やっぱりお金は難しい その2

 妻(yuheimama)です。夏休みに、値段に合わせて必要な金額を考える課題で躓いた悠平(「やっぱりお金は難しい」を参照ください)。目に見えない貨幣価値を教えるにはどうしたらいいだろうかと考えあぐねました。何冊かの本にも目を通しましたが、悠平にフィットしそうな教え方が見つからず、困った、困った。「値段が高い」と言っても、悠平にとっての「高さ」は、背の高さや建物の高さ。「値段が安い」と言っても、「安い」の意味が分からないだろうなぁと、またまた困った。あれやこれやと考えた挙句、とてもシンプルな教え方にたどり着きました。

 

★ねだんより 小さな数のお金→買えない
★ねだんと  同じ数のお金 →買える
★ねだんより 大きな数のお金→買える、おつりがもらえる

 

 お金の問題に取り組む前に、この3点を確認しておくと、正解できるようになりました。ただし、慣れてきたかなぁと思って、3点を確認しないと、また当てずっぽうに戻って不正解です。量をこなして自分で判断できるようになるまで長丁場になりそうです。
 問題プリントは、悠平が実際の硬貨や紙幣と結びつけて判断できるようにお金のイラストを切り貼りして作っています。これが結構、手間暇がかかる上に肩が凝る! インターネット上では、無料でダウンロードできる子供向けのドリルがありますが、健常児向けの内容なので、悠平の認知特性にはなかなか合いません。あぁ、これが本当の特別支援教育。

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 先日、悠平とコンビニに行った際、レジで「298円です」と言われました。悠平に100円玉3枚を見せて、「これで買える?」と尋ねると、自信満々で「買えるよ!」と返答。レジのお姉さんもニッコリ笑ってくれ、母の努力も少しは報われたかなぁと思いました。
 継続は力なり――一山超えるたびに同じことを言っているような気がします!?

夏休み2018 その3(完)

 yuheipapaです。悠平と過ごした夏休みの振り返りの3回目。これでひとまず完結です。

▼百裂拳の駅
 東京の品川から神奈川県・三浦半島へ走る京浜急行電鉄がことし創立120年とのことで、劇画「北斗の拳」とタイアップしたスタンプラリーやラッピングトレイン、イベント列車の運行などを7月30日から9月17日まで実施しました。中でも「ここまでやるのか」と少なからず驚いたのが「駅名看板の特別装飾」です。
 対象の駅は三つ。それぞれ劇画のキャラクターに合わせて駅名をアレンジ。キャラクターのイラストが付きました。驚いたのは京急蒲田(かまた)駅(東京都大田区)の「京急かぁまたたたたーっ駅」です。描かれたイラストは、北斗百裂拳を繰り出している京急の制服姿のケンシロウ。「北斗の拳」と言えばこれに決まり、というシーンでしょう。京急蒲田駅は入口が複数ある大きな駅ですが、この看板はJR蒲田駅へつながる商店街に近い、同駅のメインと呼んでいい入口にありました。

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 横浜市港南区の上大岡(かみおおおか)駅は、ラオウのイラストが入った「上ラオウ岡駅」になり、横須賀市の「県立大学駅」は「北斗の拳立大学駅」となって、イラストは制服姿のケンシロウでした。

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 北斗の拳は1983年に少年ジャンプで連載開始。ちょうどわたしが就職した年でした。翌84年にはテレビでアニメの放送が始まっています。2003年に登場したパチスロ機は、ビッグボーナスを引き当てるとケンシロウとラオウの対決画面に移り、ケンシロウが勝ち続ける限りコインが増え続けるというゲーム性が人気を呼びました。
 実は悠平がケンシロウやラオウに出会ったのはこのパチスロ機を通じてです。と言ってもパチンコ店の本物ではなく、温泉ホテルのゲームコーナーでした。もう随分前のことです。湯上りについ、わたしが手を出したのですが、幼児期は回転する物体が大好きだった悠平は、パチスロ機の回転ドラムに興味を示したのか「ぼくも!」と叫んでチャレンジ。以来、ゲームコーナーで見かけるとつい100円、200円と遊んで、ビッグボーナスのケンシロウとラオウの対決シーンも目にしたことがあります。
 そういう「ケンシロウ体験」があるので、京急のホームページで「京急かぁまたたたたーっ駅」を知った時には、悠平も即座に「見に行こう!」と同意しました。
 それにしても大胆な看板。行き交う利用客も、看板に気付くと一様にスマホや携帯電話を取り出して写真を撮っていました。

