一人入浴へのスモールステップ

妻(yuheimama)です。悠平の体が大きくなるにつれ、お風呂に親と一緒に入るのが窮屈になってきました。悠平は今8歳ですが、10歳をめどに一人で入浴できるようにと考えていたので、一人入浴に向けての準備を始めるにはよいタイミングかと思いました。折しも夏休みあたりから、身の回りの様々なことを「ぼくがやる」と意欲を示し始めたので、「教えてやらせる」のではなく、「支援して、意欲を生かす」ように仕向けていきたいと考えました。

今、意識的に取り組んでいるのは、自分で体にお湯をかけること、シャンプー、体洗いの3点です。まずは湯船に入る前に、手桶で「足→お腹→肩」と声がけしながら、お湯をかけるように促します。手桶は、手の力が弱い悠平でも扱えるよう、赤ちゃん時代に使っていたベビー用の小さい物を引っ張り出してきました。

シャンプーでは、1)シャワーで髪と頭皮をぬらす、2)シャンプーを手に出して髪を洗う、3)シャンプーで頭皮を洗う、4)シャワーで泡を流す、5)タオルで水分を拭き取ると、動作を5段階に分けて考えました。まず1は、協調運動が苦手な悠平に、右手にシャワーを持たせて左手で髪をぬらすといった別々の動きをさせるのはまだハードルが高いので、今のところ私がシャワーを掛けています。2は悠平自身がやりたいとの意欲を見せたので自分でやらせています。使っているシャンプーの容器が指で中身を押し出すタイプのものだったので、1回分の適量を出しやすいように、100円ショップで買ったポンプに詰め替えました。こちらの方が手の力が弱い悠平には扱いやすいようです。

髪を泡で洗うことはできる悠平ですが、3の頭皮を洗うまではなかなか意識がいかないようです。「頭皮」という単語も分かりづらいと思ったので「髪の毛の根っこもマッサージしようね」と声掛けをして、今のところ私が仕上げ洗いをしています。4のすすぎは1と同様の理由で、私がやっています。5のタオルで拭く動作は、1〜2回タオルを上下させることはできますが、全体を拭く段階まではいっていないので、仕上げ拭きをしています。こうして評価してみると、次の課題は2から3を自力でできるようにすることかと思います。そしてシャワーは最終段階。今、無理にやらせると、耳の中にまでお湯をかけてしまいそうだし、いきなり全部をやらせようとすると負担に感じてやる気を失ってしまいそうなので。

体を洗う場合については、1)スポンジに石鹸をつける、2)体を洗う、3)手桶で泡を流す、という3段階に分けて考えました。まず、1のスポンジに石鹸をつけるのが、意外と難しい。手の力が弱いので、石鹸をなでるようにしかできず、泡立つほどの石鹸をなかなか付けられないのです。今は力の入れ具合を教えるためにも私が手を添えて、一緒に石鹸をつけています。あまりに難しいようなら、泡の出るボディソープに変えることも検討した方がよいかもしれません。2は、学校で乾布摩擦をしているので、学校から配布されたプリントをパウチして浴室に持ち込み、それを見ながら洗っています(乾布摩擦については「支援学校―東京の場合、大阪の場合」を参照ください)。これは本人も楽しそうにやっています。

最後の3では、手桶で体にお湯をかけることはできているのですが、泡を意識しないでかけているようで、体に泡が残ってしまいます。今のところは私が「泡が残っているよ」と声を掛けながら仕上げに流していますが、今後、泡の残っている個所を一つずつ声がけするか、初めからお湯を掛ける順番を決めて教えた方がいいのか思案中です。

こうしてみていくと、一人でお風呂に入れるようになるためには、幾つもの動作をクリアしていくことが必要だということが分かります。動作の手順を細分化して、どこができてどこができないかを評価し、できない部分にはどういう支援が必要なのかを考える――これは以前通っていた、大阪・高槻の自閉症療育センターwillの保護者研修で学んだ手法です。一人入浴の目標、10歳まであと1年半余。「習うより慣れろ」が通用しない自閉症児・悠平には、一つ一つの評価と適切な支援による導きがまだまだ必要なようです。