いよいよ企業実習へ

 妻(yuheimama)です。前回、悠平が見守りなしで買い物ができたことを紹介しました。後日、スモールステップの一つとして、お店の外で母が待ち、悠平一人で買い物をするというステップを設けたところ、悠平、コンビニでの買い物を一人ですることができました。悠平は「一人で買い物ができる!」と自信がついたようです。母としては、企業実習(=就職活動)が始まる前に、一人で買い物ができるようになっておかなければと思っていたので、ホッとしました。というのも、実習先によっては、昼ご飯を自分で買いに行く必要があるかもしれないからです。実習、さらにはその先の社会人生活に必要なスキルの習得が、なんとか間に合いました。

 就労移行支援2年目の悠平は、これから企業実習をしていくことになります。初めての実習は、以前に見学した企業に決まりました。障害者雇用にとても積極的な企業で(法定雇用率<7月から2.7%>をはるかに超えて雇用)、今回は入社試験的な実習ではなく、体験的な実習を設定してくださいました。悠平が希望している清掃での実習です。清掃は、世の中が動き始める前の時間帯に作業が集中するため、始業時間は朝7時半。悠平は6時半前に家を出発することになるため、家族も含め、5時半には起床しなければなりません。悠平も緊張していますが、朝が苦手な母はもっと(?)ドキドキしています。

 障害者雇用をめぐっては企業によって取り組み姿勢が異なり、就労移行支援事業所で聞いた範囲でも、積極的な企業もあれば、法定雇用率をクリアする目的の求人ではないかと思える企業がありました(例えば、仕事は屋外作業なのに、なぜか半日は在宅勤務としている会社など)。大学生等の新卒一括採用とは違い、求人のタイミングも企業によりけりなので、巡り合わせに左右される部分もあります。就労移行支援事業所は、障害者雇用の「目利き」でもあるので、支援を受けながら、企業実習に一つずつ向き合っていきたいと思います。まずは、悠平も母も、寝坊しないように頑張ります。

 

 

後日談~ミニカーをめぐって

 妻(yuheimama)です。先月、プレミア価格のバスを3台も購入し、節約モードになった悠平。その数日後、散歩がてら地域の大きな公園へ出かけると、フリーマーケットをやっていました。ほとんどの出店が古着を販売していたのですが、トミカを売っている出店もありました。母、悠平が節約モードであることを忘れ、思わず「悠君、トミカがある!」と声をかけてしまいました。そこには箱入りトミカがずらり。中には日に焼けた箱もありました。悠平は少し日に焼けた箱を手にしました。値付けがされてなかったので、ちょっと心配になり、悠平に値段を聞くよう促しました。悠平が値段を尋ねると出店者は少し迷ったように「う~ん、600円でいいや」と返答。600円はトミカの定価と同じくらいなので、悠平は「これください」と言って、バックから財布を取り出しました。悠平が希望したトミカは、すでに新しいバージョンが販売されているので、プレミアがついてもおかしくない商品だったようです。悠平はそれが旧バージョンであることが分かっていて、選んだとのこと。悠平と出店者、お互いに「価値」を共有した様で、双方、笑顔でした。

 先月はたっぷり買い物したものの、なんとか残金を繰り越して、次なる工賃支給日を迎えました。ゴールデンウィークには、仮面ライダー生誕55周年記念作である映画『アギト―超能力戦争―』を観に行きました。悠平は仮面ライダーアギトのグッズを買おうとお金を用意していたのですが、公開から1週間経っていなかったにもかかわらず、訪れた映画館では売り切れていました(ちなみに、仮面ライダーアギトは悠平が生まれる前の2001年からテレビ放送されたシリーズで、映画館には放送当時小中高生であったであろう30~40代と思しき男性が多数、来場。通常の仮面ライダー映画とは違って、子どもの姿は見られませんでした。悠平は現在、東京のローカル放送局である東京MXテレビでテレビシリーズ『仮面ライダーアギト』を視聴しています)。そこで、帰りにやっぱりトミカを買うことになりました。

 映画鑑賞後、よく行く大型スーパーに立ち寄りました。すると悠平、トミカ売り場があるフロアとは別のフロアで買い物予定があった母に向かって、「トミカ、一人で買えるよ。お母さん、〇〇売り場に先に行ってて」と言いました。悠平はこれまで、支払い等は一人でできていたのですが、不安感が強いため、見守りを必要としていました。ついに、見守り不要に一歩踏み出したようです。数分後、買い物を終え、母がいる売り場へやってきた悠平。安どの表情を見せました。「一人でできたね」とねぎらいました。次のステップは、一人で入店して買い物をすることです。