▼まぐろきっぷで小旅行
 もう一つ、京浜急行の話題です。乗車券と食事、レジャーがセットになった「みさきまぐろきっぷ」という企画商品があります。
 ※京浜急行電鉄「みさきまぐろきっぷ」
 http://www.keikyu.co.jp/information/otoku/otoku_maguro/index.html
 そろそろ夏休みも終盤という週末に、悠平と二人で利用してみました。実は「京急かぁまたたたたーっ駅」の看板を見た後、どうせなら「上ラオウ岡駅」と「北斗の拳立大学駅」も見ようと悠平と相談。それならついでに終点まで行って、昼ごはんにマグロを食べようということになりました。
 利用してみての感想ですが、うまく使えば1日たっぷり楽しめそうです。気付いたことを書きとめておきます。

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 ・途中下車が可能
 京急線の電車は出発駅(きっぷ購入駅)と三崎口駅の間の往復が利用できますが、ほかに途中下車も何度でも可能です(ただし後戻りはできません)。わたしと悠平は横浜駅からスタート。三崎口までの間に「上ラオウ岡駅」(上大岡駅)と「北斗の拳立大学駅」(県立大学駅)で途中下車して、駅の外に出て駅名看板の写真を撮ったりしました。これだけでも利便性の面で好印象です。

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 ・楽しいけど暑いオープントップバス
 「三浦・三崎おもひで券」の使途はレジャーやおみやげなど、バリエーションはけっこう豊富です。出発前に京急のホームページを見ながら「悠くん、どれがいい?」と相談したところ、迷わずにオープントップバスを指定。わたしもこのタイプのバスには乗ったことがなく、試してみましたが、なかなか楽しめました。
 バスの出発の1時間前に三崎口に着いたので、座席は2階の最前列に。外観の塗装が京急の特急電車をイメージした色使いである点も悠平の気を引いたようです。城ヶ島までの30分ほどのドライブでしたが、路線バスとは全く違う道をゆっくり走り、三浦半島の景色も遠くの富士山も楽しめました。目の前に座った女性ガイドさんが話し上手で楽しめました。
 難点は直射日光を浴びること。日差しの強い日で、一応はバスの車内ということなのでしょうか、日傘は使用不可。帽子を持参していなかったお客さんは大変だったと思います。

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 ・子どもは別メニュー
 食事はこの企画切符のメインです。クーポン(「まぐろまんぷく券」)が使える店の混雑具合も、サイトでほぼリアルタイムで表示されます。入った店では、クーポンで注文できるメニューが4種類用意されていました。それは事前にサイトで知っていたのですが、ちょっと予想外というか予期していなかったのは、子どもは別メニューになること。出発前にサイトを見ながら「このお店なら、お父さんはこの海鮮丼。悠くんはどれにする?」などと悠平と相談していました。要は、大人と同じものを注文するなら差額の支払いが必要で、そうでなければ子どもは安い価格帯のメニューから選ぶ仕組み。それならそうと、サイトにひと言、分かりやすく説明がほしいと感じました。

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 幸い悠平は、差額料金なしのマグロ漬け丼を「おいしいね」と言いながら完食。幼児期なら、期待していたものが食べられないとほぼ確実にパニックを起こしていました。こんなところにも成長を感じます。ちなみにわたしは予定通り、海鮮丼をいただきました。

