「芽生え」から考える療育のポイント

 妻(yuheimama)です。前回、発達検査の結果を受けて「これからの1年は、この『芽生え』をポイントに個別療育と連動した取り組みを家庭でも行っていきたい」と書きました。そこで、自分なりに今後の療育の方向性を大きく4つに分けて考えたいと思います。

 一つ目はコニュニケーションについて。悠平は今、単語〜2語文、3語文で、簡単な要求、拒否、援助要求をすることができます。ただ、全体的傾向として、自発的なコニュニケーションにやや弱さがみられると評価されています。今後はまず、本人が好きな活動の中で絵や写真などの視覚的な手がかりを使い、やり取りの意味や言葉のつながり、概念を育てていくというのが基本方針です。視覚支援は、昨年度の自閉症療育センターwillでの療育を振り返った際にも取り上げたポイントです(「自閉症療育センターwillでの療育が終了」)。写真やイラストを用意するのは少々手間ですが、面倒くさがらずにできるところからやっていこうと思います。

 二つ目は社会性について。悠平は一人遊びはできますが、大人の介入なしに子ども同士で玩具を共有することは難しいようです。そこで、悠平が好きな遊びを一緒にやることを通して、やり取りの楽しさや便利さを知り、他者への関心を深めていけるようにします。ここでの「やり取り」とは、簡単なルールのある遊びをしたり、順番交代をするという、自分と他者との関係をつくることを意味するのだと思います。報告書は、遊びはまずは大人と、次に少人数の子ども同士での取り組みが有効だと指摘しています。しかし、悠平は今、幼稚園を長期欠席していて、子ども同士というのは難しいところ。とはいえ嘆いても仕方がないので、これもまた面倒くさがらずに、親が意識的にやり取り遊びを生活の中に取り入れるようにしていくことが大切だと思います。とりあえずは黒ひげ危機一発に再登場願いましょうか…(過去記事「『黒ひげ』登場」をご参照ください)。

 三つ目は認知および基礎的な機能的学習について。言葉だけ聞くと少々難しそうに聞こえますが、要は療育でやっている課題学習の内容についてです。悠平は2種類の物の分類はできたものの、色と形が違う12枚のカードを分類する課題はできなかったとのこと。そこで、数種類の物、色、形の分類に取り組むことが有効だとされています。家庭療育でも絵カードや色紙、シールなどを使えば取り入れることができそうです。また、絵や写真と単語のマッチング課題を取り入れて、単語を読む練習へとつなげていくことも必要なようです。

 最後は身辺自立について。これについては前回も「日常的に親がつい手助けしてしまうことが成長を遅らせているのでは…」と書きました。そこで、まずはどの部分が一人でできて、どの部分に援助が必要なのかを観察・評価し、完全には一人でできないもののできかかっている部分ができるようになるように促します。どのように促すかというと、手順書を作って見せたり、悠平には模倣のスキルがあるので手本を見せながらやることが有効とのことです。

 発達検査の報告書はA4で6ページにも及ぶ詳細なもので、ここに挙げたのは大きな方向性にすぎませんが、方針がはっきりしていないとただ漫然と課題をこなす日々になってしまいます。5歳の悠平が1時間半も頑張った検査結果です。有効に活用したいと思います。


 yuheipapaです。
 写真は今月初め、悠平を連れて滋賀県の西国三十二番札所、観音正寺に参拝に行った際のひとコマです。観音正寺室町時代の近江の守護大名、佐々木六角氏の居城だった山城、観音寺城があった山に建っており、西国三十三所の巡礼でも有数の難所とされています。この日に備え、父子でトレッキングシューズを新調。悠平もがんばって、わたしと一緒に徒歩で山道を1時間以上歩き参拝しました。
 下山の途中に静かな神社があり、「見ざる、言わざる、聞かざる」の像がありました。悠平はいたく気に入ったようで、今もわたしが「見ざる! 言わざる! 聞かざる〜!」と言うと、ニコニコしながら手を目にやったり、口にやったり、耳に当ててサルの真似をします。
観音正寺 http://www.kannon.or.jp/