2023年 悠平17歳の夏休み~親として考えたこと

 yuheipapaです。
 9月も下旬に差し掛かろうかというのに、東京は暑い日が続いています。この夏も、家族3人で1泊旅行を楽しんだり、わたしと悠平で日帰りの乗り鉄と巡礼の旅に出かけたりしました。子どものころは、わたしが立てた計画をそのまま楽しんでいた悠平ですが、もう17歳の高校2年生。それなりに自分の意思を持つようになってきて、頼もしいと思うこともあります。来年は18歳で大人の仲間入り。一方で親は年を取っていき、以前のようには体も動かなくなっていくでしょう。休日の過ごし方も自分で決められるように、というのは将来に向けた課題です。悠平と一緒に出掛けながら、そんなことも考えるようになった夏でした。

 ▽2階建てに暮らしたい
 1泊旅行は神奈川県の湯河原温泉でした。品川駅からJRの在来線特急「踊り子」で1時間ちょっと。熱海のすぐ手前で、箱根や熱海ほど混んでおらず、のんびり過ごすには手ごろです。いろいろ調べて予約した旅館は、なかなかの穴場でした。
 部屋は蔵を改造したメゾネットタイプ。1階は8畳ほどの居間で、部屋の中の階段を上がって吹き抜けの2階に上がるとベッドが二つあります。悠平は生まれてからずっとマンション暮らしで、2階建ての家に住んだことがありません。階段を上がってベッドに行くのがよほど気にいったようで、「ここで暮らしたいねえ」と言って、わたしやyuheimamaを笑わせてくれました。

 風呂も広くはないのですが、専用の露天風呂付き。しかも源泉かけ流しです。源泉の温度が高くとても熱いのですが、疲れが良くとれ、気分もリラックスできるようでした。館内にはほかに無料の広い貸し切り湯もいくつかあり、湯めぐり気分も味わえました。特筆ものなのは魚が中心の食事です。地魚の刺身の盛り合わせは、思わず「おおっ」と声が出るほどの豪華さ。料理の一つ一つも派手さはありませんが、素材の良さがよく分かるおいしさでした。

 会計は相当な「お得」感がありましたが、ちゃんと理由があって、一般的な温泉宿のようなサービスはほぼ皆無です。送迎なし。チェックインの際はフロントで、普段着姿の女将さんから簡単な説明があるだけ。荷物も自分たちで部屋に運びます。食事は部屋食ですが、一品ずつではなく、基本的にまとめて運ばれてきます。売店もありませんし、クレジットカードも使えません。
 一般的な温泉宿のサービスを期待していると、到着早々、不快な気分になるかもしれません。実際にネットの口コミではそのような書き込みもありました。でも、悠平に合わせてマイペースで過ごしたいわが家にとっては、むしろぴったりのスタイルでした。

 ▽思い出深い横浜に3人で
 8月のある日、3人で横浜に遊びに行きました。わたし、yuheimamaがそれぞれに思い出深い土地です。
 わたしは30代の終わりの2年半、勤務先のマスメディア企業の横浜支局で働いていました。yuheimamaと結婚する前のことです。ある時期、業務で大きな困難を抱え、つらい時間が続きました。自分の生き方、ものの考え方が大きく変わった経験でした。悪戦苦闘した場所として、横浜は特別の地です。
 yuheimamaは小学生時代を神奈川で過ごしました。父親に連れられて横浜に来て、そのときに山下公園の氷川丸の近くで撮った写真が今、yuheimamaの手元にある父親、悠平にとっては祖父の遺影です。悠平に、会ったことがない祖父の話を聞かせながら、同じ場所でyuheimamaと悠平が並んだ写真を撮りました。

 わたしとyuheimama、悠平の3人で横浜を訪ねたのは初めてでした。こだわりの強い悠平は、日帰りの外出はわたしと一緒が基本です。yuheimamaも一緒に3人で、というのは泊まりがけの旅行にほぼ限られていました。「夏休み」という特別のイベント感もあったのかもしれませんが、悠平は柔軟でした。

 氷川丸を見学して山下公園から中華街を散策し、夕食はJR横浜駅に近いシウマイの崎陽軒本店のビアレストランでした。3人で過ごした楽しい時間で、わたし自身のつらい経験を上書きできたように思います。忘れられない日になりました。

 ▽新しい巡礼
 8月の終わり近くに、新しい霊場の巡礼を悠平と始めました。北関東三十六不動です。群馬、栃木、茨城の3県にある36寺の不動尊を回ります。第一番は群馬県の新潟県との県境にある、みなかみ町の水上寺(通称:成田水上不動尊)です。

 上越新幹線を上毛高原駅で下車。バスを乗り継いで15分ほどで水上温泉街に入ります。水上寺はそのはずれにありました。般若心経を唱えてお参りした後、専用の御朱印帳を買い求めました。その後はバスを乗り継ぎ、群馬県沼田市にある第二番の札所を参拝。渋川から高崎までは、JRのSL列車「SLぐんまみなかみ」にも乗ることができ、悠平は満足そうでした。

 この霊場は札所が北関東3県の広い範囲に点在しており、結願までは数年がかりになりそうです。悠平は「いろいろな電車に乗れそうだね」とノリノリです。御朱印帳が埋まり、巡礼が終わるころには、悠平は高校を卒業して、将来の進路を定めているかもしれません。その後はもう、親はどんどん老いていきます。悠平には、できる範囲でいいから、自分のことは自分で考えて決めることができるようになってほしい。以前から願ってきたことですが、いよいよ、そういう日が近づいているのだな、と、真新しい御朱印帳を手に思いました。