 食事の後は海南神社にお参りして、おみやげはマグロの頭部の俗に「脳天」と呼ばれる部位の冷凍を買いました。解凍は、まず塩水で洗い、キッチンタオルとラップで巻いて冷蔵庫へ。翌週の週末、店で教わった通りに自宅でやってみたら、まるでどこかの高級店じゃないかと思えるぐらいおいしい刺身になりました。

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▼夜の大仏
 8月最後の週末は夜の鎌倉を悠平と2人で訪ねました。夏休みも終了間近ながら、昼間は暑いし外出をどうしようか、と思いながら調べていて、「かまくら長谷の灯かり」というイベントを知りました。神奈川県鎌倉市の中で、鎌倉大仏や長谷観音で知られる長谷・極楽寺地区を舞台に、八つの寺院・施設が一斉にライトアップするイベントで、今年で3回目とのことでした。
 ※「かまくら長谷の灯かり」 http://www.hasenoakari.jp/
 大仏のライトアップも面白いなと思い、悠平を誘ってみましたが、意外にも拒否。昨年の様子の画像などもネットで調べて見せたのですが「行かない」の一点張り。よくよく聞いてみると「夜は暗くて怖い」とのこと。思わず笑ってしまいました。「お父さんが一緒だから大丈夫だよ」などなど、いろいろ説得を重ねるうち、今度は一転して「行く」と上機嫌に。どう話したのが良かったのか、何がきっかけで一転したのか、今もよく分かりません。

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 まだ日のあるうちに江ノ島に着き、夕食を済ませて外に出ると、夕日に富士山が映えていました。この辺り、よく晴れた冬の朝から午前中は、きれいな富士山を見ることができます。江ノ電に乗って長谷に着いた頃には、すっかり日も暮れていました。イベントは夜8時半で終了なので、とても8か所すべてを回ることはできません。せいぜい2カ所だろうと思い、まず鎌倉大仏(高徳院)、次に長谷観音を回りました。

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 駅から高徳院に向かう道は人もまばらなように感じましたが、高徳院に着いてみると結構な人出でした。昼間と同じように拝観券を買って入場。ライトアップされた大仏の顔つきは自然光の下で見るのとは違って、かなり険しく感じました。悠平はもともと鎌倉の大仏はお気に入りの場所の一つなので、真っ暗な中でも怖がることもなく、夜の大仏を満喫したようでした。

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 長谷観音では発光ダイオードが仕込まれた提灯を入口で手渡されました。光の色が一定の時間で青や紫、緑、白などと変わっていきます。すべて同期しているようで、入場客が下げている提灯の光の色が一斉に変わる様は、何とも幻想的でした。

 こうして悠平12歳、小学生最後の夏休みは終わりました。一緒にあちこち出掛けていて、そのときはそうと気付きませんでしたが、今振り返ればパニックを起こしたことは一度もなかったように思います。本当に成長しました。

 

※参考

yuheipapa.hatenablog.com

yuheipapa.hatenablog.com

夏休み2018 その2

 yuheipapaです。悠平と過ごした夏休みの振り返りの続きです。

▼凛とした空気、早池峰神社
 ことしも悠平、わたしと妻(yuheimama)の3人で、妻の両親、つまり悠平の祖父母の墓参に岩手に行きました。花巻市の「るんびにい美術館」を訪ねたことは、既にyuheimamaがこのブログでお知らせしました。

yuheipapa.hatenablog.com

 花巻市では旧大迫(おおはさま)町の早池峰神社にも足を延ばしました。北上山地の最高峰で百名山の一つ、早池峰山の登山口に当たり、山岳信仰と早池峰神楽で知られる山あいの古社です。旧大迫町が設置した説明板によると、本殿の築造は1612年とのこと。南部藩の手厚い保護を受けていたようです。
 悠平と一緒に各地の神社を巡っていますが、この神社の境内は、ほかのどこよりも凛とした空気が張り詰めているのを肌で感じました。身が引き締まる思いで参拝するとともに、昔の人たちの自然への信仰心に思いをはせました。
 社務所は無人でしたが、案内にあった通り、御朱印は近くの宿坊で書き置きをいただきました。

