発達障害啓発週間によせて〜ブックレビュー(3)療育・生活支援

「療育・生活支援」
 昨年度通っていた自閉症療育センターwillがTEACCHプログラムをベースにしていたこともあり、療育・生活支援に関してはTEACCH関連書籍を参考にすることが多く、ABAに関しては基本的な考え方を概観したのみです(TEACCHとABAについては「最近始めた生活支援」をご参照ください)。以下ではTEAACH関連書籍を中心に紹介します。

自閉症の子どもたちの生活を支える―すぐに役立つ絵カード作成用データ集

自閉症の子どもたちの生活を支える―すぐに役立つ絵カード作成用データ集

・服巻繁監修『自閉症の子どもたちの生活を支える すぐに役立つ絵カード作成用データ集―CD-ROM付き―』(エンパワメント研究所発行/筒井書房発売) 北九州市立総合療育センターの保育士を中心とするグループが長年の実践と経験の蓄積から作成した絵カード集です。身辺自立(着替え、歯磨き、トイレ、入浴など)や医療機関の受診についてのイラストによる手順書がCD-ROMに収録されています(私は一部分使い時など、本文をカラーコピーして使っています)。イラストや写真を用意するのが面倒だけど手順書はほしいという方にお勧めです。

自閉症児のための絵で見る構造化―TEACCHビジュアル図鑑 (学研のヒューマンケアブックス)

自閉症児のための絵で見る構造化―TEACCHビジュアル図鑑 (学研のヒューマンケアブックス)

・佐々木正美/宮原一郎『TEACCHビジュアル図鑑 自閉症児のための絵で見る構造化』(学習研究社) ビジュアル図鑑と銘打つだけあって、「TEACCHによる構造化」を具体的にイラストで説明しています。学校、家庭、職場での例を紹介しているので、まるごと家庭生活に反映できる内容ではないのですが、構造化するための空間の区切り方や手順書の見せ方など参考になるところが多いと思います。

自閉症児の発達単元267―個別指導のアイデアと方法

自閉症児の発達単元267―個別指導のアイデアと方法

・E・ショプラー/M・ランシング/L・ウォーターズ編著『自閉症児の発達単元267 個別指導のアイデアと方法』(岩崎学術出版社) 編著者のエリック・ショプラー氏(故人)はノース・カロライナ大学医学部精神科教授でTEACCH部部長(日本語版出版当時)。TEACCHの療育課題を「模倣」「知覚」「粗大運動」「微細運動」「目と手の協応」「言語理解」「言語表出」「自助」「社会性」「行動」の各領域ごとに提示しています。療育センターなどで見たことのある課題がたくさん出てくると思います(たぶんこれがネタ本というか、基本文献なのでしょう)。350ページ以上のボリュームで本体価格5800円と高価でもあるので、家庭で本格的に療育に取り組みたい方にお勧めです。かくいう私も自作課題を作りながら、何か参考になる文献はないかと探し回って見つけた次第です。

認知発達治療の実践マニュアル―自閉症のStage別発達課題 (自閉症治療の到達点2)

認知発達治療の実践マニュアル―自閉症のStage別発達課題 (自閉症治療の到達点2)

・太田昌孝・永井洋子編著『認知発達治療の実践マニュアル―自閉症のStage別発達課題』(日本文化科学社) 編著者の太田氏は心の発達研究所理事長、永井氏は同副理事長(ともに出版当時)。自閉症児への療育の主要な目標を、発達を促すことによって本人に考える力と行動力を調節する力、社会に適応するためのスキルを身につけることであるとしています。そのための療育課題を独自の「太田Stage」Stage1〜Stage3別に提示しています。Stage3はさらに2段階に分かれていて、最上位の3-2は健常児の3歳から4歳はじめに相当する認知レベルです。こちらも療育センターなどで見られる課題が多数掲載されており、370ページ超、本体価格5830円と高価ですので、本格派の方にお勧めします。