休校にめげず…

 妻(yuheimama)です。連日、臨時休校関連のニュースが報じられています。悠平の学校も今週月曜日から休校となりました。本人、家族はもちろん、先生方や放課後等デイサービス、学童クラブのスタッフの方々も対応に追われていることと思います。悠平は週に3回、放デイに通所し、土日を含む4日間は在宅で過ごすことになりました。夏休み並みの長い春休みと思えばよいのかもしれませんが、不要不急の外出を控えるとなると、映画やカラオケといったレジャーに赴くわけにもいかず、ほとんどの時間を家で過ごすことになります。そうなると、パソコンでのゲーム三昧になりかねません。かといって、学校と同じことを家庭でできるはずもなく、パソコンの時間がいつもより長くなってもおおらかに受けとめ、せめて家庭学習のボリュームを増やそうと急きょ考えました。

 通常の家庭学習では夕方に30分程度、国語・数学(算数)・生活(理科・社会的な内容)を行っています。これはこれで継続し、さらに「朝学習」として30分程、体幹トレーニング、漢字プリント、計算プリント等をプラス。その後、30~40分、療育的にいうと、「目と手の協応」「微細運動」のトレーニングになりそうなアイロンビーズによるアート制作を取り入れました。アイロンビーズは、図案の上に透明な専用プレートを置き、そこにカラービーズを手またはピンセットではめて、最後にアイロンの熱でビーズを溶かして接着させ作品を完成させます。ビーズをはめていくのは細かい作業なので、途中で飽きてしまうかと心配しましたが、電車を題材にしたところ、やる気満々で大ヒット! 初回は先日、運行終了となった700系新幹線を作りました。

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  このほかに、2学期から継続してきた音読も忘れずに(音読については「筋肉の省エネ」を参照ください)。休校初日には担任の先生から電話をいただき、学校で取り組んでいた教材も郵送していただけることになったので、手変え品替えで取り組んでいきたいと思います。

 ちなみに悠平、母が簡単な日課表を作ったところ、いつもより多い学習課題にも「これが終わったらパソコンできる」と言って、すんなり取り組んでいます(笑)。

肉きなこ

 妻(yuheimama)です。悠平は漢字練習に少しずつ取り組んでいます。家庭学習では新出漢字を、放課後等デイサービスでは復習プリントで学習中です。放デイがあった日は、夕食後に私が丸付けをするのですが、時々ユニークな間違いがあり、思わず笑ってしまいます。人の間違いを嘲笑するのは良くないと思いますが、漢字プリントでの間違いは、指摘すると悠平自身も笑い、yuheipapaも笑って、みんな楽しくなるので、ちょっとだけ紹介します。

 

 まず、表題の「肉きなこ」。もとになった問題はこちら。
 うち
(  )気な子
⇒正解は「(内)気な子」。悠平、「内」と「肉」を書き間違えてしまいました。確かに形が似ています。「(肉)気な子」、音読すると「肉きなこ」。

 

 それから、「頭」と「顔」をひっくり返して覚えていたらしく、発生した間違い。
頭つうがする→「がんつう が する」
タイのお頭→「タイ の おかお」
仏の顔も三どまで→「ほとけの あたまも さんどまで」

 

「タイのお顔」はかわいい間違いだと思ったのですが、「仏の頭も三度まで」だと、なんだか仏様に頭突きされそうです。漢字って、面白いけど難しいとあらためて思いました。

 悠平にとっては、「木」「記」「気」など、同音異義を書き分ける問題も難しく、そうした問題のときは辞書を引きながらトライ。辞書を引くと、漢字の形を探すだけでなく、意味を考えて字を選ぶので、読解の練習にもなるのだなと気づかされました。

 

新レインボー はじめて国語辞典 ミッキー&ミニー版(オールカラー)

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  • 出版社/メーカー: 学研プラス
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 大人になるまでにどれくらいの漢字を習得できるか、これも日々の積み重ねです。楽しく頑張っていきたいものです。

