平日にも壁

妻(yuheimama)です。先週の土曜日、学習発表会に参加できず「土曜日の壁」を乗り越えられなかった悠平(「学習発表会――「土曜日の壁」」を参照ください)。今週は、その話も含めての個人面談がありました。面談は放課後に行われるため、下校がスクールバスではなく、保護者と一緒ということになります。私は下校の仕方が「いつもと違う」とはいえ、私が一緒に帰るのなら大丈夫だろうと高をくくっていたのですが、現実は甘くありませんでした。

面談前日、自宅の週間予定表に「がっこう・おわりのかい→おかあさん とうじょう→ゆうくん せんせいとあそぶ→ゆうくんとおかあさん いっしょにかえる」と書いた紙をはっておきました。それを見るなり悠平は「いや〜〜〜!!!」と、叫び、泣き始めてしまいました。「お母さんと一緒に帰るんだよ」と言い聞かせても、「バスでかえるー」と主張。なんとかならないものかと、「ゆうくんと先生とお母さんと一緒にお話しする?」「帰りにマクドナルドでハッピーセットを買おうか」など、思いつく対応策を投げかけてみましたがすべて拒否。ギリギリの妥協案として、悠平を通常通り下校させて、夕方ベビーシッターに来てもらい、留守番をするということで、なんとか納得しました。

そこで面談時間を遅い時間に変更してもらおうと担任の先生に電話をすると「そうでしたか。そういう可能性はあると思っていたので、悠平君が泣いても対応できるようにしようと思っていました」とのこと。不安はありましたが、新しい体験をしないと経験の幅が広がらないと思い、先生方のサポートを頼りに悠平が泣いても予定通りに面談をお願いすることにしました。ただ、悠平はスクールバスで帰れないのなら学校を休むとまで言っていたので、「バスで帰れるよ」と言っておいて、私が学校に現れたのではウソになってしまいます。どう説明したらよいか悩んでしまい、先生に相談しました。先生は「バスで帰れると言ったけど、用事ができてお母さんに来てもらうことになったということにすれば、ウソにはならないのでは」と提案してくださいました。おぉ、さすが先生! それなら私も我が子を騙し討ちにせずに済むような気がしてきました。

当日、ドキドキしながら学校に行くと、時折、隣りの教室から悠平の雄叫びのような泣き声が聞こえてきます。先生方は想定内という感じで落ち着いて話を進めます。私は先週の「土曜日の壁」に屈した直後だったので、少々バツが悪く、悠平の泣き声にも気が気ではありませんでしたが、先生は開口一番「悠平君は2学期、急成長しました」と、ポジティブ評価。その一言で、私も「そうだ、悠平は家でもさまざまなことに意欲的に取り組むようになってきたじゃないか」と気を取り直して面談に向かうことができました。続けて先生は「悠平君は、はじめは何でも『いや、いや』と言うのですが、いざやってみるとできるんです。だから『いや』と言ってもやってみて、成功体験を積ませ、達成感を感じさせてあげるように、大人がこだわりをつぶすよう、手助けをしてやるのが大切だと思います。だから、学習発表会は正念場だと思っていたんです」とおっしゃいました。一方で、大泣きでパ二くる我が子を前にした親の気持ちや、幼稚園で登園拒否となった経緯から慎重になっている立場にも理解を示してくださいました(幼稚園退園については「決断――本日、幼稚園を退園しました」を参照ください)。

話をしながら私は、悠平は親の私が思っているよりずっと力を持っているのかもしれない、先生方の方がその潜在能力を的確に評価されているのかもしれないと思いました。確かに幼稚園では登園拒否になったし、不安感がとても強い子だけれど、それはその時々の環境や働きかけがその時点の悠平にフィットしていなかっただけなのかもしれない、とも思いました。過ぎてしまった発表会をやり直すことはできないけれど、次の機会には少しくらい強引でもやらせてみようという気持ちが強くなりました。

面談が終わって隣の教室に行くと、悠平は私の顔を見るなり「おかあさーん」と言って、泣きながら胸に飛び込んできました。私は「大丈夫だよ。待っててくれて、ありがとうね」と言いながら、悠平をぎゅっと抱きしめました。その後、悠平は「いつもと違う」下校風景が嫌だったのか「めかくし」と言って、私の手で自分の目を隠しながら歩いて、学校を後にしました。しばらく行くと、悠平が「ないちゃってごめんね」と言ったので、私は「いいんだよ、大丈夫だよ」と答えながら、悠平の頭をなでました。

「土曜日の壁」に続いて「平日の壁」まで出現してしまいしたが、先生方のサポートで何とかクリアできました。これまで悠平のことは親が一番分かっていると思ってきましたが、今後は迷ったら、もっと先生方の経験と評価を頼りにして打開策を考えていこうと思います。意義深い個人面談でした。