ひとり言と共生社会

 妻(yuheimama)です。悠平はしばしばひとり言を発します。一種の常同行動なのか、ファンタジーへの没入なのか分かりませんが、自閉症の障害特性の一つであることは違いないと思います。家庭内でブツブツ言っている分には、「また始まった」と思うだけなのですが、これが一歩外へ出ると状況が変わってきます。

 先日、路線バスのバス停でバスを待っていたときのこと。悠平のひとり言が始まりました。すると、悠平の前に並んでいた方が「ん?」という、やや不審そうな表情で振り返りました。私はあわてて「悠君、外では静かに」と注意をしました。私自身はすっかり慣れてしまった悠平の障害特性ですが、社会の中では浮いてしまうことにあらためてハッとさせられました。

 またある日、私がスーパーに向かって歩いていると、後ろから低い声でひとり言を言っている男性の存在に気づきました。自閉症を知らなかった時期に体験していたら、「変な人、危ない人」と感じていたかもしれませんが、今の私は「たぶん、自閉の人なのね」と思いました。その男性は私を追い越して歩いて行ったのですが、見ると、以前に何度も見かけたことのある特別支援学校高等部の男の子でした。

 そんなことが何度かあって、私は考えてしまいました。悠平が外出先でひとり言をやめられればそれに越したことはないけれど、ひとり言を言っている人がいても、不気味がらずに「あら、自閉症の人なのかしら」とスルーできる方が増えれば、本人も付き添いも、ちょっと気が楽になるかも…と。ひとり言といった些細な行為の捉え方も、「多様性の尊重」「共生社会の実現」につながっているような気がしています。

凸凹学習到達度

 妻(yuheimama)です。3学期が始まり、早3週間。学校―週2回の放課後デイ―家庭学習といういつものリズムがすっかり戻ってきました。現在の家庭学習は四谷学院の療育55段階と学校からの宿題を中心に組み立てています(療育55段階については「夏休みの家庭療育&家庭学習」を参照ください)。

 療育55段階は小3のときにスタートして丸2年が経ちました。小1相当レベルからスタートし、現在、国語の文法・読解は小3、漢字は小2、算数は小1と、かなりの凸凹が目立つようになりました。国語は幼児期の絵本の読み聞かせやクリニックでのST(言語)での土台があったためか、順調。漢字は、書字ができるようになるまで時間がかかったことを考慮し、苦手意識を持たせないようにあえてゆっくりペースで取り組んでいます。算数は、1桁の足し算・引き算の暗算、続いて繰り上がりに時間を要し、一昨年から小1レベルで足踏み状態が続いていました。昨夏、ようやく繰り上がりの足し算を理解できるようになり、冬休み中に繰り下がりの引き算もほぼ暗算でこなせるようになりました。最近では計算練習に加え、簡単な文章題にもチャレンジしています。この調子でいけば、6年生に進級する前に小2レベルへ進めそうです。

 それにしても、学習到達度の凸凹がなんと大きいことか! 発達障害を「発達凸凹」と呼ぶ医師がいるのにも納得です。「やれば(何でも)できる」とは言えませんが、あきらめずに試行錯誤することの大切さを痛感します。また、幼児期の療育から教科学習に至る悠平の取り組みを見ていて分かるのは、悠平の得意不得意と、独特の認知の仕方です。

 私は療育・学習の目的を悠平の生活力・利便性の向上、QOL(生活の質)の向上に置いています。副次的ではありますが、親子で一緒に取り組むことで、どうすれば悠平に伝えたいことが伝わるかを模索する機会が得られました。今しばらくは学習を継続しながらコミュニケーション力を高め、中学部・高等部、さらに青年期に向け、いずれ家族以外の支援者への橋渡しを考えるときがくるのだろうと、おぼろげながら考え始めています。

明けまして、おめでとうございます

 yuheipapaです。2018年、明けましておめでとうございます。昨年は多くの方にこのブログにご訪問いただき、ありがとうございました。本年も、よろしくお願いいたします。 

