- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2010/06/25
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事業に行き詰った青年チャーリーのもとへ、ある日、絶縁状態だった父の訃報が届きます。遺言状には財産のほとんどをある人物に信託すると書かれていて、チャーリーはお金目当てでその人物を探し出して会いに行きます。その人物は医師で、チャーリーはそれまで知らされていなかった重度自閉症の兄レイモンドの存在を知ることになります。チャーリーは遺産分割を目論んで施設からレイモンドを連れ出します。自閉症の知識は皆無のチャーリーは、レイモンドのさまざまな症状にいら立ち困惑します。あるとき、実は(状況判断のできない)兄が赤ちゃんだった自分を危険にさらさないために施設に入所したという真相を知り、徐々に兄弟としての愛情に目覚めていきます。(なぜタイトルが「レインマン(雨男)」なのか、ラストがどうなるかは、見ていない方もいらっしゃると思うので内緒です)
映画では、レイモンドが自閉症特有の能力や症状を見せています。例えば、何度も何度も同じフレーズを繰り返す、人に触れられるのを極度に嫌がる、床に散らばったつまようじの数を一瞬見ただけで言い当てる、3〜4ケタの暗算ができるのにお金の計算はできない、信号が“DONT WALK(歩くな)”にかわると道の真ん中で歩かなくなり車の運転手から文句を言われる、ぐるぐる回るドラム式洗濯機をジーっと見ている等々。その時々にチャーリーは驚いたりおもしろがったりいらだったりするのですが、自閉症に関する知識がなかったためか先入観や偏見がなく関わりあっている(一方的にぶつかっている?)ようでした。二人は短いながらも密度の濃い時間を過ごし、言葉では表しきれない何かを共有できるようになっていきます。人に触れられるのを極度に嫌がるレイモンドがチャーリーと額を寄せ合うシーンは印象的でした。
「こういう作品を通して自閉症のことをもっと知ってほしい」というのはいかにも月並みですが、自閉症に関する知識だけではなく、偏見を持たずに関わりあうことできっと心が通じ合えるというのが、この作品に込められたメッセージなのではないかと思いました。また何年かたったら観てみたい作品です。
【追記】2012年2月25日午前10時10分
※yuheipapaです。妻のエントリについて、フェイスブックで知人に知らせています。その書き込みを以下に転載します。
「レインマン」は私も公開当時に見ました。自閉症の知識がまったくなく、空港でパニックになったダスティン・ホフマンが世界中の航空機事故を早口で一気にわめき立てるシーンに驚いたことをよく覚えています。妻も書いていますが、息子の悠平との生活が6年目になり、今はダスティン・ホフマンが見せる自閉症の特徴の一つ一つが「うん、あるある」とうなづけます。
もっとも、ダスティン・ホフマンが見せる視覚の強さ、例えば散らばったつま楊枝の本数を瞬時に数えたり、ラスベガスでカードをすべて覚えてしまうなどの能力は、自閉症の中でも天才的として「サバン症候群」と呼ばれるごく一部の人にしかありません。
稀に現れる天才は、その才能を生かして、自然科学の分野であれ、芸術の分野であれ、人類の進歩に寄与してほしいと思います。そして、その天才を出現させるために、無数の自閉症者、天才ではない自閉症者がいる、言い方を換えれば、無数の自閉症者がいてこそ、その母群の中から天才が現れるのだとしたら、一人ひとりの自閉症者にも天才の出現を支えるという役割があるのかもなあ、と、父親としてはそんなことも考えています。悠平が広汎性発達障害の診断を受けて以降、自閉症のことを調べていくうちに、アインシュタインの「またいとこ」に、自閉症者がいたことも知りました。本当に、何の役にも立たない存在であるなら、生物学的にはこれまでに淘汰されていたかもしれません。
レインマンに戻りますが、映画は日本でもかなり知られています。同じように、自閉症自体の知識も広まってほしいと願っています。