笑いの液体

 妻(yuheimama)です。自閉症児者には、辛いことを思い出して泣いたりパニックを起こす「フラッシュバック」現象があります。悠平も小さい時には突然泣き出すことがあり、見ていて切なかったのですが、フラッシュバックには辛いものだけではなく、良いフラッシュバックもあるのだと、以前、クリニックのSTから教わりました。

yuheipapa.hatenablog.com

楽しい思い出が多いと、セルフエスティーム(自己肯定感)が上がるのだと同時に教えていただき、それはそうかもしれないと思ったものでした。

 悠平はここ1~2年、よく思い出し笑いをします。これも一種の良いフラッシュバックなんだろうな~と微笑ましく見ていました。しかしながら、授業中に思い出し笑いが止まらなくなり、先生に注意されることがあるとのことで、大人になってから仕事中に笑いが止まらなくなったら困るだろうと、最近、やや心配になってきました。家で悠平が笑い出したときに「何が面白いの?」と尋ねると、「思い出し笑いを思い出したのが面白いの」と、分かるような分からないような答えが返ってきます。先日、夕食中に笑い出したとき、悠平が自分から「どうして思い出し笑いをするんだろう」と言い、私が答えに窮していると、悠平は自分の胸に手を当てて「ここに笑いの液体が入ってるのかなぁ」と言い出しました。笑いの液体!――ポエムだわ、と思いつつ、またまたなんと答えたらよいのか悩んでしまいました。「うーん、液体は入っていないと思うけど…」と言って、次の言葉を探していると、「ふーん」と悠平の顔がみるみるうちにつまらなそうな表情に変わってしまいました。悠平が笑顔で納得できる返答ができず、無念! 

 よく笑い、学校も放デイも「楽しい!」と言って、人生を謳歌する悠平。親としては障害者として生きていかなくてはならない将来への不安は拭えませんが、よく笑い、良いフラッシュバックの蓄積でセルフエスティームを上げ、強い心を作っていってほしいと思います。思い出し笑い――TPOをわきまえられるようになるか、これもまた不安は拭いきれませんが。

冬休みの国語学習

 妻(yuheimama)です。楽しかった冬休みが明け、3学期が始まりました。今回は、冬休み中に取り組んだ国語の学習を紹介します。

 2学期に取り組んだ読解問題では、登場人物の気持ちを想像するなど、自閉症の悠平には難易度の高い設問が続き、悠平は「ややこしい」「難しい」を連発。現段階では、理屈で説明しても理解は難しいだろうと判断しました。そこで今の悠平にちょうどいい教材はないかと探してみましたが、ピンとくるものがなく、身近な文章を使ったプリントを自作してみました。身近な文章とは…新聞記事です。

 悠平がこども新聞の購読を始めたことは以前に紹介しましたyuheipapa.hatenablog.com

 残念ながら、今に至っても自分から新聞を広げることはほとんどないのですが、興味のある記事については、声掛けすると読んで理解しているようです。そこで、こども新聞の記事をはじめ、おとな新聞(?)からも、悠平が興味を持ちそうな記事を切り抜いて、簡単な読解問題に仕立てました。著作権の関連で、紙面の写真を掲載することはできませんが、以下に何本か紹介します。

 

「からあげクン宇宙の旅へ」

(読売KODOMO新聞:ローソンが開発中のスペースからあげクンが宇宙食に認証)
Q. からあげクンのほかには、どんな宇宙食がありますか?
A. 1.焼肉 ②ようかん 3.ペリエ

 

「もとをたどれば 京王電鉄」

(毎日新聞:私鉄・京王電鉄の成り立ちを解説するコラム)
Q. 京王の社名の由来は何ですか?
A. [ 東京 ] の京と [ 八王子 ] の王

 

「仮面ライダー総務相訪問」

(朝日新聞:少年消防クラブのPR役、仮面ライダージオウとゼロワンが総務相訪問)
Q. 高市さん(総務相)は、いつの時代の変身ポーズをしましたか?
A. ①昭和 2.平成 3.令和

 

「試写室 出川哲郎の充電させてもらえませんか?」

(朝日新聞:テレビ欄の番組紹介記事)
Q. 出川さんは旅先でみんなに何を求められますか?
A. [ あくしゅ ] と [ 写真 ]

 

 こんな具合に、悠平はノリノリで問題に取り組むことができました。こども新聞は文章が平易で漢字にフリガナがふってあるので一人で読めますし、新聞本紙の未習漢字の読み方や熟語の意味は、横で母がガイドしました。上記の他にも、新型特急の紹介記事などは、本紙であるにもかかわらず、ほとんど一人で音読。やっぱり好きこそものの上手なれです。

 悠平が自分から記事を読む日が訪れるのか定かではありませんが、休み明けも悠平が興味を持ちそうな記事に目を光らせ、一緒に読んでいきたいと思います。少しでも社会への興味関心が広がるように、そして、自分で情報を読み解く力がつきますように!