 今年の正月はyuheimamaと悠平との家族3人で穏やかに迎えることができました。午前中のうちに3人で神社に初詣。おみくじはわたしが小吉、yuheimamaは末吉、悠平は吉でした。悠平は「大吉じゃないねえ」とちょっとがっかりした様子でしたが、「吉」は大吉の次にいい運勢。内容も「願望(ねがいごと)」は人の助けは借りるようですがかなうようですし、「待人(まちびと)」も「来る 喜びあり」など、全般に前向きでした。

 yuheimamaは今年、心中に期することがあるのですが、該当しそうな項目は「早めに目標をたて全力を尽くせ」。要は努力次第ということのようです。わたしはと言えば、「願望」は「あせらず騒がずゆるゆる進めばよろし」。平常心、マイペースで進んで行こうと思います。

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 この春で悠平は6年生。6月には12歳になる年男です。身長はどうやらyuheimamaを追い越しました。これからぐんぐん伸びていきそうです。 

 前後しますが、わたしが年末年始の休暇に入った昨年末、悠平と昨年最後の「父子乗り鉄と巡礼」に千葉県に出掛け、関東三十六不動の巡礼を終えました。午前中、千葉市の千葉神社に寄って神社用のご朱印帳を購入した後、JR内房線で富津市にある32番の札所、岩瀬不動尊最上寺に参拝。すぐに取って返して、今度は36番の成田山新勝寺へ。拝観時間終了間際に駆け込み、無事に結願となりました。5月に始めて、おおむね7カ月の巡礼でした。

 悠平は今では般若心経を半分ぐらいは暗記していて、わたしと並んで数珠を持って、神妙に「まーかーはんにゃーはーらーみたーしんぎょー(摩訶般若波羅蜜多心経)」と唱えるようになっています。次はどの巡礼霊場を巡るのか、悠平なりに楽しみにしているようです。 

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 関東三十六不動の結願の日は移動も慌ただしく、昼食は千葉駅で地元・万葉軒の駅弁を買い求め、列車内で済ませました。悠平は揺れる車内でも食べやすいようにとカツサンド。わたしは「トンかつ弁当」にしました。ご飯の上に薄めのトンカツ、あとは漬物と昆布、シナチクというシンプルさで、価格は500円。千葉の方々が古くから慣れ親しんできた名物弁当と聞いたことがあります。薄いとはいえ、トンカツはしっかり肉の食べごたえがあり、おいしくいただきました。包み紙が何ともユニークです。

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年末は仮面ライダーとともに

 妻(yuheimama)です。師走の言葉通り、12月はあっという間に過ぎ去った気がします。悠平はインフルエンザ予防接種を「注射を2回頑張ったら、仮面ライダーの映画に行く!」と目標を決めて、暴れず騒がず接種できました。

 仮面ライダーといえば、小1の時に『仮面ライダー鎧武』を見始めたものの、ストーリーについていけなかったのか、途中で見るのをやめてしまいました。以降、ネット動画の商品レビューで、仮面ライダーグッズをチェックはしていたものの、テレビを見るには至りませんでした。それが今年、『仮面ライダービルド』が始まると、再びテレビで見るようになりました。ただし、ストーリーには相変わらず大して興味がないらしく、毎週録画しては、変身シーンを繰り返し見ています。そのせいか、今年は秋から「クリスマスプレゼントはビルドドライバー(=変身ベルト)」とリクエストし続けていました。

 変身ベルトはなかなかのお値段なので当初は躊躇したのですが、考えてみると悠平は手先が不器用だったり、ルールの理解が難しいために、ここしばらくはガチャポン以外、おもちゃらしいおもちゃを買っていませんでした。そこでyuheipapaとも相談して、今年はベルトを奮発することにしました。ただ一つ心配だったのは、ベルトを装着したのに自分が仮面ライダーに変身できないと言い出すのではないかということ。そんな話をママ友にしたところ、「その時は、修行が足りないって言えばいいよ」とアドバイスをもらいました⁉

 念願のベルトを手に入れた悠平は、「お母さん、電池入れて!」と、実に現実的。変身できないことに何の疑問もはさまず、さっさと装着して音声確認をしています。録画を見ては一緒に変身、動画を見る時もベルトを装着したままです。朝から晩までベルトの音声「Are you ready?」が鳴り響いていました(ボリューム調整機能がないのがたまにキズです…)。

