太郎先生がやって来た

yuheipapaです。悠平の現在のお気に入りは岡本太郎。悠平に芸術の季節が巡ってきたようです。
きっかけは11月のある日曜日でした。どこに出掛けるか調べていて、川崎市の生田緑地が紅葉の見ごろを迎えていることを知りました。ただ「紅葉を見に行こう」だけでは、悠平のモチベーションは上がりません。最寄り駅が小田急線の向ヶ丘遊園であること、敷地内に岡本太郎美術館があることから「悠くん、小田急線に乗って、岡本太郎先生の作品を見に行こうか」と持ち掛けたところ、即座に「うん、岡本太郎先生の作品を見に行くよ。太陽の塔はあるかなあ」と、乗り気の返事が返ってきました。悠平は大阪にいた当時、小学校に進む前でしたが、万博記念公園に遊びに行って太陽の塔を見ており、以来、彼なりに「岡本太郎」のことは気に入っていたようです。

美術館では終始、上機嫌でした。少し驚いたのは、展示物の作品名をすらすらと読んでしまうことでした。特に悠平が気に入った様子だったのは「座ることを拒否する椅子」です。これは展示物ながら、触わったり実際に座ることができる丸椅子で、座面には目や顔のようなものがあり、座られることを拒むかのようなメッセージを感じます。悠平は私の手助けなしに作品名を読み上げると、うれしそうに何種類かあった椅子に次から次に座っていました。「岡本太郎」はよほど悠平の感性にフィットしたようで、単に「うれしい」や「楽しい」というのにとどまらない、今まで見たことがないほどの生き生きとした表情でした。
帰宅後、報告を聞いたyuheimamaも驚いていました。思えば、幼児のころに買ったピカソの絵本が悠平は特に気に入っていました。現代芸術の中でもピカソ岡本太郎は相性がいいのかもしれません。yuheimamaの手持ちの作品集を自宅でも悠平に見せることにしました。
その次の休日は、東京・青山にある「岡本太郎記念館」に私と悠平とで行きました。ここでも同じように悠平は生き生きとしていました。見たこともないオブジェの作品名をすらすらと言うので「悠くん、どこで覚えたの」と聞くと「作品集に出ていたよ」との答え。よほど気に入っているのでしょう。感心しました。
記念館では岡本太郎の関連のグッズ、書籍を販売していました。買ったのは高さ15センチほどの岡本太郎フィギア。実は川崎の岡本太郎美術館のミュージアムショップにもあったのですが、品切れで販売休止中で、悠平と「残念だね」と話していた逸品です。税込みで3908円の値段に一瞬躊躇しましたが、思い切って買いました。海洋堂制作とのことで、組み立てと塗装は一体ずつ手作業のため、全く同じものは二つとないそうです。悠平は大喜び。「太郎さんが家に来たよ」とyuheimamaに報告し、さっそく自分の勉強机の上に置いて、しげしげと眺めていました。
yuheimamaと話したのは、これで悠平がアートに興味を深めてくれればいいね、ということです。これが将来の仕事に結び付く、というところまでは行かないとしても、趣味に育っていけば余暇の過ごし方を充実させることができます。余暇は仕事と表裏の関係にあり、特に自閉の人が仕事(就労)を持続させるには、余暇を楽しみにながら過ごすことができるかどうかが重要になるようです。「もしかしたらこっちの方面で才能を発揮するかも」とは親バカそのものですが、悠平が望むようなら、絵か何か、アートの習い事もさせてやりたいと、yuheimamaと話しています。

【参考】
川崎市岡本太郎美術館 http://www.taromuseum.jp/
岡本太郎記念館 http://www.taro-okamoto.or.jp/