就学相談――小5になって思うこと

 

妻(yuheimama)です。7月に入り、夏休みの家庭学習や外出予定などをあれこれと考え始めています。

来年、小学校入学を控えたご家庭では、そろそろ就学相談が気になり始める時期ではないでしょうか。そこで今回は、悠平の就学相談で迷ったこと、気になったことを振り返り、特別支援学校小5になった今、懸念していた事柄が実際はどうだったのかをまとめてみたいと思います。支援学級か支援学校か、悠平の場合は「学習面、生活面、地域のお子さんたちとの交流」などをポイントに検討しました。

【学習面】
就学前、学校見学をしたときには学習内容が非常に初歩的に思え、支援学校側からも「学業優先なら支援学級に」と言われて大いに悩みました。知的に軽度なら支援学級、重度なら支援学校という考え方もありますが、悠平の場合は知的に中度なので判断がより難しかったように思います。

参考までに、4年生の授業参観で見た「国語・算数」を紹介します。クラスの在籍児童は6人、教員は2人です。授業は集団学習と個別学習で構成されています。まずは集団学習について。通常学級であれば、教員が一斉授業するところですが、支援学校では6名という少人数であっても、児童の認知レベルも特性もそれぞれ違うため、一つの素材を使いながら個別課題に即したアプローチをしていました。例えば算数では、一人ずつサイコロをふり、数の理解が難しい子は教員と一緒に目を数え、一人で分かる子は自分で数え、足し算ができる子は2回ふって目の合計を計算するという具合です。個別学習では、発達検査に基づく療育課題(「目と手の協応」や「手先の微細運動」など)を中心に、それぞれの課題に応じて読み書きや数・計算といったプリント課題に取り組んでいました。

総じて、授業では新しいことを次々に教えていくというよりは、苦手補強をしながらボトムアップを目指すという印象があります。悠平の場合は、就学前に家庭で取り組んでいた療育課題は学校に任せ、国語算数は学校と相談しながら家庭学習を中心に進めています。

【生活面】
支援学校では、身辺自立や身だしなみが日課に組み込まれています。言葉かけだけでなく、視覚支援を多用しながら、毎日、毎週、繰り返し練習していくことで、一人でできることを増やしていきます。授業に乾布摩擦を取り入れ、体の洗い方を覚え、入浴の自立につながったときには、感心してしまいました。

係活動ではそれぞれが役割を担います。普通校であれば、もしかしたら係を担当しても周りのお友達に手伝ってもらうことがあったかもしれませんが、支援学校では時にはお友達を手伝うこともあるようです。また、悠平は昨年、学校行事の体育発表会開会式で、児童代表による「誓いの言葉」の一端を担いました。こうした機会が得られたのは、支援学校だったからかもしれません。

さらに悠平の場合、就学前後はパニックの最盛期であり、パニック対応と通学の継続が大きな課題でした。支援学校では視覚支援で見通しを持たせたり、学校生活の中であえて変化を経験させて慣れさせたりと、きめ細かい対応をしていただきました。最近では、パニックと思いこみの強さなどからくるわがままを見極め、わがままには断固とした態度をとるなど、一貫性のある対応をしてくださっています。学校と療育の相乗効果か、悠平のパニックは激減し、学校に楽しく通学できています。

生活全般を通して、専門性の高い教員が手厚く指導してくれるのは、支援学校の特徴です。

【地域交流】
地域の学童クラブ等に行っていれば、日常的な交流が持てると思いますが、支援学校と放課後等デイサービスが生活の中心である場合は、正直、機会が限られます。学校では地域の小学校との交流授業があったり、直接間接の交流を行う副籍制度がありますが、日常的といえるほど頻繁な交流ではありません。また、地域差があると思いますが、悠平の学校は区境に位置し、交通の便もあまりよくないため(わが家からは電車やバスを乗り継いで片道1時間以上かかります!)、自宅近隣の方々は支援学校がどこにあるかをご存知な方もほとんどおらず、地域住民の方々が障害のある子どもたちを身近に感じる機会が少ないという現状があります。

悠平は最近、お友達に積極的に関わりたがるようになってきましたが、周囲もマイペースな自閉症のお子さんが多く、なかなか一緒に遊べない様子。かといって、近所の公園で遊んでいる同年代のお子さんたちを見ると、サッカーや野球などをしているので、こちらもまた一緒に遊ぶのは難しそう。友達との関わりについては放課後デイで積極的に取り組んでいただいていますが、お友達、引いては地域交流は将来、地域に居場所を作っていく上での大きな課題だと思っています。

悠平は就学相談や学校見学を通じて大いに迷った結果、支援学校に就学しました。今では、のびのびかつゆっくりでも着実に育っている姿を見て、yuheipapaと「支援学校にしてよかったね」と話しています。就学相談の際には、支援学級と支援学校の特徴をメリット・デメリットという見方で判断しようとしたこともありましたが、5年間通学して思うのは、メリットとデメリットは表裏一体、子どもにとって大切なのは居場所があって、そこが合うかどうかなのではないかということです。また、すべてを学校に任せるのではなく、学校と家庭、放課後活動との役割分担を意識的に考えていくことも重要だと思います。悠平と我が家の体験談が少しでも参考になればうれしいです。

※以前に支援学校の先生が書かれた本をブックレビューしました(2014年11月3日「久しぶりのブックレビュー(2)――読書週間に寄せて」)。