「福祉避難所」報道にわが身を置き換えて

妻(yuheimama)です。熊本地震で被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。

被災された多くの方々が避難生活を余儀なくさている中、新聞報道等で「福祉避難所」が十分に機能していない実態や避難所に入れない発達障害者や当事者家族に関する記事を読みました。各記事の見出しは以下の通りです。


4月25日毎日新聞朝刊「福祉避難所 機能せず」「熊本地震 災害弱者 利用104人」「周知なし 人も足りず」
4月25日朝日新聞夕刊「災害弱者 どこ行けば」「福祉避難所の人手不足」
4月25日時事通信(ネット)「『福祉避難所』周知不足=1700人想定、利用わずか―熊本」
4月26日時事通信(ネット)「発達障害者配慮なく=避難所入れず物資困窮―家族ら『無理解を痛感』・熊本地震
4月27日読売新聞夕刊「熊本地震 福祉避難所機能せず」「熊本市 開設 指定の2割」
※新聞は全て東京本社発行


福祉避難所は、高齢者や障害者、妊婦など、一般の避難所での生活が難しい災害弱者が避難できる施設のことで、福祉施設や公共施設が指定されています。今回の地震では、熊本市内で176カ所、約1700人が収容できるはずだったものの、実際には、百数十名の利用にとどまっているということです。原因としては、施設が破損して利用できない、職員も被災して人が足りないというハード・ソフトの両面に問題が生じたことが挙げられていますが、同時に行政側の周知不足の影響も大きいと指摘されています。「市役所のホームページなどには利用可能な施設の一覧すら掲っておらず」(時事)、「市は『施設に問い合わせが殺到し、現場が混乱する』として市民に広く開設を知らせず、避難所を巡回する市の保健師が介護などが必要と判断した場合のみ、施設ごとに交渉していた。それでも『対応する人も足りず、入所者がいるので場所もない』などの理由で断られることも多かったという」(毎日)。

また、自閉症などの発達障害児とその家族は、地震への不安や環境変化によるパニックなどで周囲に迷惑をかけることを心配して、一般の避難所に行けないことがあるといいます。自宅の備蓄品が底をつき、避難所に助けを求めても「並んでください」と言われ、障害のある子供を連れて長時間並ぶことはできないと判断して手ぶらで帰宅した方、避難所でパンフレットを見せて説明しても取り合ってもらえず、普段以上に理解のなさを痛感したと話す方もいらっしゃいました(26日時事)。

本年4月1日、障害者差別解消法が施行されました。公的機関には、社会的障壁を取り除くための「合理的配慮」の提供が義務付けられました。実際には、法律や協定など、形だけできても内実が伴っていないことが露呈しました。こうしたことは、いつでもどこでも起こり得るのだろうと思います。わが身に置き換えて、居住する自治体から配布された「障害者のしおり」を調べてみると、福祉避難所の記載はなく、自治体のホームページを検索したところ、福祉避難所の一覧こそありましたが、収容人数や電話番号、行き方を示す地図の記載はありませんでした。悠平の通う支援学校も福祉避難所に指定されており、登校時間中であれば、そこに留まるのが安全だろうと思いますが、問題はどうやって家族が合流するかです。校区の学校であれば、徒歩15分前後で行けるのではないかと思いますが、支援学校は区内に1校しかなく、公共交通機関を利用しても自宅から1時間以上かかるところにあります。交通機関が使えなくなることを想定すると、歩いていくことになりますが、10キロ弱の距離はスムーズに歩けても2時間弱、途中でトラブルがあれば倍近くかかるかもしれません。移動距離・時間が長ければ長いほど、二次災害に巻き込まれるリスクも高くなります。いざとなったら、やるしかないのですが、情報の少なさ、アクセスの悪さ、子連れでの移動の困難など、負荷の大きさに、少しでも改善策はないものかと頭を悩ませています。

個々人でやれることはやるにしても、大きな災害への対応は個人レベルでは限界があると思います。国や自治体には、一つ一つの経験を無駄にせず、対策を講じていただきたいと思うとともに、熊本地震での一刻も早い状況改善を願わずにはいられません。