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 花巻界隈は「わんこそば」で知られるソバどころです。昼食は、かねて気になっていた地元発祥の和食レストランチェーンでおそばをいただきました。メニューには、たっぷりの冷たいつゆとカリカリの天ぷらが大好きな悠平のために用意されたかのような「冷やかけ天ぷらそば」があり、迷わず注文。東京では冷たいそばと天ぷらの組み合わせは、「ざるそば」「もりそば」になってしまい、つゆたっぷりの丼タイプは冷やしタヌキかキツネぐらいしか見かけません。悠平は「おいしいね」とつゆまで完食でした。わたしは天ざるをいただきました。

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▼1000段の石段~山形・立石寺へ
 岩手への旅行は墓参のほかにもう一つ、目的がありました。山形県山形市にある「山寺」こと立石寺(りっしゃくじ)参拝です。
 東北新幹線で岩手に別れを告げ、仙台で下車。山形に向かう在来線のローカル線、仙山線に乗り換えて、山形県境に近い作並温泉に一泊しました。翌朝、再び仙山線の電車に乗って「山寺駅」で降りれば、ホームからも見えるのが立石寺です。
 ここは松尾芭蕉が「奥の細道」の旅の途中に寄り、「閑(しずか)さや岩にしみ入る蝉の声」の俳句を詠んだ場所として知られる天台宗の古刹です。山中を1000段余りの石段を登った急峻な斜面を切り開いて、奥の院を始めとしていくつもの堂宇が立ち並んでいます。特に五大堂からの眺めのよさが有名です。
 わたしと悠平は関西在住当時、山の中にある寺にもあちこち行っており、悠平は小学校に入る前、880段の石段も登ったことがあります。1000段の石段にわたしと悠平はさほどの心配はありませんでしたが、暑さもあるのでyuheimamaは無理をしないことにして、わたしと悠平が参拝を終えてに降りてくるころに、麓で待ち合わせることにしました。

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 さて、わたしと悠平は麓にある根本中堂(本堂)にお参りした後、石段の登山道へ。途中には芭蕉と門人の曽良の像がありました。日差しが強い日でしたが、登山道は木立の陰になっており、清々しい空気に満ちていました。悠平に「気持ちいいね」と声をかけながら、石段を登り始めましたが、直に汗が吹き出し息も途切れがちに。こまめに立ち止まって休息を入れ、水分補給をしながらゆっくりと時間を掛けて登りました。やがて山上の境内の入り口である仁王門が見え、斜面に立ち並ぶお堂の一つ一つにお参りし、御朱印をいただきながら無事に奥の院に着きました。普通の大人の足で、登山道入り口から奥の院まで20~30分ぐらいとのことですが、わたしと悠平は40分ぐらいのペースだったでしょうか。

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 絶景で有名な五大堂へは、奥の院から少し下ったところにある開山堂と納経堂の脇の狭い道を登ってすぐです。眼下に仙山線の線路と山寺駅、門前の街並みを望むパノラマは、わたしも悠平も見飽きませんでした。

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 無事に麓に降りて、作並温泉の宿をゆっくり出てきたyuheimamaと合流。yuheimamaも根本中堂にはお参りできました。昼食は3人で、門前町のおそば屋さんに。わたしは山形名物の板そばに天ぷら付きを頼みました。板そばは、大量のそばがせいろではなく、板のような浅い木の箱に盛られています。かなりの量でしたが、箸が止まらないおいしさで、難なく食べ切りました。悠平が食べたのは冷やし肉そば。これも山形のご当地そばのようで、具は煮た鶏肉でした。写真に写っているエビ天は、わたしから。悠平はここでもつゆまで完食でした。

