悠平が選んだ路線~2020年秋から冬のスケッチ

 yuheipapaです。
 新型コロナウイルスのため昨年春以降は家族旅行を断念。休日も自宅で過ごす日が増えていました。悠平との「父子乗り鉄と巡礼」もしばらくは自粛していましたが、秋になって「そろそろいいかな」と、近郊への日帰りで再開することにしました。そうなってみて、ちょっと驚いたことがあります。それまでは、どこに行くか、どの鉄道路線に乗るかはわたしが考え悠平に提案。悠平が同意すると、わたしが予定表を作っていました。ところが、乗りたい路線を悠平が自分で指定するようになりました。
 例えば西武鉄道の山口線、通称「レオライナー」です。東京都東村山市の西武遊園地駅と埼玉県所沢市の西武球場前駅を結ぶ2.8キロの路線で、コンクリートの軌道上をゴムタイヤのコンパクトな車両が走ります。正式には「自動案内軌条式旅客輸送システム」(AGT)と呼ぶそうですが、狭義で使われる「新交通システム」の方が、なじみがあるかもしれません。「悠くん、どうしてレオライナーがいいの?」と聞いてみると「まだ乗っていないから」との答え。「『ゆりかもめ』(東京)と『舎人(とねり)ライナー』(東京)と『ニューシャトル』(埼玉)と『シーサイドライン』(神奈川)は乗った。乗っていないのはあと二つ」。どうやら悠平は、東京と周辺の新交通システムで、乗ったことがある路線、ない路線を数えた上で、未乗路線を制覇することにしたようでした。
 わたしやyuheimamaの指示や誘導もなく、自発的に目標を持ったのは初めてかもしれません。しかも余暇の過ごし方、自分の趣味の分野です。役に立ったのは昨年の誕生日にyuheimamaが選んだ「鉄道大百科」。全国の鉄道路線の詳細な紹介を、悠平は熟読していたようです。
 リクエストを受けて昨年10月、さっそくレオライナーに乗り、11月には最後の「ユーカリが丘線」(千葉県)を全線乗車(と言っても4.1キロですが)。悠平は「新交通システムを全部乗りました」と達成感を味わっているようでした。
 将来、自立して生きる上で、余暇の過ごし方はとても重要です。自分で目標を持つことができるようになったのは大きな成長だと思います。
 以後も休日の外出はなるべく悠平に行きたい場所、乗りたい路線を選ばせるようにしています。年明けに首都圏では緊急事態宣言が再発令されてしまい、休日の長距離の移動はしばらく控えることにしましたが、いずれ事態が収束したら次はあの路線、その次はこの路線と、悠平と一緒に計画を立ててみようと思います。

 以下は昨年秋以降の、悠平との外出のスケッチです。

【新交通システム・レオライナー】

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 最初に乗ったレオライナーは白い車体でした。悠平は緑の塗装の別の車体に乗りたかったようです。年末に2度目に乗った時は、その緑の車体でした。悠平は帰宅後、yuheimamaに「満を持して緑の車両に乗りました!」と報告していました。

【新交通システム・ユーカリが丘線】

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 千葉県佐倉市のユーカリが丘ニュータウン内を環状に走っています。ニュータウンの開発業者である不動産会社が運営している珍しい路線です。愛称は「こあら号」で、新交通システム車両3編成は「こあら1号」から「こあら3号」、同社が運行するバスにも「こあら4号」以下の通番がついているようです。

【JR相模線と相模鉄道のJR乗り入れ車両】

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 昨年、相模鉄道がJR東日本と新宿~海老名間で相互乗り入れを始めました。悠平が自分から「乗りたい」と最初にリクエストしたのが、重厚感がある相模鉄道の車両でした。わたしも興味があったので、悠平と一緒に乗ってみました。まず小田急線で多摩センターに行き、京王線に乗り換えて終点の橋本へ。昼食の後、JR相模線で海老名へ。海老名から相模鉄道に乗りました。途中、相模原市内にある一遍上人(踊念仏で知られる時宗の始祖)ゆかりの古刹一カ所に寄ったのですが、コロナで御朱印の対応は休止中だったのが残念。いずれ再訪しようと思います。

【関東鉄道常総線】

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 茨城県の取手駅と下館駅を結ぶ関東鉄道常総線は、悠平にとっては首都圏の未乗路線の中では気になって仕方がない存在だったようです。51.1キロとそれなりに長く、取手でJR常磐線、守谷でつくばエクスプレス、下館でJR水戸線、真岡鉄道とそれぞれ接続している地域の動脈です。沿線の寺社詣でを兼ねて、取手~水海道間を乗りました。全線非電化ながら、この区間は複線。首都圏では珍しい光景だと思います。

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 平将門ゆかりの史跡もあり、歴史好きの方も楽しめそうです。乗り残した水海道~下館間もいずれ乗りに行こうと、悠平と約束しています。

【リニューアル『踊り子』号】

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 東京と伊豆を結ぶ伊豆急乗り入れのJR東日本の特急「踊り子」号がリニューアルしています。スーパービュー踊り子号が全廃され、代わりにデビューした「サフィール踊り子」は全席グリーン以上という豪華さが話題のようですが、在来特急型のリニューアル車両に乗ってみました。

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 伊豆まで行くのは日帰りではもったいないので、小田原でおりて伊豆箱根鉄道に乗り換え、天狗伝説の道了尊・最乗寺にお参りしました。紅葉がきれいでした。帰りは小田急線のロマンスカー。多彩な電車旅で悠平も満足でした。

【武蔵野三十三観音巡礼】

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 12月は西武線に集中的に乗りました。東京都練馬区から埼玉県飯能市にかけて、武蔵野三十三観音という観音霊場があります。3年ほど前に専用の御朱印帳を買い求めていたのですが、練馬区内で最初の3カ所をお参りした後、そのままになっていました。昨年10月にレオライナーに乗った際、西武球場近くに13番札所の金乗院があったので久しぶりに御朱印をいただいたところ、何やら「開創八十年」の特別の印が。2020年は霊場が開創されてから80年に当たるとのことで、年内いっぱい、それぞれの寺院ごとに特別の印を押しているとのことでした。そうなると、その特別印を集めたくなるのが巡礼者心理というものです。がんばって残り3カ所、というところまでお参りして回りました。

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 霊場を巡礼で回る際には、わたしも悠平も数珠を手に般若心経を唱えることにしています。悠平は「門前の小僧」さながらにすっかり暗記。いまだに経本を手放せないわたしの横で、大きな声で「まーかー、はんにゃーはーらーみーたーしんぎょう」と唱えています。

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 もともとこの霊場は西武鉄道の肝いりでつくられたそうで、西武池袋線沿線を中心に各寺院が点在しています。行き帰りには特急電車「ラビュー」や「ニューレッドアロー」、全車指定のSトレインも組み合わせたので、悠平も楽しめたようです。お茶どころ、狭山の茶畑の間を歩いたりしながら、晩秋の武蔵野を巡りました。コロナが収束したら、残り3カ所も2人で回って、結願(けちがん)を目指します。

 この記事の「悠平が選んだ路線」の見出しは悠平が考えました。あらかた記事を書き終え、写真を付けて、さて見出しはどうしたものかと考えていたら、横からパソコンの画面をのぞき込んで書き出しを読んでいた悠平が「『悠平が選んだ路線』にする」とひと言。せっかくなので、そのまま採用しました。

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