 ときにお金を使いすぎて焦ったり、フリーマーケットでのやり取りを楽しんだり、見守りなしで支払いができるようになったりと、少しずつではありますが、悠平は確実に経験の幅を広げてきたように思います。将来を見据え、生活の利便性を高め、買い物を楽しめるよう、スモール・ステップの設定と見守りを続けていきたいと思います。

 

 

買い物から学ぶ金銭管理~ミニカーをめぐって

 妻(yuheimama)です。悠平は、就労移行支援事業所での作業の対価としていただく工賃で、買い物を楽しんでいます。支払いのたびにお小遣い帳に記入し、散髪代や生活用品などの必要経費と共に、趣味・娯楽のためにもお金を使います。これまでに、トミカやCD、DVDなどを購入してきました。

 先日、悠平は通販サイトで、トミカではない、バスのミニカーを見つけました。すでに販売を終了して希少品になったミニカーをプレミア価格で販売しているサイトのようでした。普段悠平が購入しているトミカは1台600円程度ですが、その通販サイトのバスは2000円前後のものが多く、高いものでは5000円以上の値段が付いていました。悠平は2200円のバスを買いたいとのこと。少し高いけれど、自分で稼いだお金でほしいものを買う喜びを大切にしたいと思い、注文しました。数日後に届いたバスは、塗装がきれいで、悠平はとても気に入ったようでした。

 悠平はさらにネットを検索し、もう一台買いたいと言い出しました。「じゃあ、次の工賃で買う?」と尋ねたところ、悠平、母のもとにお小遣い帳を持ってきて、まだ残高に余裕があるのですぐに買いたいとアピールしてきました。ほしいから次々に買うというのではなく、お小遣い帳を確認して、お金の使い方を自分で考えることができたのだと思い、注文を請け負いました。今回のバスは、悠平が特別支援学校小学部のときに乗車していたスクールバスと同型だったので、これは本当に欲しかったのだろうと納得しました。

 2台購入して満足したかと思いきや、悠平、さらにもう一台買いたいと言い出しました。ミニカー2台ですでに4000円ほど支払っていたので、さすがにお金を使いすぎなのではないかと思い、止めたくなったのですが、思いととどまりました。悠平の意思の尊重ということもありますが、使い過ぎを経験することで、お金の使い方をこれまで以上に考え、時には節約することも必要だと学んでほしかったからです。3台目を注文した後、カード決済する母に代金を支払った悠平、翌日に行く散髪代を用意すると、残高がガクッと減ったことに気付いたようです。ちょっと慌てた声を出した悠平に、すかさず「バス1台分のお金で、トミカだったら3台買えるよね。バスを買うとき、そういうことも考えて、買うかどうか決めるといいと思うよ」と声をかけました。すると悠平、「このシリーズはこれでおしまいにする」と宣言。翌日、スーパーに買い物に行くときは「今日は食玩(おもちゃ付きのお菓子)やめとく」と、節約モードに入りました。

 コレクターにとっては、プレミア価格の品でも買いたくなることがあると思います。今回使いすぎたから次回は節約しようという経験も、誰にでもあることです。親が先回りをして、常に安全な道を用意するのではなく、親元にいる間に少しでも経験の幅を広げて、悠平が自分で判断できることを増やしていってやりたいと思います。親にとっての「正論」を飲み込むのは、なかなか大変ですが…。

 

就労移行支援の1年を振り返って

 妻(yuheimama)です。悠平が特別支援学校高等部を卒業し、就労移行支援事業所に入所してから1年が経ちました。この間、悠平は就労に向けてのトレーニングを受けながら、企業見学にも行きました。就労移行支援への通所は原則2年なので、4月以降はこれまで以上に就職を意識して取り組んでいくことになります。

 悠平の就労に向けた課題は、報告・相談・連絡と丁寧な作業です。年明けからの3カ月は、これらを意識して厳しめに対応していただきました。入所当時、「楽しい」と言っていた悠平も、1年を振り返ったとき、「厳しかった」とこぼしていました。先日行われた面談では、これらの課題について、話し合いをしました。なかなか改善されない点もあり、その要因には、障害特性、認知力等が関係している可能性があると、担当者と母の間で共通認識を持ちました。

 4月以降もこれらの課題に取り組んでいかなければなりませんが、特性や認知力に要因がある場合には、厳しくやりすぎるとメンタル面への影響が心配されるので、本人の特性、認知力を前提とした環境選びも重要になります。悠平の場合、一貫して作業に高い巧緻性を求める職場ではなく、作業の難易度に幅があり、悠平の状態に合わせて作業を組み合わせてくれる職場や、チーム作業で補い合える職場ということになりそうです。また、満員電車が苦手な悠平の場合、都心への通勤が難しく、エリア的な制約もあります。これまでに見学してきた職場を中心に、現実的な選択をしていくことになりそうです。