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 帰りの電車まで時間があったので、門前のみやげもの屋さんで山形名産の洋ナシ、ラ・フランスのジュースと、これも山形名産の玉こんにゃくをいただきました。ちょっと妙な取り合わせでしたが、山形の味を満喫しました。悠平とyuheimamaは、それぞれラ・フランスのソフトクリームとサクランボのソフトクリームでした。帰路は山形駅に出て山形新幹線に。いつもは東北新幹線で往復する岩手への墓参ですが、今回は仙山線や山形新幹線に初めて乗ることができて、悠平は東北の旅を満喫したようです。

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▼平和を考える季節
 わたしはマスメディア企業に勤め、報道の仕事に従事して三十年以上になります。8月は新聞もテレビも、6日と9日の広島、長崎の原爆の日、15日の終戦の日に関連した記事や番組が増えることもあって、この時期はいつのころからか、個人的にも戦争と平和について考えながら過ごすようになりました。そんな中、悠平とのお出かけ先を探していて、東京都調布市の調布飛行場に隣接する「武蔵野の森公園」に、旧日本陸軍の戦闘機を米軍の空襲から守るために作られた「掩体壕」が保存されているのを知り、悠平と一緒に訪ねてみました。
 調布飛行場は陸軍航空隊の基地として建設されました。掩体壕に掲示されている説明によると、1941年(昭和16年)4月に完成。滑走路は南北1000メートル、東西700メートルの2本。掩体壕は1944年ごろから、コンクリート製の約30基、土塁の約30基が作られ、うちコンクリート製の2基が保存されています。
 配属されたのは戦闘機「飛燕(ひえん)」を中心とする飛行部隊。戦争末期には米軍のB29爆撃機を迎え撃ちますが性能の差から戦果は上がらず、最後はB29に体当たりしました。飛行場では特攻隊の訓練も行われたとのことです。

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 保存されている掩体壕の傍らには、掩体壕とその中で待機する飛燕の様子を再現したブロンズ像が置かれています。公園の中の高台からは、調布飛行場の全景を望むことができました。今は平和な光景が広がっていますが、掩体壕は、70年以上も前、確かにここで戦争があったことを物語っています。

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 悠平はと言えば、飛行場の駐機場に小型機がずらりと並んだ光景が気に入ったようでした。掩体壕や飛行場の滑走路を見ながら、戦争について悠平にいろいろ話しましたが、どこまで理解できたかは分かりません。抽象的で難しすぎて、ほとんど分からなかったのではないかと思います。それでも、親子3人が一緒に暮らし、日々、笑顔で過ごせることが何より。だれのことも、どの国のことも憎まずにいられる、それが平和のために大事なことなのだと、いつか悠平が思うようになってくれることを願っています。

夏休み2018 その1

 yuheipapaです。夏休みが終わりました。厳しい暑さの中で、ことしも悠平と一緒にあちこちに出掛けました。恒例の岩手への家族3人での墓参では、悠平が「平成最後の岩手旅行だね」と話すのを聞いて、大人びた話しぶりに少々驚きました。身長もぐんぐん伸びて160センチを超えているようで、もはや妻(yuheimama)は悠平と向き合って話すときは、仰ぎ見るようになっています。そう遠くないうちに、わたし(173センチ)にも並び、やがて追い越されるのではないでしょうか。
 一段と悠平の成長を感じたことしの夏休みの絵日記風の振り返りです。

▼プレ夏休み、箱根に家族で旅行
 7月の3連休を利用して家族3人で箱根に1泊旅行に行きました。実はわたしの勤務先で人事異動があり、それまでに比べてかなり静かな時間を過ごすことができる環境に変わりました。異動を機にわたし自身、少し骨休めをしようと思いました。
 箱根は小田急系列の乗り物がたくさんあって、「箱根フリーパス」を使えば、かなりお得に楽しめます。小田急ロマンスカー~箱根登山鉄道~ケーブルカー~ロープウエー~海賊船~バスと乗り継いで、主だった見どころを巡りました。
 箱根には以前、悠平が4歳の時に初めて家族で訪れましたが、なぜかこのときはロープウエーに乗るのを激しく嫌がり、ケーブルカーで引き返しました。3年前の夏には日帰りで悠平とわたしとで訪れたことがあり、このときは海賊船がお気に入りでした。今回、悠平は新型ロマンスカーGSE(70000形)がいちばんのお気に入りだったようです。

