久しぶりのブックレビュー(1)――読書週間に寄せて

妻(yuheimama)です。悠平の障害が分かった後、しばらくは「自閉症とはどのような障害なのか」「どのような療育が有効なのか」といった視点で、関連書籍を読んできました。障害告知を受けてからかれこれ5年。最近では入門的な内容から一歩踏みでて、より具体的で実践的な本を読むようになりました。そこで今回と次回の2回、何冊かの本を紹介したいと思います。

まずは、平野厚雄『発達障がいの子ども お金のこと 親が亡くなった後のこと』(パブラボ)です。著者は、自閉症のお子さんを持つ、フィナンシャル・プランナーであり社会保険労務士でもあります。

発達障がいの子ども お金のこと 親が亡くなった後のこと

発達障がいの子ども お金のこと 親が亡くなった後のこと

私どもを含め、障害のある子供を持つ親は、今現在の生活のあり方と同様かそれ以上に、親亡き後のわが子の生活が心配なのではないでしょうか。この本は、そうした悩みや不安を共有する著者が、フィナンシャル・プランナーとして、社会保険労務士として、専門知識を生かしながら、教育資金、住宅費、保険、障害年金、相続などについて、知っておきたい基礎知識をまとめています。手元に置いておくと、現在進行形の貯金やローン、保険の掛け方などを考える際の参考になり、「親亡き後」を見据えた相続や生前贈与、成年後見人制度についても基本事項が抑えられます。わが家の悠平は一人っ子ですが、特にきょうだい児さんがいらっしゃる場合には、相続に関して遺言状の活用方法なども参考になると思います。

同書には巻末に参考文献や協力機関のホームページアドレスが掲載されています。その中から私は、NPO法人ら・し・さの発行している『親亡きあとの支援ハンドブック〜知的障がいの子を持つ親のために〜』という冊子に興味を持ち、取り寄せました。こちらは書店売りをしていないので、同法人のホームページから直接申し込みました。48ページとコンパクトな冊子で、内容はタイトル通り相続や成年後見人制度など、「親亡き後」について詳しいのですが、実は私が一番知りたかった情報は「お墓を継ぐ人がいないとき」「継承者がいらない埋葬の仕方」という問題でした。知的障害のある悠平にお墓の管理を託すには荷が重すぎると思いますし、私たち夫婦が亡くなった後、さらには悠平自身が亡くなった時にどうするか、今のうちに考えて、方針を決めておかなければなりません。

ともすると、日々の生活に追われて、親亡き後を漠然と不安に思うだけになりがちですが、「今やるべきこと、できること」を確認する上で、今回紹介した2冊は有効でした。また、「親亡き後」についての単なる制度等に関するマニュアル本ではなく、障害児を持つ親ならではの、この問題に対する寄り添い方、同じ不安を抱える親たちへ共感を感じることができました。

次回は、特別支援教育・学校に関する本を紹介したいと思います。