2019年末から2020年始のスケッチ

 yuheipapaです。
 この年末年始も悠平と2人で外出する機会が何度かありました。ただ、わたしから誘っても、気分が乗らないのか、ほかに家でやりたいことがあるのか、以前のように必ずついてくる、というわけではなくなってきました。考えてみれば、悠平ももうすぐ中学2年生。自分の都合、というものが出てくるようになったのかもしれません。それも成長の証しだろうと考えています。
 以下は、この年末年始の「父子乗り鉄と巡礼」のスケッチです。

 ▽甲府で寺社巡り
 わたしが年末の休みに入ってすぐ、山梨県甲府市に行きました。仏教を篤く保護した武田信玄が、鎌倉や京都にならって禅宗寺院5カ所を「甲府五山」に定めたということを知って、回ってみようと思いました。悠平はと言えば、JRが2017年に中央線に投入した新型特急車両E353系に乗れるとあって、大乗り気でした。
 当日は早起きして、新宿駅を朝8時過ぎの特急「かいじ」に乗車。甲府駅から五山最初の法泉寺まではアクセスが悪いのでタクシーを使いましたが、以後は以下のように徒歩中心で巡りました。
 法泉寺(五山、武田勝頼の墓所)→武田神社(信玄の館の跡、信玄が祭神)→山梨県護国神社→円光院(五山、信玄の正室・三条の方の墓所)→大泉寺(信玄が追放した父・信虎の墓所)→甲府駅:昼食

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 切り絵作家の百鬼丸さんデザインの信玄がついた武田神社のご朱印は以前からほしかったものです。念願がかないました。銅像はJR甲府駅前の信玄。

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甲府五山・法泉寺(左)と武田神社

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甲府五山・円光院(左)と大泉寺 

 昼食後、JR身延線で甲府駅から善光寺駅に移動→甲斐善光寺→東光寺(五山、信玄の諏訪侵攻でとらえられた諏訪頼重の墓所)→能成寺(五山)→長禅寺(五山)→甲府駅

 歩いた距離は12キロ弱。平坦な道だったとはいえ、悠平も愚痴を言うこともなくがんばりました。出発前から、夕食は山梨名物の「ほうとう」にしようと話していたのですが、ゴールの甲府駅が近づくと、悠平はテレビの旅番組を真似してか、「では、ほうとうで乾杯しましょう」と言います。その大人びた口調に笑ってしまいましたが、せっかくなのでお店に入るとわたしはハイボール、悠平にはオレンジジュースを頼んで乾杯しました。

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甲斐善光寺の本堂(左)とブドウ畑の向こうに見える甲斐善光寺

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甲府五山・東光寺(左)と甲府五山・能成寺

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甲府五山・長禅寺(左)と「ほうとう」 

 

 ▽七福神で運試し
 新年は東京都内で七福神巡りをするのが恒例行事になっています。ことしは港区の白金から目黒区の目黒までの寺院6カ所を巡る「山手七福神」にしました。こちらは色紙の御朱印のほか、七福神をかたどった小さなダルマがあります。こちらも7体をそろえました。実は一体ずつ、中にはおみくじが入っています。つまり、七福神を巡りながら、おみくじを7回引いたわけです。結果は大吉3、吉2、中吉、小吉が各1でした。大吉が3本もあって悠平は大満足。ことしは良い年になるといいなと思います。

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 ▽富士山と焼きそば
 三が日は天気も良かったので、思い切って悠平と一緒に、静岡県富士宮市まで富士山を見に行きました。東海道新幹線の「こだま」に乗って新富士駅で降り、バスで在来線の富士駅へ。身延線に乗り換えて富士宮駅へ。駅から徒歩10分ほどの富士山世界遺産センターはお勧めです。テラスから眺める富士山は、息をのむような美しさでした。その後は、徒歩すぐの富士山本宮浅間大社にお参り。全国の浅間神社の総元締めのような神社です。
 お参りが済んだ後も、広い境内をあちこち見て回りましたが、朝が早かったこともあって、そろそろおなかも空くころ。昼食はご当地グルメで知られる「富士宮焼きそば」にする約束をしていました。あちこちにのんびりカメラを向けている私に、悠平はだんだんしびれを切らして「もう、早く焼きそば食べようよー」と催促。神社の向かいにあるフードコート「お宮横丁」で焼きそばを食べました。太めの麺がモチモチしていておいしかったです。