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 わたしは以前、日帰りの時に立ち寄った仙石原の長安寺が気に入っていました。曹洞宗のお寺で、境内の林の斜面にユニークな形相としぐさの羅漢の石像がいくつもあり、見飽きません。今回も再訪しました。以前訪ねた際、マンガ「天才バカボン」のバカボンのパパを思わせる石像があり、悠平と二人で笑いました。yuheimamaにも見せたいと思ったのですが、わたしも悠平も場所を思い出せず、探し当てることができなかったのが残念です。
 宿は露天風呂でヒグラシの鳴き声が聞こえる高原らしい立地でした。家族3人でのんびり一晩を過ごしました。

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▼成長に合わせてカメラも更新
 悠平は今まで、ニコンの子ども用カメラを使っていたのですが、成長に合わせてカメラも上級機種に変えることにしました。以前わたしが使っていたパナソニックのミラーレス一眼のルミックスを、悠平専用にしました。悠平は指の力が弱いこともあって、少し暗いところで撮った写真はどうしても手ぶれが目立っていました。今度のカメラは光をとらえる能力のISO感度も手動で設定することができるので、多少暗くても手ぶれが目立たない程度のシャッタースピードを設定することができます。
 悠平は自分ではそうした設定はできないので、わたしが操作するのですが、これまでパソコンでも何でも、わたしや妻の手の動きを目で見て覚えてきています。自閉児ならではの「目力(めぢから)」の強さです。たぶん、カメラもわたしの手元を見ているうちに興味を覚え、いずれは自分でできるようになるのではないかと期待しています。
 新しいカメラを手に7月最後の週末、東京都世田谷区の九品仏(くほんぶつ)浄真寺に行きました。大きな仏像が名前の通り9体あることで知られます。境内が広く、秋は紅葉がきれいなので、ほぼ毎年悠平と一緒におまいりに来ています。真夏は初めてでしたが、青葉が目に鮮やかで、猛暑の中で木陰は涼やかでした。
 悠平は新しいカメラに興奮気味で、さかんにシャッターを押していました。以下の4枚の写真のうち3枚目、4枚目は悠平が撮影した浄真寺の境内の一コマです。

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▼ハスとサルスベリ
 悠平と一緒に寺社巡りをするようになってから、季節それぞれの花を楽しむようになりました。暑いながらも夏には夏の花の楽しみがあります。8月に入って間もなく、悠平と一緒に東京・上野の不忍池(しのばずのいけ)にハスの花を見に行きました。
 ハスは早朝に開花して午後には花を閉じてしまうことや、猛烈な暑さが続いていたことから午前中、早めに家を出ました。それでも午前10時ごろにはもう、うだるような暑さでした。不忍池のハスは江戸時代のころから庶民に親しまれていたとのことで、寛永寺の弁天堂を望む水面一面に咲いたピンクの花がきれいでした。

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 ほどほどで不忍池を切り上げて、次はJRとバスを乗り継ぎ東京都調布市の深大寺に向かいました。深大寺は門前にそば屋が立ち並んでいることで知られます。今まで何度も来ているのですが、実は門前のそば屋さんに入ったことはありませんでした。幼少時は偏食が激しかった悠平ですが、長じるにつれていろいろ食べられるようになりました。中でも、しょうゆを基本にした和の味覚が大好きなようです。今ではそばは好きな食べ物の一つになっています。この日は冷やしたぬきそばを、つゆまで残さず完食しました。

