線を引く、線を押す?

 妻(yuheimama)です。最近の算数、ではなくて数学の学習について。取り組んでいる内容は九九や大きな数の足し算引き算、図形の基礎なので算数なのですが、わたしが「算数」と口を滑らすと、中学生の悠平から「数学でしょ」とお叱りを受けます。

 夏休みから始めた九九は繰り返し、繰り返し、とにかく繰り返し練習し、もう一息でスルッと暗唱できそうなところまできています。3桁以上の足し算引き算は、繰り上がり繰り下がりが1回なら正答、2回あると戸惑ってしまうので、学校でも取り組んでいただいています。図形は三角形や四角形を定規を使って書く練習をしていますが、悠平にとってはこれがなかなか難しいのです。

   使用している定規は、以前にクリニックのST(言語聴覚)で勧められたフォロー定規。滑り止めゴムがついていて、ずれにくい仕様です。 

 使ってみると確かにずれにくいので、まっすぐ線を引けそうなものですが、悠平が書き終わった後に定規を外してみると、線がガタガタしています。なぜだろう…。そこで悠平の定規の扱い方をよくよく観察してみると、2つのことに気が付きました。

 1つ目は定規を置く位置。悠平は右利きなので、鉛筆を右手に持ちます。そうであれば定規を置くのは自然と左側になりそうなものですが、悠平は定規を右側に置いていました。右側に置いた定規を左手で押さえ、右手を左手の上でクロスさせて線を書いていたのです。鉛筆の動きが安定しないわけです。「悠くん、鉛筆は右、定規は左に置いて」とやって見せながら声掛けし、改善されましたが、今も時々間違えています。体が覚えるまで練習あるのみです。

 2つ目は鉛筆の動かし方です。「線を引く」という言葉があるように、横線なら左から右、縦線なら上から下に引くのが、自然だと思うのですが、悠平は横線を右から左、縦線を下から上に書いていました。自分の体に近いところから遠い方向に向かって鉛筆を動かしていたのかもしれません。しかしこれでは「線を引く」ではなく、「線を押す」です。鉛筆を引くのではなく押し動かすので、紙の抵抗もあってか線がガタついてしまうようです。「悠くん、それだと線を引くじゃなくて、線を押すになっちゃうよ」と言うと、「あ~、あはははは」と悠平も不自然さに気付いてか、笑い出しました。この指摘以後、頂点と頂点をきっちり合わせるなどの課題はまだ残っていますが、だいぶスムーズに線が引けるようになってきました。
         <線を引く>       <線を押す>
          ・→→           ・←←
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 先日、クリニックのOT(作業療法)で「悠平君はやり方を教えればできることが増えていきます」と言われました。これは自分でやり方を考え出すのが苦手であることと表裏一体の評価です。定規の使い方など、新しい物事を習得する際、初めから正しいやり方を教えるのは簡単ですが、母としては悠平にやり方を考え、試行錯誤する機会を与えたいという思いがあります。考えるのは無理だからと初めから教えてできることを一つでも増やしていくのが良いのか、時間がかかる上に、結局うまくいかない場合が多くてもやらせてみた方がいいのか――これからもケースバイケースで悩みながら取り組んでいくしかないかと思っています。