 悠平は今年、20歳になるので障害基礎年金の申請も必要で(これまた大変!)、母にとっては気が休まらない日々が続きます。マイペースでケロッとしている悠平の姿に励まされつつ、乗り切っていきたいと思います。

 





 

目的と手段――金銭管理と文章題

 妻(yuheimama)です。悠平は、特別支援学校を卒業した後も、週に1~2回、家庭学習を続けています。中でも、時間やお金の学習は、生活力向上に直結するので重要だと思っています。お金については、文章題に取り組んできました。

 悠平は、品物AとBの合計金額を足し算で求めたり、1000円で品物Cを購入したときのおつりを引き算で計算することは以前からできていました。これが、1000円で品物Aを2個買ったときのおつりを求めたり、品物Bを1個とCを3個買ったときのおつりを求めるとなると、混乱していました。1つの式で足し算のみ、引き算のみなら立式できたものの、掛け算と引き算や、掛け算と足し算と引き算を適切に組み合わせての立式というのは難しいようでした。説明のたび、イラストで図解して見せたりしましたが、その時は分かっても、自力での立式にはなかなかたどり着けませんでした。

 ある日、文章題に取り組んだ後にお小遣い帳の記入をしました。その際、思い付きで、文章題の内容を悠平の買い物に置き換えて説明してみました。例えば、「工賃で雑誌とトミカを買った場合、<工賃―雑誌代金―トミカ代金>でも<工賃―(雑誌代金+トミカ代金)>でも、計算できるよね」とか、「工賃で同じ値段のトミカを2台買った場合、<工賃―トミカ代金―トミカ代金>でも、<工賃―(トミカ代金+トミカ代金)>でも、<工賃―トミカ代金×2>でも、計算できるよね」といったぐあいです。何回かこうした説明を繰り返した効果があったのか、悠平、あるときから文章題を自力で立式できるようになってきました!

 金銭管理と文章題の、どちらが目的でどちらが手段かといえば、金銭管理が目的で、文章題はそのための手段なのですが、今回は、目的が手段を助けたようです。説明イラストより、実体験の方が、分かりやすかったのだと思います。そんなこともあるんだなぁとちょっぴり苦笑いしてしまいましたが、悠平はできなかった問題が解けて笑顔になり、家庭教師の母としては、素直にうれしく思いました。学齢期を過ぎ、「これは悠平には難しいかも」と思ったことでも、アプローチを変えればクリアできることがまだあるのだと実感し、少しでも悠平の可能性を広げてやりたいとの気持ちを新たにしました。頑張ったね、悠平!

 

 

悠平、入浴剤にはまる

 妻(yuheimama)です。1月にいつもの理容店を訪れた際、新年の福引をしました。昨年、ボールペンが当たった悠平、なんと今年もボールペンを引き当ててしまいました。お店の方が「去年もボールペンだったんですよね。もう1回やりますか」と言ってくださり、再チャレンジ。今度は入浴剤が当たりました。入浴剤は2種類、1つは固形で湯舟に入れると炭酸ガスが出るタイプ、もう1つは粉末で温泉気分が味わえるタイプでした。

 固形の入浴剤を見て、悠平が小さかったときに、製氷皿やお菓子の型を使って入浴剤を手作りしたことを思い出しました。悠平は、「ドボン!」と言って、お風呂に投げ入れて喜んでいました。「悠君、小さいころにドボンってやったの覚えてる?」と聞いたところ、「覚えてるよ」との返答があり、ちょっとうれしくなりました。

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 そんな思い出話をしたせいでしょうか、初日には固形タイプの入浴剤を選びました。2日目には粉末タイプで入浴。3日目、「入浴剤、もうない?」と聞かれ、1月の伊東旅行で買ってきた温泉風入浴剤を見せました。こちらは一袋に約10回分の粉末が入っていて、1回の入浴で、添付のスプーン1杯分入れます。悠平にスプーンを見せ、「これに1杯ね」と伝えておきました。ところが悠平、入浴前に「3杯入れたよ」と報告(?)してきました。驚いて、「お母さん、1杯って言ったよね。なんで3杯入れたの?」と尋ねると、悠平は「足りないと思ったから」と、表情を曇らせました。このとき、母の脳裏に浮かんだのは、就労移行支援事業所での悠平の課題――「指示通りに仕事をする」「間違ったときや分からない時には相談する」でした。悠平は、悪気やいたずらで3杯入れたのではなく、良かれと思ってやったのだと思いますが、指示通りの行為ではありませんでした。「作業所でも指示通りに仕事をするって言われてるよね」と話すと、悠平は「ごめんなさい」と言って反省したようでした。