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明けましておめでとうございます

 妻(yuheimama)です。当ブログへのご訪問、ありがとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
 さて、冬休み真っ最中の悠平。昨年末、おもちゃ断捨離を敢行し、古くなったミニカーや壊れかけのプラレールなど、親も驚く潔さでバンバンと捨て、すっきりと片付いた部屋で新年を迎えました。また、クリニックのOT(作業療法)で教わったトランプのババ抜きにはまり、大みそかから盛り上がっています。トランプは今まで、神経衰弱しかやったことがなかったので、「トランプをきる」「トランプを配る」動作は初体験。特にトランプをきるのには大苦戦。手順も手の動かし方もよく分からないらしく、何度も手本を見せたり、手を添えて一緒にやっています。トランプを配るときも自分に2回続けて配ろうとすることがあるので、時々声掛けが必要です。ゲームを始める前にこちらは気疲れしてしまいますが、そんな状態でやっても、なぜか最後にジョーカーが残るのは悠平の手元。神経衰弱は記憶力次第で勝てますが、ババ抜きにはこれといってコツがあるわけでもないのに不思議です。悠平は「も~~~、勝ちたいよ!!!」と悔しがっています。しばらくブームが続きそうです。
 こんな感じで平穏に迎えた2020年。今年も悠平が楽しく、さまざまなことを体験しながら学んでいけるよう、サポート&ガイドしていきたいと思います。皆さまにとって、良い年でありますように!

強力な動機

 妻(yuheimama)です。知的障害者にとって金銭管理は難しいことです。悠平には、小学生のときから学習の中で紙幣や硬貨の種類、数え方、金額の大小を教え、学校でも買い物学習に取り組んでいただきました。中学生になったらお小遣いを毎月渡し、ほしいものを買うためにお金を貯めたり、お金を使うと残高が減るということを、実感できるように準備してきました。月のお小遣いはひとまず500円。残高が分かりやすいように、100円ショップで買ったコインケースに入れ、項目がシンプルなお小遣い帳を用意しました。

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 4月以降、月初めに悠平に声を掛け、お小遣いをコインケースに入れ始めました。以来、悠平が欲しがる物があると、「お小遣いで買ったら?」と提案しました。が、親と一緒に外出すると、結局、親がほかの物と一緒に買ってしまったり、ポイントカードのポイントで支払ってしまうことが多く、悠平もあえて自分で支払おうとはしませんでした。

 以前、知的障害者の金銭管理についての講演会で、買ってもらうことに慣れてしまうと、成人しても自分でお金を払いたがらなくなる方もいるというエピソードを聞いていたので、やはり練習は必要なようです。これまでの買い物学習では、予算で1回買いきりだったので、お小遣いを貯めて買う行為は、本人にとってはまた別の体験なのでしょう。やみくもに買えばいいというものではありませんが、このままでは金銭管理の練習になりません。

 そんなある日、悠平が電気機関車のプラレールをほしいと言い出しました。クリスマス近くだったので、本人はプレゼントとしてほしかったのかもしれません。でも母は、「じゃあ、お小遣いで買ったら?」と懲りずに提案。すると悠平、すぐにでもほしかったらしく「そうするよ!」と張り切って答えました。強力な動機です。母はすかさず、悠平の机の引き出しにしまってあるお小遣い帳とコインケースを取り出し、悠平に残高を知らせました。4月から1円も使っていなかったので、4500円ありました。ネットでプラレールの値段を確認すると、種類にもよりますが、2000円あれば足りそうです。そこで悠平にお金を財布に入れるよう指示して、いざ買い物へ。悠平が一番欲しかったモデルはなかったのですが、納得して買えるモデルがあったので、自分で支払って持ち帰りました。悠平、ニコニコです。

 帰宅後、すぐに自分の部屋にプラレールを持ち込みました。その日は家庭学習で、買い物を文章題仕立てでおさらい。悠平、文章を読んでにんまりです。初めて自分でお小遣い帳も付けました。これからも学習と生活を関連付けながら、楽しくスキルアップしていきたいと思います。

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 本年も当ブログを読んでいただきありがとうございました。良いお年をお迎えください。