休校明け、母の目が点になったこと

 妻(yuheimama)です。休校中、悠平は継続的に算数の文章題に取り組んできました。足し算の文章題に始まり、足し算と引き算の文章題を混在させたもの、さらには掛け算、割り算の文章題を混在させたものに3カ月かけてレベルアップ。スモールステップで、集中的に取り組んだ甲斐があり、学校が始まるころには、足し算、引き算、掛け算、割り算を混在させた文章題プリントを、ほぼ解けるようになっていました。ところが…。

 休校明け、連絡帳に思いもよらぬことが書かれていました。「足し算、引き算、掛け算の文章題に取り組みましたが、立式できませんでした」。えっ、嘘! 信じられない、信じたくないとの思いで、家庭学習のときに最も簡単な足し算と引き算だけの文章題に取り組んでみたら、本当にできなくなっていました。もう、目が点です。思わず、「よく読んだ? この問題、前に悠くん、正解できてたよ!」と、強い調子で迫ってしまいました。

 その後も数日、数回にわたって基礎的なプリントで復習しましたが、改善が見られませんでした。なぜ、できなくなってしまったのか? 悠平の間違い方にはある傾向が見られるような気がしてきました。例えば、一度、足し算と引き算の文章題を混ぜたプリントをやると、次に掛け算の文章題が混在したプリントをやっても、足し算と引き算だけで解こうとして間違えます。続いて、「今日は掛け算の問題もあるよ」と声掛けしてから始めると、掛け算を使う問題を探して正答できるようになります。要は、一題一題、しっかりと問題の意味を考えずに、前にやったパターンで対応しようとしているようなのです。休校中に難易度を上げた問題が解けるようになったのも、間違えた後に同じプリントを使って復習を繰り返したことで、出題のパターンを覚えていたのかもしれません。そこで連絡帳に母の見立てを書いたところ、先生も「私もそう思います」とのコメント。最近は、掛け算の立式の後、その意味を図解する作業を加えて、確認していただいています。

 思い起こせば、繰り上がりの足し算を学習したときも、一問目に繰り上がりがあると、繰り上がりのない足し算が混在していても全て繰り上げてしまうなど、意味を考えないでパターンで対応して間違えることが度々ありました。それに気づいて、いろいろなパターンの問題を混在させ、判断力を鍛えてきたつもりでいたのですが、問題を解くための方法・手段である計算力を鍛えているうちに、そもそもの問題の意味が抜け落ちていたのです。トホホ…。

 似たようなことが生活面でも見受けられます。悠平に掃除を任せると、汚れが残っていても、本人的には言われた手順で掃除をしたので気にせず終了。交差点を渡るときも、首だけふって必ずしも左右の確認をしていなかったり。ここでもまた、方法は正しくても、行為の目的・意味が抜け落ちてしまうのです。

 何事もスモールステップで一つずつ積み上げて理解を促したり、できることを増やしてきたつもりだったので、「意味が抜け落ちる」とは思いもよりませんでした。一人でできることが増えてきたこの1~2年、学習でも生活でも意味抜け現象が特に目立つようになりました。関係性の把握や論理的思考が難しいという自閉症の特性が、こういうところにも表れているのだなぁと妙に納得しながら、方法と意味がばらけないように定着を図らねば…と思うのでありました。