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 ベルトはサンタさんからのプレゼントだったわけですが、今年はもう一つ、私からもプレゼントを用意しました。前作『仮面ライダーエグゼイド』のテーマソング、三浦大知さんのDVD付きCD『EXCITE』です。以前に音楽番組を見た際、悠平がぎこちなくも楽しそうに踊っていたので、あえてDVD付きを選びました。悠平にとっては初めてのCDです。早速、DVDをつけると、ダンスには早すぎてついていけませんでしたが、いい笑顔で動いています。 

仮面ライダーエグゼイド テレビ主題歌EXCITE(DVD付)

仮面ライダーエグゼイド テレビ主題歌EXCITE(DVD付)

 

 「僕、三浦大知さん、好き。大人になったら、車を運転して、三浦大知さんのCDをかけたい」と言い出しました。私は「そうできたらいいね」と笑みを返しましたが、知的障害のある悠平に運転は難しいだろうと切なくもなりました。そんな話をyuheipapaにすると、「そのうち、自動運転の車ができるかもしれない」と、一縷の希望。そんな未来が待っているといいなと心の底から思いました。

 最後は、映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズファイナル』。6世代のライダーが登場する物語は複雑でしたが、悠平としてはたくさんのライダーが登場して盛り上がったので結果オーライ。「おもしろかったね!」と大満足でした。余談ですが、仮面ライダーや戦隊ヒーローものは、若手イケメン俳優の登竜門と言われているようです。悠平が『鎧武』を見始めた時、傍らで私はどんなイケメンが登場するのかとワクワクしたものですが、ライダーを演じる俳優たちを見た瞬間、「子供じゃん!」と唖然茫然。自分が高齢出産であることを忘れておりました。そんなライダー俳優たちも、映画ではいい感じの青年になって再登場。母の気持ちで「かっこよくなったわね」と、悠平とは違った感慨を持って鑑賞しました。

 2017年末は、仮面ライダーとともに疾走! 年明けは少しペースを落として、ゆっくり着実に、悠平と歩んでいきたいと思います。本年も、当ブログにお付き合いいただきありがとうございました。よいお年をお迎えください。

進化する写真日記

 妻(yuheimama)です。2014年から不定期に書き続けている写真日記。4冊目に突入しました。

 初めのころは、私が悠平に「いつ・どこで・だれと・何をした」といった要素を質問し、悠平が答えた短文を私が書き留めるスタイルで進めていました(「夏休み2014まとめ―療育編―」を参照ください)。徐々に、「つ」や「し」など、書きやすいひらがなを自分で書くようにしていきました。書くことへの苦手意識や、表現力の不足からか、当初はあまり乗り気ではない課題でした。

 2016年夏にサーカスを鑑賞し、それを題材としたところ、ついに自力で日記を書くに至りました(「サーカス! サーカス! サーカス!」を参照ください)。以後、楽しかったことがあると自分から「写真日記やる」と言って、取り組むようになりましたが、テーマはほとんど乗り物。毎回、「AからBまでCにのりました。楽しかったですorおもしろかったです」というパターン。何が楽しかったのか、どうおもしろかったのかを表現するのは難しいようでした。

 それがここへきて、変化が現れました。テーマは相変わらず乗り物ですが、文末の表現にバリエーションがみられるようになったのです。ケーブルカーに乗った日の日記では「こうようとゴジラをまんきつしました(=紅葉とゴジラを満喫しました)※↓」、地下鉄の新型車両に乗った際には「7りょうへんせいにのったのは、はじめてです(7両編成に乗ったのは初めてです)」。

※「ゴジラをまんきつ」とは?~紅葉の中にゴジラが現れるというイベントを開催していました

  日常的には使わない「満喫」という言葉を悠平の日記で目にしたときには、とても驚きました。どこでそんな言葉を覚えたのだろうと不思議に思いました。家庭や学校、絵本ではなさそうです。残るはネットかテレビでしょうか。そこで思い当たったのが、テレビの旅番組です。悠平はローカル線や路線バスの旅が大好きで、録画しては繰り返し見ています。番組の終わりにはしばしば「絶景やグルメを満喫しました」といった表現が使われています。自閉症児者は一つの場面で覚えたことをほかの場面で活用するのが苦手だといわれますが、悠平の乗り物好きは自閉の苦手領域を凌駕したようです。

