初心に返った夏休みの学習

 妻(yuheimama)です。今年の夏休みの学習は2本立て。週3回の放課後等デイサービスで、学校の宿題プリントに取り組むことで1学期の復習を。週3回の家庭学習で、四谷学院療育55段階の教材を中心とした新しい学習を進めています(療育55段階については「夏休みの家庭療育&家庭学習」を参照ください)。

 悠平に新しい内容を教えるとき、本人が興味を持ってスーッと頭に入っていく場合と、自閉症の認知特性から、教え方をあれこれと工夫しないと理解が進まない場合があります。また、どうにも苦手な領域というのもあって、私自身が手詰まりになったときや、本人の理解度が達していないと判断したときには、しばらく時間をおいて再チャレンジすることがあります。この夏、スーッと頭に入るとまではいかないものの、本人が楽しみながら学習しているのが掛け算。しばらく時間をおいての再チャレンジで、かつての取り組みとは変化がみられたのが迷路でした。

 書字が遅かった悠平は、運筆と目と手の協応課題として小学部3~4年のころ、ドリル形式の公文の迷路に取り組んでいました。易しいものから始め、後半は乗り物好きなこともあり、「めいろあそび のりもの」にチャレンジ。公文の教材は少しずつ難易度を上げていくスモール・ステップの構成で知られていますが、このスモール・ステップはあくまで健常児基準。知的障害児にとっては1枚1枚が結構大きなステップである場合もあります。当時の悠平にとって、「めいろあそび のりもの」の後半は歯が立たず、一緒に復習しても、次にはまた迷路の壁を突き破ってゴールするという荒業が続いたため、お蔵入りしていました。 

めいろあそび のりもの (めいろ 6)

めいろあそび のりもの (めいろ 6)

 

  先日、夏休みを前に小学部時代の教材を整理していたところ、後半1/3ほどが残った「めいろあそび のりもの」を発掘。試しに1枚、課題として出してみました。すると、悠平は荒業なしにスルスルスルッとゴールしてしまいました。さらに「もっとやりたい」と言って、2枚目も。この様子を目にして、スキルを身に着けるにはトレーニングが必要だけど、できないときには躍起になって繰り返すより、少し時間を置くことも大切だと改めて思いました。おそらく悠平は迷路ではない別のトレーニングで、迷路を解くのに必要な能力を獲得してきたのだろうと思います。

 それでも、難易度が上がってくると、スムーズにゴールできないこともあります。以前は行き止まりに入り込むと、イライラしたり、壁を突き破って無理やりゴールしていましたが、今夏は行き止まりになると「あぁ~」と悲嘆にくれながらも、別の道を探すために戻ってみるという「試行錯誤」をしたり、「どうしたらいい?」と支援要求を出すようになりました。課題をこなすスキルとともに、試行錯誤や支援要求といった以前にはみられなかった姿勢も獲得してきたのだと、成長を感しました。

 そもそも迷路をはじめとして、療育は目的ではなく、発達を促すための手段。壁にぶつかると「これが限界なのかも」と頭をよぎることもありますが、そんなときは別の手段を試すべし。初心に返った気持ちになりましたが、「3×3=7」と毎日、間違えられると、やっぱりトレーニングも大切だと思うのでした…。