初めての実習

 妻(yuheimama)です。悠平が通う特別支援学校高等部では、卒業後の進路に向けた職場・事業所実習を行っています。全国の知的障害校卒業生の進路は、企業就労が約3割、福祉事業所が約6割です(※)。悠平の学校では、1年生の段階で企業就労を目指すか、福祉事業所へ進むかを選択し、1年生は1カ所で1日体験、2年生は1カ所で1週間程度の実習、3年生は2~3か所で1~2週間の実習を行い、進路を決定していきます。

 悠平は、幼稚園で不登園を経験した後(2012年6月「決断――本日、幼稚園を退園しました」を参照ください)、療育園、特別支援学校小学部・中学部・高等部に通園・通学してきました。療育園以降、社会の中で最も障害理解があり、配慮・支援が手厚い環境で過ごしてきたこと、学びには定型発達児者より時間がかかることから、母は、将来の企業就労の可能性を視野に入れつつ、まずは福祉事業所で学びながら、一般社会との橋渡し的支援を受けるのがよいのではないかと考えていました。また、悠平は一人での外出への不安が強いため、もう少し時間をかけて行動範囲を広げていく必要があると思っています。悠平自身は当初、「卒業したら、お仕事したい」と言っていたのですが、一人での通勤や外食に不安を感じたようで、「やっぱり福祉にする」と方向転換。yuheipapaとも相談し、全員一致で福祉事業所を希望することにしました。

 昨年7月から今年1月にかけて、母は福祉事業所7カ所の説明会や個別見学に行きました。事業所により支援内容、悠平の障害特性・現状に対する理解の様子、通所のための交通手段が異なるため、比較的通所しやすく、悠平に合っていそうな事業所を絞り、実習の候補としました。2月に実施された1年生の1日体験では、自宅から徒歩で行ける事業所にお世話になりました。体験前、週末に数回、悠平と母で片道25分、往復50分の通所練習をし、当日は悠平一人で往復することができました。実習の記録によると、清掃、備品チェック、販売を体験し、メモの取り方を教えていただき、練習したとのこと。販売体験では、自然と「いらっしゃいませ」とお客さまへの声がけができたということでした。今後の課題も指摘していただき、有意義な体験になりました。

 実習前、「緊張する」と言っていた悠平。初対面の支援員の指示で行動する、初めての体験であり、精神的な疲労を感じたのではないかと思いましたが、帰宅後に感想を聞くと、「(販売で)立ちっぱなしで疲れた」と、ケロッとしていました。今後の実習に向け、通所練習など、まだまだサポートは必要ですが、母の心配をよそに、精神的には少しずつタフになってきているのかなと感じさせてくれた初実習でした。

 

※国連・障害者権利条約第24条には「締約国は、障害者が、差別なしに、かつ、他の者との平等を基礎として、一般的な高等教育、職業訓練、成人教育及び生涯学習を享受することができることを確保する。このため、締約国は、合理的配慮が障害者に提供されることを確保する」とあります。文部科学省「令和4年度学校基本調査」によると、高等学校等卒業生の高等教育機関への進学率は83.8%、「令和3年度特別支援教育資料」によると、特別支援学校卒業生の内、進学者は1.9%(学校種別では聴覚障害校41.4%、視覚障害校33.6%、病弱・身体虚弱校6.0%、肢体不自由校2.1%、知的障害校0.4%)でした。

 

▽電車も花も満喫
 yuheipapaです。
 先日、悠平と一緒に神奈川県三浦市に早咲きの河津桜を見に行きました。京浜急行電鉄の三浦海岸駅で降り、線路伝いに5分ほど歩くと、河津桜の並木が始まります。桜が満開のころ、地面には菜の花も咲いて、濃いピンクと黄色が鮮やか。隣を時折、京急電鉄の電車が通り過ぎていきます。鉄道好きも満足できる花見の散歩のコースです。
 行きは東急電鉄で横浜に行き、京急電鉄に乗り換えたのですが、たまたま乗り合わせたのが青い塗装のレアな編成。悠平もわたしも、電車と花見の両方を満喫した休日でした。

【写真:河津桜の並木の隣を走り抜けていく京急電鉄の電車】

【写真:濃いピンクの河津桜の花】

【写真:レアな青色の編成。右は通常の赤い編成=三浦海岸駅】