「いろいろ」の中身

 妻(yuheimama)です。時々、悠平の部屋からドア越しに「お母さん、これ、どうする?」と声が聞こえてきます。母が「これって何のこと?」と聞き返すと、「これ!これ!」と繰り返し、「これ」が何なのか分かりません。さらに、「これって、どんなもの? 色とか形とか」と突っ込むと、「うーん、分かんない」となって、結局、母が悠平の部屋に行き、確認することになります。似たようなことは家の外でもあり、例えば美容院に行ったとき、美容師さんに「学校の体育ではどんなことをするの?」と聞かれると、悠平は「そうですね…いろいろです」と答えて、いろいろの中身が分からないままです。悠平には説明力に課題があります。

 思い起こすと、小学生のとき、クリニックのST(言語聴覚)から出された課題に、物の形状を説明する「ことばクイズ」がありました。素材はおもちゃでも何でもよいのですが、例えば電車のおもちゃ、プラレールであれば、「これは電車です。四角いです。銀色に黄緑の線が入っています」といったように説明します。物の名前は、物にラベルを張るように覚えていけばよいのですが、これを形容していくとなると、ハードルが上がります。悠平はこの課題、苦手だったようで、しばしば渋い顔をしていました。家庭で市販の教材を使うようになってから、課題もいつしかフェードアウト。説明力不足は今も残っています。

 そんな悠平ですが、当時に比べれば格段としゃべるようになり、小学校を卒業するときには、低学年で担任だった先生が「いっぱいしゃべるようになりましたね!」と言ってくださったほど。先日も中学部での担任の先生から「話すときに主語がはっきりして、時系列で説明できるようになってきたと思います」と評価していただきました。ちなみに悠平が先生に説明したのは、最近まで東京・上野の東京国立博物館で開催されていた「トーハク×びじゅチューン なりきり日本美術館リターンズ」を見学し、ミュージアムグッズを購入したり、キャラクターが入ったガチャポンを回して、大満足だったこと(びじゅチューンはNHK・Eテレで放送中の美術作品を歌とアニメで紹介する番組。「「乗り鉄と巡礼」に「アート鑑賞」が加わりました」を参照ください)。確かに、びじゅチューンといい、旅番組への投書といい、好きなものなら自発的にどんどん表現できるようになってきました。こうした「好き」を大切に、「これ、これ」や「いろいろ」をもう少し具体的に説明できるよう、言葉を引き出す言葉がけを考えていきたい――母の冬休みの宿題になりそうです。

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