笑いの液体

 妻(yuheimama)です。自閉症児者には、辛いことを思い出して泣いたりパニックを起こす「フラッシュバック」現象があります。悠平も小さい時には突然泣き出すことがあり、見ていて切なかったのですが、フラッシュバックには辛いものだけではなく、良いフラッシュバックもあるのだと、以前、クリニックのSTから教わりました。

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楽しい思い出が多いと、セルフエスティーム(自己肯定感)が上がるのだと同時に教えていただき、それはそうかもしれないと思ったものでした。

 悠平はここ1~2年、よく思い出し笑いをします。これも一種の良いフラッシュバックなんだろうな~と微笑ましく見ていました。しかしながら、授業中に思い出し笑いが止まらなくなり、先生に注意されることがあるとのことで、大人になってから仕事中に笑いが止まらなくなったら困るだろうと、最近、やや心配になってきました。家で悠平が笑い出したときに「何が面白いの?」と尋ねると、「思い出し笑いを思い出したのが面白いの」と、分かるような分からないような答えが返ってきます。先日、夕食中に笑い出したとき、悠平が自分から「どうして思い出し笑いをするんだろう」と言い、私が答えに窮していると、悠平は自分の胸に手を当てて「ここに笑いの液体が入ってるのかなぁ」と言い出しました。笑いの液体!――ポエムだわ、と思いつつ、またまたなんと答えたらよいのか悩んでしまいました。「うーん、液体は入っていないと思うけど…」と言って、次の言葉を探していると、「ふーん」と悠平の顔がみるみるうちにつまらなそうな表情に変わってしまいました。悠平が笑顔で納得できる返答ができず、無念! 

 よく笑い、学校も放デイも「楽しい!」と言って、人生を謳歌する悠平。親としては障害者として生きていかなくてはならない将来への不安は拭えませんが、よく笑い、良いフラッシュバックの蓄積でセルフエスティームを上げ、強い心を作っていってほしいと思います。思い出し笑い――TPOをわきまえられるようになるか、これもまた不安は拭いきれませんが。