効果てきめん! 子ども部屋の構造化 その1

妻(yuheimama)です。これまでわが家では、悠平の学習机やおもちゃ箱など、どこで何をするか悠平自身が目で見て分かりやすいように工夫をしてきました。それでも、悠平は片づけが苦手な上、家のいろいろな場所にトミカを持って行って遊ぶので、至る所にトミカが転がっていて滑って転びそうになったことが1度や2度ではありませんでした。また、夜は必ず悠平の隣に私かyuheipapaが寝るようにしていて、「一緒に寝るのは幸せだけど、うまく一人寝に移行できるかしら」と不安に思うこともありました。そこで、小学校に入学したのを機に、子ども部屋を独立させ、可能な限り構造化することにしました。

構造化とは、どこで何をするのか目で見て分かるように、空間を仕切ったり配置したりすることです。一つの空間を多目的に使うと混乱を来すお子さんの場合も、構造化することでその場その場でやるべきことがはっきり分かると、落ち着いて取り組むことができるようになるといいます。昨年通っていた梅花女子大学大学院の療育スペースも、一昨年通っていた自閉症療育センターwillの療育スペースも、それぞれパーテーションやカラーボックスを仕切に使って「一つの空間で一つの活動」を実践していました。

それでは悠平の部屋を紹介します。悠平の部屋は5畳の洋室です。この部屋には窓がないのですが、これは壁やドアを仕切として有効活用したかったことと、窓の外の音や動きといった刺激を遮断したかったためです。
まずは入り口のドアに「ゆうへいくん の へや」と張り紙。悠平、ちょっぴりお兄ちゃんになった気分だったのでしょうか、とても喜びました。

続いて部屋の全体写真。左右の壁に沿って家具類を配置しています。

部屋に入って右側には、まずベッド兼リラックススペース(ベッドは一見、万年床に見えますが、すのこベッドです。念のため・・・)、衣装ケース、ワイヤーラックです。

ベッドは購入することも考えましたが、寝相が悪い悠平が落ちてもけがをしないように、今のところ低いすのこベッドを使っています。衣装ケースには主に外出用やオフシーズンの衣類を入れてあり、その上には着替えを入れるかごや時間割などを置いて、作業台として活用しています。ワイヤーラックの上には学校帰宅後にカバンや荷物を置いています。布でカバーしている奥は2段構造になっていて、普段着る衣類を入れています。今は、その日着る洋服を私が準備していますが、いずれ悠平自身が選べるように、上の段には通学服、下の段には校内服(悠平の学校では、毎日校内用の活動着に着替えるため、上下1セットを持参します)と分けて置いています。

中央奥にはクローゼットがあり、そこを開くと悠平のおもちゃスペースです。半透明のケースやかごに種類分けしておもちゃを収納。それぞれに何を収納しているかラベルシールに書いてはりました。

左側は奥から順に、学習机、レターケース(療育教材入れ、下部にはパソコン本体)、パソコンのディスプレイとキーボード、絵本棚です。

学習机左のレターケースは、パソコン好きの悠平が療育・学習に集中できるように、学習スペースとパソコンの仕切の役目も果たしています。以前は机の右側に置いていましたが(「冬休みの家庭療育」を参照ください)、構造化して作業する際には「左から右へ」という流れ(=ワーク・システム)が一般的なようなので、配置を変更しました(cf.佐々木正美『自閉症児のためのTEACCHハンドブック』p107)。パソコン左には絵本棚。ちょうど、ベッドに座ったり寝ころぶと絵本が目に入る位置になっていて、寝る前の読み聞かせのときなど、悠平自身が絵本を選びやすいようにしまいた。

このように子ども部屋を独立させて構造化した結果、当日から効果を発揮したのが、一人寝への移行です。一人寝については 私から何も説明しなくても、悠平から「おふろはいって、はをみがいたら、おかあさんがすわってえほんをよんで おやすみなさいのキスをして ゆうへいくん ひとりでねます。おかあさんは むこうのへや(=寝室)にいくよ〜」と、言ったのです。ちなみにおやすみなさいのキスは、絵本『おやすみなさいフランシス』を読んで以来のお約束です(『おやすみなさいフランシス』については「今年の3冊―悠平編―」を参照ください)。悠平自身も、枕元のぬいぐるみに「おおやすみマイク・ワゾウスキー、おやすみエイリアン、おやすみスポンジ・ボブ」と言ってキスをしていました。初日は興奮してなかなか寝付けないようでしたが、まったく嫌がることなく一人寝ができるようになったので、「構造化ってすごい!」と今さらながら感動してしまいました。

今回は部屋の構成を概観したので、次回は細部の工夫を紹介したいと思います。


【参考文献】
TEACCH、構造化、ワーク・システムの基本が分かります。

自閉症児のためのTEACCHハンドブック (ヒューマンケアブックス)

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仕切りのつくり方などの実例がカラー写真で多数掲載されています。

発達障害の子ものびのび暮らせる生活サポートブック 幼児編 (あんしん子育てすこやか保育ライブラリーspecial)

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