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 今年は残りわずかとなりました。来年も写真日記を続け、新しい表現、そして願わくは新しいテーマにも取り組んでいってほしいと思います。

ちょっと驚いたことなど

 妻(yuheimama)です。前々回に紹介したラッピング電車(「学習を暮らしに生かす~悠平のラッピング電車」を参照ください)。1カ月以上たった今もブームが継続しています。悠平は次々と新しいテーマを設定し、ラッピングを楽しんでいます。手持ちのプラレールには数に限りがあるので、新しいラッピング車両を作るには、古いラッピングをはがして張り直さなければなりません。私が一生懸命作ったラッピングを、何のためらいもなくビリビリとはがして捨てる悠平の姿に、「あぁ、私の努力が消費されている…」と少々切なく感じています。

 それはさておき、最近、悠平との会話で驚いたことが2回ありました。

その1)
悠平「お母さんは何年生まれ?」
母「1970年生まれだよ」
悠平「何年前?」
母「47年前」
悠平「ずいぶん前だねぇ」
母「…」

 確かにずいぶん前です。自覚しています。でもまさか、悠平に指摘されるとは! 時間の感覚が育ったのだとうれしく思った半面、トホホな気分になりました。

その2)
 11月の学校行事・フェスタでは、舞台発表に神様役で登壇。白い衣装に黄金の冠といういでたちで、セリフもばっちり、重責を果たしました。発表後、教室では歓談と写真撮影を行いました。悠平は私に、クラスメイトのH君と一緒に写真を撮ってほしいとリクエスト。H君との2ショットを写真に収めると一言。「H君とは小さいときも一緒だった」。

 実はH君とは、4歳のときに福祉センターの療育グループで一緒でした。以前、悠平に「覚えている?」と尋ねた際には、「分からない」と言っていたのですが、同じクラスで日々を過ごすうちに思い出したようです。自発的に過去の振り返りができるようになったこと、そしてお友達を意識できるようになったことに、驚くとともに成長を感じました。

 最近、悠平と二人で歩いているとママ友や近所の方から「あれ? 身長、抜かされた?」と聞かれることが増えてきました。体が大きくなるとともに、内面も育っているのだと感慨深くなった秋の終わりでした。

招き猫と紅葉の豪徳寺

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 yuheipapaです。秋の休日、天気が良かったので久しぶりにyuheimama、悠平と3人で散歩に出掛けました。行き先は徒歩で30分ほどの豪徳寺。招き猫の発祥の寺として知られます。
 江戸時代の初期、彦根藩井伊家の当主井伊直孝が猫に招き入れられてこの寺に入り、雷雨を避けることができたとの由来が一般的のようです。以来、豪徳寺は井伊家の菩提寺となっています。桜田門外の変で暗殺された大老、井伊直弼の墓もここにあります。ちなみに、ご当地ゆるキャラのさきがけ、滋賀県彦根市の「ひこにゃん」のモデルは、直孝を招き入れたこの猫です。
 豪徳寺ですごいのは奉納の招き猫。境内の一角にある観音堂の裏手にずらりと並んでいます。大中小とサイズも様々。悠平がよちよち歩きだったころから来ているのですが、年々数が増えているように感じます。近年は海外からの観光客の方も少なくなく、皆さんスマホやカメラで一生懸命に撮影。たぶん、「Tokyoのcat temple」とか何とか、旅行サイトなどで紹介されたのではないかと思います。
 ここは悠平もお気に入りの場所の一つです。ずらりと並んだ招き猫は、参拝客が寺務所で買い求めて奉納するので、皆、同じ顔つきと前足の構えなのですが、時折、参拝客が持参したとおぼしき猫が混じっていることがあり、それを見つけるのが悠平は楽しいようです。以前、前足を両方とも挙げている金色の招き猫を見つけて「金色の両手猫がいる!」と大喜びしたことがありました。この日もお寺に着くと「両手猫、いるかなあ」と楽しみにしていましたが、残念ながら、見つかりませんでした。

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 豪徳寺は紅葉も見事です。各地の紅葉の名所を紹介するサイトで取り上げられているのを見たことがないので、隠れた名所と言っていいように思います。11月いっぱいは楽しめそうです。穏やかな秋の日差しの中で、家族3人、のんびりした時間を過ごしました。

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