ムンク展で「叫び」を鑑賞~井上涼さんの「びじゅチューン!」で深まったアートへの興味

 yuheipapaです。
 初冬の日曜日、悠平と一緒に東京・上野の東京都美術館で開催中のムンク展を見てきました。エドヴァルド・ムンクは19世紀から20世紀にかけて活躍したノルウェーの画家。「叫び」はあまりにも有名で、悠平のお目当てもこの作品でした。
 ※ムンク展公式サイト https://munch2018.jp/
 ※エドヴァルド・ムンク - Wikipedia

 ネットで混雑状況を調べてみると、週末は朝の開場直後は30分待ちとけっこう並ぶようで、むしろお昼前後が10~20分待ちで済むらしいと分かりました。その時間に合わせて行ってみたところ20分待ちの表示。「悠くん、人気の展覧会だから、入るまでに20分待つよ。大丈夫?」と聞いたところ「うん、大丈夫だよ」の答え。以前は行列を目の当たりにして、とても悠平の我慢が続きそうもなく引き返したこともありましたが、成長が著しい今なら大丈夫だろうと思い、列に加わりました。実際は15分ほどで入場することができ、その間、悠平もストレスを感じる風でもなく、おとなしく並んで待つことができました。

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 会場では101の作品を九つのコーナーに分けて展示していました。会場に入ってすぐの所に置いてあった出品作品リストを手に、作品を順に見ながら進みました。「1 ムンクとは誰か」を終えて「2 家族―死と喪失」のコーナーに入ったところで、悠平が「僕も見る」と言って、作品リストを見始めました。どうやらお目当ての「叫び」を探し始めたようで、リストの先頭から作品名を目で追いながら、やがて「『叫び』は4番(のコーナー)にあります」と、私に教えてくれました。
 会場に入ってほどなく、コーナーに番号がついていることに気付き、また私が持っている紙が作品のリストらしいと分かって、それなら自分の目当ての「叫び」まで、あとどれぐらいあるのかを自分で調べようとしたようです。私自身は、漫然と展示順に作品を見ていたところだったので、悠平の合理的な思考にちょっと驚き、そして、こういう思考を元に自分でこういう風に調べることができるようになったのかと感心しました。
 自閉症児は、先に何があるのかや、先々の予定や見通しが分からないと不安感が増します。目当ての「叫び」がいつまでも現れず、ほかの絵が続いていたら、やがては「『叫び』はまだなの」と不安を募らせ、パニックに至ることもあるだろうと思います。周囲の状況を自分で判断し、自分で知りたい情報を探すという行動は、普通の人なら当たり前にやっていることですが、それを悠平ができるようになったことにうれしい気もしました。
 「叫び」の前には複数の美術館職員が立ち、見学客に対して、立ち止まらず一列で歩きながら見るように誘導していました。悠平もおとなしく誘導に従っていました。その後も落ち着いて、最後の作品まで見て回ることができました。入場してから1時間ほどでしょうか。まったく問題はありませんでした。また一つ、悠平の成長を実感しました。ご褒美の意味も込めて、お土産の「叫び」グッズをあれこれ買いました。「ムンク スクリーム ドーム」(スノードーム)は帰宅後、さっそく悠平の机の上に、以前に買い求めた岡本太郎さんのフィギュアと並べて飾られました。

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 しっかりと美術展鑑賞をこなした悠平ですが、ムンクの「叫び」がお気に入りになったきっかけはNHKのEテレで放映している「びじゅチューン!」です。古今東西の美術作品をモチーフに、縦横無尽にストーリーを編み出し、歌とアニメで表現した短編作で、アーティストの井上涼さんが作詞、作曲、アニメを一人で手掛けています。
 ※井上涼オフィシャルサイト http://tanoshimida.com/

 アートに興味は示すものの、今一つ飽きっぽいように見えた悠平に、何かアートへの関心を深めさせるものはないかとあれこれ探していて、ことしの夏ごろに偶然見つけました。あまりの奇想天外さに、まず私が一発でハマり、悠平に見せたところ、たちまち魅了されてしまいました。ウイキペディア「びじゅチューン!」によると、2013年8月に第1作が放映され、2014年5月からは再放送と新作を交えながら毎週放送されているようです。最新作の「写楽式洗顔」(モチーフは東洲斎写楽「三代目大谷鬼治の奴江戸兵衛」)で74作目とのことです。
 この中で、ムンクの「叫び」は「ムンクの叫びラーメン」という作品になっています。「叫び」の赤い空は真っ赤なスープ、黒いフィヨルドは海苔、橋は箸、そして中央で耳をふさいでいる人物は何とナルト。名物店長が作るこのラーメンを食べれば、オーオーという叫びとともに体の中のもやもやが抜け出してすっきりする、という歌とアニメです。実は悠平と外出するたびに、2人でよくこの歌を鼻歌交じりで口ずさんでいます。
 百聞は一見に如かず。以下のリンク先にありますので、ご存じでない方はご覧になってください。
 ※びじゅチューン 

www.nhk.or.jp

 今年の夏、東京国立博物館(東博)が「びじゅチューン!」とのタイアップ特別展を開催しました。悠平と一緒に行って、ここで悠平は美術展の雰囲気に慣れたのかもしれません。その後、東博を再訪し、次いで今回のムンク展と、経験を重ねました。次は、びじゅチューンで知った高村光太郎の彫刻「手」がある国立近代美術館や、ダンテの「地獄の門」のある国立西洋美術館なども訪ねてみようかと、悠平と相談中です。井上涼さんの導きで、このままアートが悠平の興味の一部に定着できればいいなと、yuheimamaとも話しているところです。

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