学習を暮らしに生かす~悠平のラッピング電車

  妻(yuheimama)です。電車好きの悠平は、さまざまなキャンペーンや広告のために装飾が施されたラッピング電車が大好きです。家庭でも、プラレールにシールを張って、自家製ラッピング電車を作って遊んでいます。これが高じて最近では、シールを持っていないキャラクターなどをパソコンでプリントアウトして、それらを切り張りするようになりました。もちろん、ネット上でキャラクターを探してプリントアウトするのは、母の役目です(トホホ・・・)。

 これまでに作ったラッピング電車は、仮面ライダー鎧武電車、メルセデス・ベンツ電車、スタジオ・ジブリ電車など。悠平はノリノリで「今日はジブリ・ラッピング電車を作ります。ラピュタとトトロと猫バスと~」と、次々にプリントしてほしいキャラクターを口にします。1度に何種類も口にするので、私は覚えきれずに若干イライラ。そこで「ゆう君、何を何枚ほしいか、メモを書いて」とリクエスト。悠平にとってメモ書きは、たぶん初めての体験です。

 私は「メモを取る」のは、自閉症児者にとってかなり難易度の高い作業だと考えています。メモを取るには、「人の話を聞く→内容を理解する→短期記憶する→(要約する)→書き出す」という幾つもの、いずれも自閉症児者にとってはハードルの高い行為を積み重ねなければならないからです。悠平が大人になるまでにメモを取れるようになるかは分かりませんが、メモをしたり、それが難しくてもメモを読んで分かるようになれば、生活力の向上につながるのではないかと思っています。

 そんなわけでメモ書きの第一歩として今回課したミッション。白い紙と鉛筆を手渡すと、悠平はしばし考えていました。何を書いていいのか分からないのかと、私は様子を伺っていましたが、悠平、ついに書き始めました。「ラピュタ3 トトロ9」。すかさず私は「メモが書けたね。ゆう君、すごい! ラピュタを3枚とトトロが9枚欲しいんだね。お母さん、分かったよ」と伝えると悠平も満足げです。ついでに「ラピュタ3枚とトトロ9枚だったら、全部で何枚プリントすればいいんだろう?」と問いかけてみました。悠平は戸惑っているようでしたが、メモ書きの余白に「3+9=」と書いてみせると「12枚!」と答えることができました。

 あとはプリントアウトし、せっせと両面テープでプラレールに切り張り。できあがったのがこちらです。

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 自閉症児者は、一つのことを習っても、別の場面に応用することが難しいといわれます。悠平も「5+5=10」が分かっても、5円玉2枚が10円だということを理解するのに時間がかかりました。一事が万事そうなので、机上学習の内容を生活場面に組み込んでいくようガイドすることが必要だと思います。今回のメモ、そんな試みの一つとしてうまくいったかなと思っています。