妻(yuheimama)です。12月になると、新聞などで「今年の3冊」といった特集記事を目にします。これは新聞社の書評委員や作家、著名人が、その年の新刊から印象に残った本を3冊選んで紹介する企画です。これにあやかって、今回は私が選んだ「今年の3冊」を紹介したいと思います。3冊のうち1冊は初版が昨年なので、正確にいうと「今年出会った3冊」ということになるでしょうか。
まず1冊目は永井洋子・太田昌孝編『太田ステージによる自閉症療育の宝石箱』(日本文化化学社)です。「太田ステージ」とは、自閉症児の「発達段階をとらえやすくするために、いくつかの発達の節目をとらえてステージ分けしたもの」(p24)です。Stage1(一般の子どもの1歳半くらいまでの発達水準)、2(1歳半から2歳ぐらい)、3―1(2歳半前後)、3―2(3歳から4歳ぐらい)、4(5歳から7歳ぐらい=約7割が高機能自閉症)に分かれています。著者には、以前のエントリー「発達障害啓発週間によせて〜ブックレビュー(3)療育・生活支援」で紹介した『認知発達治療の実践マニュアル―自閉症のStage別発達課題』(日本文化科学社)という、かなり重厚な著作があるのですが、今回の本はそのエッセンスを生活レベルで具体的に表し、日常の療育実践に重点を置いたものです。
- 作者: 永井洋子,太田昌孝
- 出版社/メーカー: 日本文化科学社
- 発売日: 2011/10/01
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 34回
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2冊目は岩永竜一郎『もっと笑顔が見たいから 発達デコボコな子どものための感覚運動アプローチ』(花風社)です。著者はアスペルガー症候群の息子さんを持つ、作業療法士・医学博士です。自閉症の特性というと、まず「社会性の質的偏り」「コミュニケーションの質的偏り」「想像力の質的偏り」といった3点が挙げられますが、本書は作業療法士ならではの、身体感覚の視点からアプローチしています。
もっと笑顔が見たいから―発達デコボコな子どものための感覚運動アプローチ
- 作者: 岩永竜一郎
- 出版社/メーカー: 花風社
- 発売日: 2012/03/21
- メディア: 単行本
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支援というと、まずは対人関係や問題行動への対応を考えがちですが、著者は「感覚面・運動面にも支援を加えていかないと、本当の意味での支援にたどりつかないことも多い」と考えています。医師や心理士とは違ったアプローチが盛りだくさんで、今後も読み返す機会が多々ありそうです。
3冊目は佐々木正美監修『発達障害の子ものびのび暮らせる生活サポートブック 幼児編』(すばる舎)です。実はこの本、まだ読み終わっていないので取り上げるべきか迷ったのですが、どこで何をするかを分かりやすく空間を仕切る構造化や視覚支援の実例がカラー写真で多数掲載されていて、とにかく分かりやすいのです。本文を読了すればもちろんもっと多くのことが学べると思うのですが、写真を見るだけでも価値があると思い、取り上げました。
発達障害の子ものびのび暮らせる生活サポートブック 幼児編 (あんしん子育てすこやか保育ライブラリーspecial)
- 作者: 安倍陽子,幸田栄,佐々木正美
- 出版社/メーカー: すばる舎
- 発売日: 2012/09/21
- メディア: 単行本
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