5日間の現場実習を終えて

 妻(yuheimama)です。先月、悠平は進路学習として、福祉施設での5日間の現場実習を体験しました。実習先は、1年生のときに1日体験でお世話になった事業所です(「初めての実習」を参照ください)。

  実習前には事業所で、担当支援員、学校担任、悠平、母の4人で事前面談を行いました(「漢字と仕事とQOLと」を参照ください)。実習先には1人で通所しなくてはならないため、休日に母とルートを再確認。さらに「通勤練習」として、実習1週間前の朝に自宅から事業所に行き、担当者に挨拶してサインをいただいてから登校。そしていよいよ実習です。

 実習では主に、トイレ掃除、備品チェック、計量、販売、清掃、ソーシャルスキルトレーニング(SST)などに取り組みました。実習中に1回、学校担任と母は、販売の準備作業と販売の様子を見学させてもらいました。こちらの事業所では、パンとパスタを調理する作業グループがあり、それらの調理品を近隣の病院に車で運び、ランチタイムに病院職員向けに販売しています。悠平はパンの仕分けや荷物の運搬、販売を体験しました。

 パンの仕分けでは、甘いパンとしょっぱいパンを分けなくてはならないのですが、悠平はところどころ間違って仕分けて、先輩利用者から「それは違いますよ」と声をかけてもらっていました。その様子を見て母は、悠平が食べたことのないパンが何種類もあることに気が付きました。自閉症で小さい頃は偏食があり、偏食がおさまった後には、こだわりの強さなのか興味・関心の狭さなのか、一つのパンを気に入ると、そればかり食べ続けるので知らない味がたくさんあるのです。ただこれは本人の特性上、仕方がないことなので、仕事として取り組むときには、知らない味を勘(あるいは当てずっぽう?)で分けずに、先輩や支援員に質問し、次に間違えないようにメモを取らなくてはいけません。

 次に仕分けしたパンを車に運び入れたのですが、このときも、先輩利用者と運ぶタイミングを合わせたり、荷物を積む場所や積み方などに気を配る必要があります。支援員から細かく注意をされるたび、「はい」「はい、分かりました」と返事をしての作業です。病院に着いてセッティングをしていざ、販売。販売はあいさつや袋詰め、電卓を使ったお金の計算と釣銭の受け渡しなど、頑張って取り組んでいました。実は実習でお金のやり取りをすると事前面談で伺っていたので、家庭学習のときに「リアルお買い物ごっご」(「買い物練習継続中」を参照ください)で予習していました。母、心の中でガッツポーズです。

 学校担任と母の見学はこれで終了。見学は1回だけでしたが、事業所からは毎日、作業内容と支援員からのコメントを写真入りのプリントでいただき、日々の様子がよく分かりました。実習最終日には、再度、事前面談と同じメンバーで反省会があり、支援員からの講評を伺いました。悠平は学校で清掃を学んでいて、仕事としても今のところ清掃を希望しているのですが(「清掃一筋? 高等部2年の夏休み」を参照ください)、講評では清掃について、いろいろと課題が指摘されました。一方で、学校担任も母も意外だったのは、備品チェックの評価が高かったことです。どうやら特性からくる、視覚の強さと日ごろ鍛えている(?)数字の扱いがマッチした作業だったからのようです。備品チェックは小売店のバックヤードでの仕事につながります。

 反省会を終えて、後日、学校で3者面談が行われました。何度も親の出番があって、なかなか大変でしたが、現場実習だからこその気付きが多々ありました。3年生ではさらに2事業所で実習を行います。もしかすると悠平が興味を持つ仕事と適性は違っているのかもと思いつつ、日々の学習やお手伝いを根気よく継続して、基礎固めをしていこうと改めて思いました。