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 深大寺にお参りした後に向かったのは徒歩数分の神代植物公園。大きなサルスベリの木が何本もあり、赤っぽい花が満開でした。屋外で過ごしているだけで熱中症になりそうな暑い日でしたが、やはりサルスベリの花は炎天下の下でこそ映えるように思います。広い公園内には武蔵野の面影も濃く残っている林もあり、四季それぞれの楽しみ方ができそうです。

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 次回に続きます。 

やっぱりお金は難しい

 妻(yuheimama)です。長かった夏休みがもうすぐ終わります。今年は放課後等デイサービスに週3回通所し、合間合間にクリニックのOT(作業療法)や、映画やカラオケといったイベントを入れたため、本人にとっては充実した、母にとってはこれまでより気が楽な休みとなりました。

 夏休みには学校から宿題プリントが出されました。国語では漢字、算数では計算、簡単な文章題、お金です。いずれも復習中心の内容だったため、放デイで取り組む宿題として活用しました。お金の学習はこれまでにも繰り返し取り組み、1円玉、5円玉、10円玉、50円玉、100円玉を組み合わせたイラストから、金額を正しく数えられるようになりました。先々のステップとして考えられるのは、複数の物を買ったときの合計金額を出すことや、金額に合わせて必要なお金を支払うことです。合計金額については、算数で大きな数の計算をまだ練習していないため、後回し。試しに取り組んだのが、金額に合わせて必要なお金を考える課題です。

 例えば1本75円のガリガリ君。50円玉1個では買えませんが、100円玉1個や500円玉1個なら買えます。これに正答するには、硬貨の金額を正しく把握するスキルと、金額の大小を判断するスキルが必要です。さて悠平は…。f:id:yuheipapa:20180829115549j:plain

  50円玉で「買える」、100円玉と500円玉では「買えない」と答えてしまいました。たぶん、当てずっぽうです。答え合わせをするときには、硬貨を使って確認しましたが、理解へのハードルは高そうです。

 数字については、順番としての数を覚えることは容易でも、目に見えない数量を理解するのは難しいようです。足し算の暗算ができるまでに長い時間がかかったことが思い出されます(過去記事の「算数あれこれ」を参照ください)。

yuheipapa.hatenablog.com

 お金も金額が意味する量、価値を理解するのが難しい。これからどんなアプローチが悠平に有効なのかを考えていかなくてはなりません。

 知的障害があり、お金の理解に困難があると、例えばコンビニで買い物をするたびに1000円札を出して、月末にはおつりの小銭で財布がパンパンになってしまうというエピソードを聞いたことがあります。大人になったとき、お金については理解度に応じて、紙幣やプリペイドカードで払うというやり方もありだと思います。ただ、悠平はまだ小学生なので、もう少し学習して、硬貨も使えるようになればと思っています。

 夏休み中、悠平は放デイの社会見学で鉄道博物館(さいたま市)に連れて行っていただきました。ミュージアムショップで買い物ができるよう、お小遣いは奮発して1000円。1000円札を自分でたたんで財布に入れさせました。お札をたたむのはたぶん人生で初めて。折り方も伝授しました。「1000円札だと、何百何十何円っていうものなら買えるからね」と言ってお見送り。お土産は500円で買った新幹線のミニチュアでした。連絡帳を見ると、「自分一人でレジに行って会計をすますことができました」とのこと。新幹線を箱から出して、ニコニコしている悠平を見ながら、悠平がスムーズに買い物ができるよう、もうひと頑張りしなくてはと意を新たにしました。親子の挑戦は続きます!

