました。
「ゴーンゴンゴン
ゴーンゴンゴン
……」
一分間打ち続けました。
ドキドキしました。
平和になれ。
原爆やめろ。
仲良しになれ。
わかってくれよ。
いろいろおもいました。
どんどん力が出て来ました。
一分間は長かったです。
「できた、
やったあ。」
自分でできました。
父も母もほめてくれました。
これからは、
ぼくの仕事の一つになりました。
すごく嬉しいです。
夕方
新聞をみました。
小学生の平和への誓いを読みました。
「平和は私たちでつくるのです。
違いを認め合い
相手の立場になって考えることも平和です。
思いを伝え合い
力を合わせ支え合うことも平和です。」
すごいと思いました。
みんな違ってみんないいを
思いだしました。
金子みすゞだね。
ぼくは、
自閉症
違うところがいっぱいあるけど
なおらないところは
わかってほしい。
直せるところや
教えてもらってわかることは
どんどんやっていきたいです。
これも平和なんだ。


この詩を読んで、心底「すごい」と思いました。悠平のセリフにハッとさせられたからといって、私が悠平の言葉を「仕立てる」のでは、悠平の「詩」にはならないと気付かされました。いつか悠平自身が自分の気持ちや考えを、自分の言葉で紡いでいけるように導いてやりたい。そして、この詩の作者のように自分と他者との違いを理解して、平和を考えられるようになってくれたらと思わずにはいられませんでした。

――悠平の「平」の字に、平和と公平の意味を込めた親としての願いです。