「花まつりと甘茶巡り」の1日

 仏教で4月8日はお釈迦様の誕生日とされています。そのお祝いの行事を「灌仏会(かんぶつえ)」と呼んだり「降誕会(ごうたんえ)」「仏生会(ぶっしょうえ)」と呼んだりします。ごく平易には「花まつり」と呼ぶようで、一般にはこの呼び名がなじみやすいかもしれません。
 悠平と2人で休日の寺社巡りを本格的に始めたのは2011年のことでしたが、花まつりのことを知ったのは2年ほど前、最近のことです。ことしの4月8日は日曜日だったので、思い立って悠平と一緒に東京の花まつり巡りに出掛けました。
 東京都港区芝の増上寺でもらった説明の紙片によると、花まつりのいわれは、以下のようです。

 「はなまつり」とは、お釈迦さまの誕生をお祝いする行事です。
 今からおよそ2500年前の4月8日に、ルンビニーでお釈迦さまはお生まれになりました。お生まれになったお釈迦さまはその場で7歩お歩きになり、天と地を指さして「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」とおっしゃいました。「今、こうして受けたこの命はみなそれぞれ尊く、素晴らしいものだ」とお説きになられたのです。
 その時、降誕に感動した竜王が空から甘露の雨を降らせ、周りの草木が一斉に花開き、人や動物や全ての物がお釈迦さまの誕生をお祝いしたという伝説にならい、花で飾られたお堂におまつりされた、天と地を指差しているお釈迦様の像に甘露の雨を模した甘茶をおかけしてお祝いするのです。

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【寛永寺 両大師堂】

  回ったのは池上本門寺(大田区)、芝の増上寺(港区)、御徒町の摩利支天徳大寺(台東区)、上野公園の寛永寺清水観音堂、寛永寺両大師堂(台東区)の5カ所です。花で飾られた小さなお堂を「花御堂(はなみどう)」と呼びます。中に置かれた天と地を指差しているお釈迦様は「誕生仏」と呼びます。周囲には甘茶が満たしてあり、小さなひしゃくですくって誕生仏にかけた後、手を合わせます。終わった後には、甘茶をいただきます。
 悠平もわたしも、甘茶がすっかり気に入りました。アマチャヅルとカンゾウという甘味料としても使われる植物が原料です。砂糖とは違ったほんのりとした甘みが口の中にじんわりと広がります。だいたいどこのお寺も、冷ましてから出していましたが、熱いうちにポットに移して出しているお寺も1カ所ありました。熱い方が甘みが強く感じられたような気がします。
 悠平は最初の池上本門寺で甘茶をいただき、一口ですぐに気に入ったようでした。お寺から次のお寺へ向かう間、「甘茶あるかなあ」「次のお寺でも甘茶を飲みます!」と、本当に楽しみな様子でした。手先が器用ではない悠平は、ひしゃくを持つ手はぎこちなく、甘茶もうまくお釈迦さまにかからないのですが、一生懸命に取り組みました。
 結局、花御堂を5カ所でお参りし、甘茶も品切れになった最後の両大師堂以外の4カ所でいただきました。“花まつりと甘茶巡り”の1日になりました。

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【池上本門寺の参道沿いにある鬼子母神堂】

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【誕生仏をクローズアップ】

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【増上寺】

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【摩利支天 徳大寺】

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【寛永寺 清水観音堂】

 上野公園にある寛永寺の清水観音堂には、びんずる(賓頭盧)尊者のストラップ式のお守りがありました。びんずる尊者はお釈迦様の高弟の羅漢の1人。「なで仏さま」「おびんずるさま」などと呼ばれる木像があちこちのお寺にあり、自分の体の悪いところと同じ部位をなでると効用がある、とされています。悠平は寺社巡りを始めた当初から、びんずる尊者が大のお気に入り。「悠くん、びんずるさんのお守りがあるよ」と声を掛けると、目にするなり即座に「買う!」。健康のお守りとして、身に着けています。

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【びんずる尊者】