命の輝き感じる岩手・花巻「るんびにい美術館」

  妻(yuheimama)です。お盆に3泊4日で、岩手・宮城・山形を訪れました。目的は悠平の祖父母の墓参、親戚へのあいさつ、そして観光です。悠平は、以前にも紹介した通り、芸術家・岡本太郎先生のファンです。

yuheipapa.hatenablog.com

 アートに関心があるのならと、今回は岩手県花巻市にある「るんびにい美術館」を見学することにしました。

 「るんびにい」という不思議な響きを持つ言葉、調べてみると、お釈迦さま誕生の地のことだそうです。るんびにい美術館では「命の輝きとの出会い」をテーマに、主に知的障害のある作者たちによる造形作品を展示しています。作品は、絵画、焼き物、刺し子など、どれも型にはまらないユニークな表現ばかりです。例えば玄関に脱ぎっぱなしにした靴そのもの、といった印象の焼き物や、布が波打つほどに名いっぱい刺繍を施した刺し子など、通常の美術展ではお目にかかれない作品が並んでいました。また、写真で紹介されている作者の着ている服を見ると、不揃いの赤い丸が数えきれないほど描き込まれています。これは何だ?と思ったら、作品名に「イクラのパジャマ」と書かれていました。どの作品も「お手本」や「正しいやり方」を習ったのでは生み出されなかったであろう、表現の力を感じさせるものばかりでした。

 美術館内の写真撮影はOKだったのですが、作品の接写は不可ということで、ここに紹介できないのが残念です。掲載した写真で館内の雰囲気は伝わるかと思います。悠平も持参したカメラで作品の写真をたくさん撮影していました。

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  障害者アートというと、最近では「アール・ブリュット」「アウトサイダー・アート」という言葉が使われることが多いのですが、こちらの美術館では、命にはアウトサイドもインサイドもなく、あらゆる境界線を越えて広がっているという考えから「ボーダレス・アート」という呼び方をしています。命や生き方を価値付けしようとする風潮がある中で、「ボーダレス」を謳う美術館の姿勢、そしてひっそりと、でも強烈に存在感をアピールする作品群に、私は確かに命の輝きや強さを感じました。願わくは、悠平の心にもその輝きが届きますように。

 

るんびにい美術館 https://kourinkai.net/museum-lumbi/index.html

高度な迷(?)解答

 妻(yuheimama)です。1学期が終わり、夏休みが始まりました。1学期の学習を振り返ると、算数で筆算での足し算に苦戦したことが思い出されます(「筆算も視覚アプローチで」を参照ください)。その後、悠平仕様の学習法を駆使しながら、量をこなすことによって理解が進みました。夏休みには、宿題として計算プリントが出されました。国語では、漢字練習と基本的な文法・読解問題に取り組んできました。夏休みの宿題でも漢字プリントが出されています。
 

 読解問題では、1学期終盤に「お~!」と驚く出来事がありました。

本文)海の水をなめてみよう。あ、しょっぱい。どうしてだろう? それは海の水の中にいっぱいしおがはいっているからだよ。
問題)海の水の中にはなにがはいっている?

 答えはもちろん「しお」。が、悠平の答えは「みねらる」でした! これはこれで正解です。なんと高度な名(迷?)解答。採点した先生は「みねらる」に〇を付けた上で、私宛てに『「文には何て書いてある?」と聞くと、「しお」と答えていました』と書き添えてくださいました。

 カタカナを習った後も、ひらがなで「みねらる」と書いてしまうあたりが、微笑ましいのですが、それより何より、どこで海水にはミネラルが含まれると学習したのやら。幼少のころは、自閉症の悠平には、何事も意識して教えていかないと身につかないと躍起になったものですが、少しずつ、少しずつ、学ぶ力をつけてきたのでしょう。嬉しく思うと同時に、悠平の親離れが始まっているようにも思えて、ちょっとばかり切なくなりました(大げさでしょうか…?)。

 とはいえ、長~い夏休み。放課後等デイサービスに通所する以外は、四六時中一緒です。きっと、「留守番できるようになってくれないかしら」「一人で外出できるようになればいいのに」などなど、さらなる自立を願うことでしょう。揺れる母心はしばし封印。一つでも悠平が自分でできることを増やしていけるよう、この夏休みも取り組んでいきたいと思います。