個別面談で聞いた「NC-プログラム」

妻(yuheimama)です。先日、学校で個別面談が行われました。今年の面談は悠平も同席で行われ、下校はスクールバスではなく、私と一緒に電車とバスを乗り継いで帰ることにしていました。昨年は、この「いつもと違う」帰り方が嫌だったのか、面談前日まで「イヤ〜、学校行かな〜い!」と大騒ぎでした(昨年の様子は「綱渡りのような日々」を参照ください)。今年はどうかと思いきや、昨年の経験が生きたのか、「面談の日はお母さんと一緒に電車とバスで帰るよ。スクールバスには乗りません」と落ち着き払って難なく帰宅することができました。帰りの電車で並んで座って、悠平の横顔を見ながら「成長したなぁ」と感慨深く思いました。

さて、肝心の面談では、悠平の学校での様子と家庭での様子を確認しながら、生活面や運動面、認知(療育・学習)面での評価や今後の課題を話し合いました。生活面で一つ課題に上げられたのが、衛生面です。自閉症児は抽象概念の理解が難しいといわれますが、悠平の場合も「衛生」という見えない概念を理解するのが現状、難しいようです。生活習慣として歯磨きをしたり、入浴をしているものの、なぜ歯磨きが必要なのか、なぜ入浴が必要なのかが分かっていないようだとの指摘が先生からありました。家庭でも風邪を引いたときなど、ティッシュペーパーで鼻をかむように声がけをしていますが、声がけがないと手で鼻をぬぐってしまいます。衛生面は身体の健康に直結する問題ですし、マナーとしても習得が必要なので、今後とも学校―家庭で連携して、指導していきましょうという話になりました。

認知面では、学校で採用している2種類のアセスメント「太田ステージ」「NC-プログラム」のうち、今回はNC-プログラムの最新の結果を伺いました。太田ステージについては以前のエントリーでも紹介しましたが(※)、NC-プログラムというアセスメントは、私自身、初めて聞くものでした。事前にネットで調べてみると、NC−プログラムとは、東京・葛飾にある「のぞみ発達クリニック」が作成した、認知・言語促進プログラムのことでした。視覚操作、言語(理解/表出)、記銘(視覚/聴覚)、文字(読字/書字)、数、運動(微細/粗大)の領域について評価をすると、発達のタイプが分かり、そのタイプに適した指導を進めていくと効果的だとされる指導者向けのマニュアルとのことでした。発達タイプは「H=高い」「L=全体に発育が低い」「M=中程度」「Z=アンバランス」の4つです。
※太田ステージについては「発達障害啓発週間によせて〜ブックレビュー(3)療育・生活支援」 「今年の3冊」を参照ください。


学校では、昨年度もNC-プログラムによるアセスメントを実施していたとのことで、今回の面談では昨年度との比較も含めて評価を伺うことができました。悠平は全ての領域で発達していることが確認できました。特筆すべきは、書字の評価が、昨年度は14段階に分けられたレベルのうち6段階までしかできていなかったのが、今年は12段階までクリアして、残りの2段階ももう一息という評価で急伸していた点です。これはST(言語)の効果がはっきりと見えていると言ってよいかと思います。粗大運動も、学校での運動指導とOT(作業療法)の相乗効果があったのか、レベルアップが顕著でした。また、学校の個別学習で「目と手の協応」の課題を継続していただいた成果が特に見えたのが、視覚操作の領域でした。

発達タイプについは、発達障害のことを「発達凸凹」という医師もいるように、自閉症ではZタイプ(アンバランス)が多いようですが、悠平の場合はZからHに移行してきていると判断されました。

当ブログを「知的障害 IQ(知能指数) 上がるか」「自閉症 DQ(発達指数) 伸びるか」といった検索から、読んでいただいている方もいらっしゃることと思います。お子さんの障害特性やもともとの知的な状態によって伸び方はそれぞれだと思いますが、継続的な療育・学習によって、伸びていく可能性はあると思います。IQやDQは受験生の偏差値とは性質が違うので、数値だけにとらわれず、検査から分かる得意不得意を次なる療育につなげていくことが重要です。

家庭―学校―療育機関が連携できるように情報を共有し、一人では家庭学習できない子供をサポートしていく――「悠くん、頑張ったね」と思うと同時に、これからも日々の積み重ねを大切にしていこうと再確認した個別面談でした。