夏休み2017 その4(完)悠平の成長を実感した出来事

 この夏の絵日記風の記録の番外編です。 

 ▼言語とコミュニケーション

 この夏休み、印象に残る出来事がありました。
 最近はパニックもめっきり減った悠平ですが、それでも時に、わたしや妻がまったく予期していなかった時と場所で、突然パニックを起こすことがあります。そのうちの一つに、東武鉄道の「しんちゃんトレイン」がありました。
 日常的に利用している東急電鉄田園都市線には東京メトロ東武鉄道の電車が乗り入れています。このうち東武鉄道は昨年秋から、アニメ「クレヨンしんちゃん」のラッピングトレインを走らせています。作品の舞台である埼玉県春日部市を中心にした特別企画「クレヨンしんちゃん25周年記念企画 オラのマチ春日部にくれば」の一環とのことです。

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 ラッピング電車としては結構大胆なデザインで、写真のオレンジのほか黄色、青、緑、赤の5編成があります。最初のうち悠平は、しんちゃん電車が来ると大喜びで乗っていたのですが、5編成全てに乗ったあたりから、突然、しんちゃん電車に乗ろうとすると激しくいやがるようになりました。ただ、しんちゃん電車が全部イヤというわけではなく、上機嫌で乗ることもあります。嫌な色があるのかとも思ったのですが、どうもそうではなく、同じ色でもダメな時と大丈夫な時があるようなのです。少々持て余し気味だったのですが、ある日、わたしと2人での外出からの帰宅途中、これから田園都市線に乗り換えるという時に、悠平自身が説明しました。
 わが家の利用駅に止まるのは各駅停車のみです。しかもおよそ半数の電車は、この駅で後から来た急行の通過を待ちます。悠平が言うには「急行の通過待ちをするしんちゃん電車には乗りません」ということなのです。わが家の利用駅に着いて、急行の通過待ちをすることなくすぐに発車するのであれば、しんちゃん電車でも大丈夫。急行の通過待ちがあるかどうかは、乗車駅で後続の電車が急行か各駅停車かを見れば分かります。
 驚きました。幼児のころから、乗ってきた電車やバスの発車を見送らないとテコでも動かない「出発進行ルール」など、こだわりの「悠平ルール」があることは理解しているつもりでしたが、そのルールにもこんなに複雑なバリエーションがあることは、新しい発見でした。悠平の場合、どうしてそうなのか、ということを追求してもあまり意味はありません。そういう子なのです、としか言いようがない、考えようがないからです。それが悠平の個性と受け止めています。
 何より、悠平が自分のこだわり、パニックの要因をこうも分かりやすく言葉で説明できるようになったことに驚きました。自分の心の内面を説明できるということは、それだけ言語でコミュニケーションを図る可能性が広がってきたと考えてもいいように思います。そう思うと、悠平がよくぞここまで成長してくれたとうれしくもあります。

 かつて、最初に広汎性発達障害との診断を受けたころ、「一生、言葉は出ないかもしれません」と医師に言われたことがありました。それでもyuheimamaが毎日毎日、少しずつ少しずつ、しかし途切れることなく続けてきた療育のおかげだろうと思います。

 どのような障害特性であっても、言語に限らず、その子その子に適したコミュニケーションの手段はあるのだろうと思います。これも診断を受けて間もなくのころ、手に取った発達障害の入門書に「発達障害は発達する」という言葉がありました。ペースや態様はその子それぞれ。でも少しずつでも、デコボコながらも必ず発達すると。「ああ、そうなんだ」と、目の前が少し開けたような気がしました。子どもと向き合うこと自体が大事なのだと、しみじみ感じています。

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