「江ノ電コンプ」作戦が大成功

2014年最後の「父子乗り鉄と巡礼」に先日、悠平と鎌倉に行きました。数えてみると、3月末に大阪から東京に転居して以来、鎌倉行きは7回目。以前にも書きましたが、悠平は電車へのこだわりがますます強くなっており、鎌倉へ行くのにもわたしが提示したルートがその日の気分に合わないと、頑として首をタテに振りません。今回、わたしが考えて提示したのは「江ノ電コンプ(コンプリート=全線乗車、の意味です)」。鎌倉から藤沢まで、途中で海沿いに走る江ノ島電鉄には、悠平はこれまで部分的にしか乗ったことがありません。昨年5月に初めて行った際、大船から江ノ島まで湘南モノレール江ノ島から長谷へ江ノ電に乗り長谷寺鎌倉大仏にお参りし、長谷から鎌倉に行っただけでした。「悠くん、小田急線で藤沢に行き、藤沢で江ノ電に乗り換えます。江ノ島駅の一つ先の極楽寺駅で降りるから、悠くんは江ノ電コンプだよ」と持ち掛けると、悠平は「江ノ電に乗ります!」と飛び付いてきました。作戦成功です。
当日、藤沢駅から乗った江ノ電の車両は、姉妹提携している京都の「嵐電」の車両をまねて紫色に塗装した「嵐電号」でした。しかも先頭車両の運転席の真後ろに座ることができて、悠平は大喜び。窓にへばりついて、運転席や前方の景色を眺めて楽しそうでした。極楽寺駅では嵐電号の発車をホームで見送り、心ゆくまで「出発進行」を堪能しました。この日の最初の目的地だった極楽寺は残念なことに正月準備のため拝観中止で、門が閉まっていました。あじさい寺として有名な成就院にお参りした後、御霊神社へ。ここは参道の鳥居のすぐ前に江ノ電の踏切があり、電車が通るたびに参拝客の皆さんもカメラやスマホを向けていました。
【写真説明】先頭車両の運転席越しに海が見えました

【写真説明】極楽寺駅を発車する嵐電

【写真説明】御霊神社の鳥居のすぐそばを江ノ電が走ります

長谷駅まで一駅区間を歩いて、再び江ノ電に乗車。鎌倉まで乗りました。
昼食は鎌倉駅に近いトンカツ屋さんに入りました。以前、悠平と一緒に横浜で入ったトンカツ屋さんの支店です。前回は大人1人前のヒレカツをあっという間に平らげてしまい、yuheimamaと「いくらなんでも食べすぎだろう」と話していたので、この日は悠平にはボリューム少なめの一口カツを注文。わたしはと言えば、いくつかあるこの店の支店の中でも、鎌倉のこの支店にしかないという「勝烈丼」を注文。実はもう15年も前になりますが、横浜で勤務していた当時にその存在を知りながら、今まで口にする機会がなかった逸品です。念願かなって初めて対面したそれは、一口ヒレカツ2枚にドミグラソースをかけたソースカツ丼。とてもおいしくいただきました。
【写真説明】悠平に注文した一口カツ定食とわたしの勝烈丼

偏食が激しかった悠平も、学校では給食を残さず何でも食べるようになっているのですが、自宅や親が一緒の外食では好きなものしか食べません。この日もトンカツの付け合わせの刻みキャベツを「これは食べません!」と頑として拒否。今までは「しょうがないね」と言って、わたしの皿に移していたのですが、この日は試しに「じゃあ一口でいいから食べてごらん。学校では全部食べているんだろ」と言って、3分の1ほどを悠平の皿に残したままにしてみました。悠平は「いやー、いやー」と言っていましたが、あきらめずに「いいから食べてごらん、おいしいから」と繰り返し言うと、観念したのか箸でキャベツをつまんで口へ。顔をしかめながらも皿にあった分は全部食べました。わたしは心中、ひそかに喝采。また一歩、前進しました。
ちなみにこのトンカツ屋さんは横浜・馬車道に本店がある「勝烈庵」。横浜でトンカツと言えば、知る人ぞ知るお店です。自家製のソースが独特で、横浜に勤務していた当時は時折、訪ねていました。
さて、昼食がカロリー多めだった分、せっせと歩くことにしました。北鎌倉に移動して建長寺では、境内の奥を進んで山道に入り、階段を上がっていく半僧坊まで。大阪にいたころは、悠平を連れて西国三三所の観音霊場をめぐりました。山の上にある寺も少なくなく、幼いながらも悠平は文句も言わずわたしと一緒にずんずんと山道を登っていました。行きかう人たちからも「ぼく、えらいなあ」とほめられていました。東京に転居してからはそういった機会が減っていました。久しぶりの登り道だったせいか、悠平の歩みはゆっくりゆっくり。それでも何とか、長い階段を登りきって、半僧坊に着きました。
【写真説明】長い階段をゆっくりと上がって半僧坊に到着

半僧坊にお参りし、ご朱印をいただいて降りてきたら、もう日が傾き始めていました。立ち並ぶ建長寺の堂宇が夕日に照らされるのを見ながら、京都・東山の泉涌寺を思い出しました。山の懐に抱かれた伽藍の雰囲気がよく似ている気がして、悠平と一緒に訪ねたある秋の一日のことを懐かしく思い出しました。悠平は将来、父親に連れられて寺社をめぐった日々のことをどんなふうに思い出してくれるでしょうか。ともあれこの日、帰宅した悠平はyuheimamaに「江ノ電がいちばん楽しかった!」と報告していました。
【写真説明】夕日を浴びる北鎌倉・建長寺の堂宇


【参考】
江ノ電 http://www.enoden.co.jp/train/index.htm
嵐電  http://randen.keifuku.co.jp/