「親亡き後」を考える終活講演会

妻(yuheimma)です。先日、NPO法人ら・し・さ主催の「本当に役立つ 終活のはなし」という講演会に参加しました。NPO法人ら・し・さは、エンディングノートや、以前のエントリー「久しぶりのブックレビュー(1)――読書週間に寄せて」で紹介した『親亡きあとの支援ハンドブック〜知的障がいの子を持つ親のために〜』を発行している、終活のための専門家集団です。今回の講演会は、講演とパネルディスカッションの二部構成で行われました。

第一部では、大阪府障害者施設職員でフィナンシャルプランナーの鹿野佐代子さんが「親なきあとのために今からできる! 終活」と題した講演をされました。鹿野さんは障害者施設に30年以上勤務されているので、親御さんが亡くなった場合の様々な事例を見てきています。例えば母親が亡くなったとき。父親が家計のこと、障害のある子供が通院している病院や服薬している薬のこと、利用している施設のことを把握できていない場合があるそうです。また、知的障害のある子供が一人残されると、遺影が見つけられない、親の生年月日が分からない、どの通帳で何の引き落としがされているかが分からないといったことも。親一人子一人で同居していた場合、親が亡くなった後、障害のある子供が一人で生活できずに最悪の場合、死亡して発見されることもあるといいます。こうしたリスクへの対策として、遺言書やエンディングノートの活用、出生時からの原戸籍や遺影の準備を提案していました。

私自身、両親を亡くしているので、諸々の手続きの大変さは経験済み。一人っ子の悠平には託せないだろうと思っていたので、原戸籍は確保、エンディングノートも途中まで記入していました。今回の講演を聞いて、年内にエンディングノートにできるだけ記入をして、以後は毎年、見直しをすることを目標に据えました。また、自分が亡くなったときに火葬や納骨は誰に頼めばいいのだろうと漠然と不安に思っていたので、もう少し情報収集をして、遠からずそうした人間関係も構築しなければと再認識しました。

第二部では、「これからの社会に求められる終活〜その人らしく生きるため準備しておくべきこと」というテーマで、鹿野さんも交えたパネルディスカッションが行われました。まず社会情勢として、2025年には団塊の世代が75歳を迎えて医療・介護が間に合わなくなり、80歳になる2030年には「死に場所難民」が出ると予測。そうした状況下での自助・共助・公助の在り方が話し合われました。自助とは自分のことは自分ですること、共助は共に助け合うこと、公助は国や自治体による福祉のことです。公助は縮小傾向にあり、エンディングノートなどで自分の意思を残しながら、後見性の普及などで共助を強化していく必要性が語られました。鹿野さんからは、公助には限界があるので、知的障害者の場合も金銭教育など、自分の力を伸ばしていくことも大切なのではという意見が出されました。

今回の講演会は、NPO法人ら・し・さの終活アドバイザー協会発足記念講演でした。誰にとっても終活は重要だと思いますが、障害のある子供を持つ親にとっては人任せにできない大仕事だと思います。

今回、講演者が鹿野さんであることを知り、即申し込みをしました。私が鹿野さんの活動を知ったのは、本年1月16日の朝日新聞「ひと」欄でした。知的障害者にお金のやりくりの仕方を教え、その実践例をまとめた論文が2010年の日本FP協会のコンクールで最優秀賞を受賞したことが紹介されていました。悠平への金銭教育を考えていた時期でもあり、本は出されていないのかなぁと思っていたところ、7月に『今日からできる! 障がいのある子のお金トレーニング』を共著で出版。購入して読み始めたタイミングでした。同書を持参し、講演後、鹿野さんにサインをお願いすると、「お金を豊かな人生のために上手に使ってくださいね」というメッセージをいただきました。悠平のQOL(生活の質)向上のため、親亡き後のため、一つずつ今できることに取り組んでいこうと思います。

今日からできる! 障がいのある子のお金トレーニング

今日からできる! 障がいのある子のお金トレーニング