 これはこれで一件落着したのですが、後になって、別の考えが浮かんできました。仕事をするうえでは指示通りに作業することが必須なのですが、日常生活の中で、自分で考え、やってみた結果、失敗して学ぶという機会も大切なのではないかということです。学齢期、放課後等デイサービスに通所していた夏休み、昼食に辛い担々麺を買ってきて、何度もお茶をおかわりしたことがありました。スタッフから「辛いけど大丈夫?」と言われても買い、食べてみて、その後は買わなくなったというのも、本人にとっては体験学習だったと思います。

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 一般に19歳といえば、進学や就職で親元を離れる場合もあり、日々の生活を試行錯誤する時期かもしれません。悠平の場合、当面、家族との生活が続きますが、だからこそ、事業所でもなく、家庭でもない「第三の居場所」が必要だと感じました。ショートステイもその一つかと思いますが、余暇活動の場もやはり必要だと思いました。入浴剤をきっかけに、思いがけず深く考えてしまいました。

 悠平から、もっといろいろな入浴剤を試したいとのリクエストがあったので、ちょっと探してみようと思います。温泉好きのわが家にとっては、寒い夜のささやかな楽しみになりそうです。

 

 

穴子とサーモン~「あと一歩」を踏み出すきっかけ

 yuheipapaです。
 先日、家族3人で伊豆旅行に出かけました。昨年はyuheimamaの手術があったりして、何かと大変でした。ひと息ついて、ゆっくり、のんびり過ごそうと、東京から手ごろな距離の温泉にしました。悠平にとっても、JR線や伊豆急線の電車は大きな楽しみです。この旅行でまた一つ、悠平の成長を実感することがありました。
 宿は夕食、朝食ともブッフェスタイル。「好きなものを好きなだけ」なのですが、悠平の料理選びはyuheimamaが付き添います。悠平一人で、トレーに皿やお椀をいくつも載せて、バランスに気を配りながら席まで運んでくるのは、難度が高いためです。
 今回の旅行の夕食時、運んできた料理を食べ終わって、何度目かの「お代わり」に。ブッフェでは寿司のコーナーがあり、目の前で職人さんが好みのネタを握ってくれます。「僕は穴子1個とサーモンを2個食べたい」と悠平。あいにくyuheimamaは次の料理を取りに行っていて、テーブルにはいません。
 「おじさんに、食べたいものを伝えたら握ってくれるよ」とわたし。「うん」と言って、悠平は席を立ちました。やがてyuheimamaが戻ってきました。夕食会場内はかなりの混雑。悠平が一人で料理を注文しに行くのは、たしか初めてのはずです。yuheimamaと「やっぱりちょっと心配だね」と話し、わたしが様子を見に行きました。
 寿司コーナーは人気で、7、8人ほど並んでいました。その中ほどに悠平がおとなしく待っていました。「お父さんも穴子を食べたいから、2個頼んで」と言うと「分かった」と悠平。順番が来ると、はきはきした声で「穴子を2個と、サーモンを2個ください」と注文。皿を受け取ると、やはり大きな声で「ありがとうございます」。皿を手に、無事にテーブルまで戻りました。
 並んで順番を待つ、自分の番になったら口頭で注文を告げる。もう悠平もできて当然かもしれません。就労移行支援事業所でもらった工賃で、好きなトミカを自分で買うようになっていました。「あと一歩」を踏み出すきっかけ次第かもしれないなと思いました。今回は「穴子とサーモンを食べたい」が、そのきっかけだったのかもしれません。
 食べたかった寿司を無事に食べることができ、悠平も自信を持ったのか、その後も何度か、一人で料理を取りに行きました。トレーにいくつも載せるのではなく、一皿ずつ手に持ってくるのなら大丈夫そうでした。
 これからも一つずつ、できることを増やして、自信を深めていってほしいと思います。

 今回の旅行では、伊豆急線の伊豆熱川駅近くにある「熱川バナナワニ園」を訪ねました。その名の通り、ワニをたくさん飼育。温室ではバナナを始め熱帯の植物がたくさん栽培されています。ほとんどのワニは水の中にいてもじっとしていて、置物のようでした。
 園内のジューススタンドでおやつにしました。わたしが選んだのは「大福ワニバナナ」。ワニがバナナをくわえています。 

 伊豆熱川へは伊豆急線の「アロハ電車」に乗って行きました。帰りは、かつて東急線を走っていた懐かしい電車でした。(いずれも悠平撮影)。