克服したこだわり一つ

 妻(yuheimama)です。悠平は3カ月に1回、発達クリニックを受診しています。受診時は母が付き添い、前回受診以降の3カ月間の悠平の頑張り、成長、課題としてとらえていることなどを親の視点から話し、医師からの見立てや助言を伺っています。ここ数年は、悠平自身が医師とやり取りすることも増え、まずは医師と悠平で質疑応答のような会話をし、続いて母が補足するというスタイルが定着してきました。

 受診の前日、母は毎回、過去3カ月を振り返り、医師に伝える事柄をメモにしています。当日、待合室でメモの内容を確認すると、悠平がメモをのぞき込むことがあり、事前にメモの内容を説明することもあります。このメモ、悠平の成長記録にもなっているので保存しておいたところ、2015年に書き始めてすでに30枚、たまっていました。それだけ繰り返していたためか、先日、待合室で座っていたところ、母のメモを読む前に、悠平自ら医師に何を報告すべきか考え、母に話しかけてきました。曰く、「〇〇祭( =文化祭)頑張ったことと、お父さんとお寺に行けたこと」。

 悠平とyuheipapaが乗り鉄巡礼をしていることは、これまでに何度も紹介してきました。それなのになぜ、今回、わざわざ父とお寺に行けたことを報告しようとしたのかには理由があります。通院している発達クリニックの近くには寺町があり、以前からyuheipapaは悠平に一緒に行こうと誘っていたのですが、悠平は数年にわたって頑なに拒否し続けてきました。というのも、その寺町に行くには、発達クリニックに行く時と同じ経路で電車に乗り、駅から歩いてクリニックを通り過ぎなければならず、そのコースの同行者は常に母であるというこだわりがあったからです。yuheipapaの諦めない長年の働きかけが功を奏したのか、ついにチャレンジした悠平は、これまで避け続けてきた苦手なことを克服できて達成感を感じたようです。

 診察室に入り、悠平が医師に報告した後、そうした経緯を母が補足説明すると、医師からは「成長、著しいですね」とコメントをいただきました。こだわりの克服、医師のコメントもうれしかったのですが、母としては、受診前に悠平が自発的に話す内容を考え、報告できたことにも成長を感じました。とはいえ、この調子でこだわりが崩れていくのかといえば、そんなにスムーズにいくはずもなく、新たなチャレンジを促すたびに、悠平は眉をしかめて「嫌!」を連発しています。こだわりが崩れれば、それだけ活動範囲や選択肢が増えるのですが、一方でこだわりを温存することで情緒が安心・安定する面もあるので、悠平の生活の質にとっての意味合いを考えながら、これからも無理のないチャレンジを働きかけていきたいと思います。